正しかったのか、よくわからない…
⦅オン ビロバクシャ ノーギャ ヂハタエイ ソワカ⦆
光はいつものように縮小していき、俺の胸に吸い込まれていく。
大六が言う。
「一人でも、印と真言で捕まえることができたな。なかなか筋が良いぞ。」
俺は、自分の震える足元をジッと見ていた。そして
「どうした?」
「まあ、いろいろ…。悪霊とはいえ、人を刺したのも初めてだし…、自分があんなに激しく、あっさりと人間の体を傷つけることが出来るなんて……、俺もあいつと同じなのかなと思ったりして……。でも、浅妻先生の
「………」大六は黙っている。
俺は何とも言えない
「……そうだな、ナイフ男だって、生まれたときから、あーじゃなかったと思うぞ。育てられた環境もあったろうけど。悪い方、悪い方へと気持ちが流れて行ったんだろうよ。でもな、どこかで立ち直るきっかけも、誰かの救いの手もあったはずなんだ。人生ってのはそういうもんだ。あいつはそれを
「あの
「そうだな。あれは〝
「聞いたことあるけど…詳しくは知らないよ」
「地獄に住んでいる鬼の一種だ。ナイフ男に共鳴して、地の底から
「俺と大六の役に立てれば、少しは罪が軽くなるのか?」
「ああ、そういう契約だからな、」
「そうかあ……、よくわかんないけど、役に立ってもらった方がいいのかな……」
「そうだな……」
俺は
「おい、唯人、それよりも結界だ。4
時計を見ると、もう夜中の3時だった。現実的な思考が戻り始める。
「ヤベッ、早く家に戻らないと」
ここから家まで自転車で40分くらいだ。急がないと家族が起きてくる。
深夜に忍び込んだ学校をあとにし、全速力で自転車を走らせた。〝シャー〟という車輪が回る音で、家族が起きないように、家の少し手前で自転車を降り、徒歩で近づいた。
そして、この悪霊狩りの最後の仕上げに入るのだった。
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