わかってたの……?
放課後、体育館に向かうと、久しぶりに顔を出した私を、バスケ部のみんなが暖かく迎えてくれました。女子部の先輩も、代わる代わる声をかけてくれています。
京香先輩が
「紗希ちゃんがいなくて寂しかったよ。……もういいの?」
と、目を
「はい、もう大丈夫です。明日からちゃんと部活も出ますから」
と復帰宣言をしてしまいました。私は手厚くステージの上に誘導され、出場できなかった地区大会の話しを聞いています。
練習が始まると、私の視線は、
しかし、出てくる答えは同じです。
休憩中、新之介に
「
と言われました。
「そうじゃないんだけどさ……」
私はステージ上で、体育座りの
最後のチーム戦が終わり、今日の部活は終了です。みんな爽やかな汗をかいて充実した笑顔で帰り支度を始めました。
私はもう、葦原君に、あの時のことを聞かずにはいられません。
みんなが解散になり、葦原君は新之介と、学校の正面玄関で
「何してんだよ、紗希も一緒に帰ろうぜ」
と、新之介が誘ってくれました。
「…うん…」
私は意を決して、葦原君に声を掛けます。
「ねえ、葦原君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「え、うん、いいよ…」
「あのさ、私のお父さんのことなんだけど……」
「……うん。」
「葦原君さ、もしかしたら、お父さんが病気だってこと…わかってたの?」
こんな、何の
しかし、葦原君は、
「ごめん……」
と言いました。
葦原君はそのあとも、間をおいて何かを話そうとしていましたが、私は一気に感情が
「『ごめん』って…、なんでお父さんが死んじゃう前に、あんなこと言ったの?どうしてわかったの?どこまでわかってたの?」
段々と声が大きくなっていきます。私の足元は、彼の
「葦原君『病院に行った方がいい』って言ったよねえ、それだけじゃわかんなかったよ…。私、あの日、ちゃんとお父さんに『背中痛くないか』って聞いてたんだよ。」
あまりに迫り過ぎたせいで、彼は後ろの
「でもお父さん、今度暇になったら行くって言って…、そのまま死んじゃった……。こんなに早く症状がでるなんて思わなかったから……。」
そしてとうとう
「わかってたんなら、何でもっとちゃんと教えてくれなかったのよ。」
と彼を
気づくと私は、葦原君の制服の胸ぐらを、
「ごめんな、後藤。ちゃんと説明する。俺が悪かったんだ……。」
その葦原君の声は、
〝何てことをしてるんだろう。彼が何をしたというのか。でも、わかっていたなら、なんできちんと教えてくれなかったのだろう?……教えてほしかった……〟
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