葦原(あしはら)君………。
私は
気づくと周りにいた数名の生徒が〝何事か〟とこちらを
「コンビニ…、寄っていこうよ」
新之介が気を
「唯人、そこで話し出来るか?」
葦原君は大きく
「
どんな顔をしていいのかわからない私は、ふくれっ面で大きく頷きました。もうこの場で話をするのは無理なようです。
私が玄関で外履きに履き替えている最中、
「出来れば、俺も、その話…、聞きたいんだけど…同席してもいいかな?」
と新之介が
「ああ、話そうと思ってたんだ、新之介にも。俺は聞いてもらいたいけど…」
と、私の方を見ます。私もその方が、取り乱さずに話が出来そうだったので、
「お願い…」と返事をしました。
三人で学校の玄関を出て、近くのコンビニへと歩き出しました。すると、正門近くの駐車場に、黒い乗用車が1台止まっています。
その車から、40代くらいの男の人と、20代くらいの若い女性が降りてきて、葦原君に声を掛けました。
「部活は終わったかい、また聞きたいことが出来たんだけど…、ちょっと時間いいかな?」
新之介も私も、葦原君を見ます。この人達が警察官であることは、私たちには
何故かと言えば、
『また、
『
という、興味本位の、都市伝説のような噂でした。
葦原君は少し眉間に皺を寄せて答えました。
「今はちょっと…、急ぎますか?」
「そうだなぁ、大事なことなんだ、早い方がいい」
そういうと、男の人は新之介と私の方を見て言いました。
「私は
と
私は〝警察〟という言葉に恐怖を感じました。テレビでしか見ない職務質問を…、もしかしたら事情聴取を、彼は要求されているのです。そして葦原君も
ビックリしている私と新之介の様子を見て、
「後藤、新之助。申し訳ないけど、今は刑事さん達の話を優先してもいいかな?終わったらすぐ連絡入れるから……、俺もちゃんと話しがしたいんだ……」
と葦原君は言ってくれました。
お父さんのことを聞きたいけど、こうなってしまっては警察の方が優先だということはわかります。
「わかった、私は大丈夫だから、刑事さんの言うこと聞いて」
と彼を見送ることにしました。
葦原君は警察の人の車に乗って、直ぐにどこかに連れていかれてしまいました。
自分でも不思議に思います。さっきまで彼に向けていた、怒りにも似た感情は、もう無くなっています。その代わりに、もの凄く彼のことが心配になってきました。
(
そう願いました。
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