学校復帰3日目、4日目、5日目・・・ 

【学校復帰3日目、4日目、5日目。連日、待ち人は来ない。】


 俺が、後藤のお父さんのことを話した二日後、彼女は午後の授業を早退した。どうやら、お父さんが救急車で病院に運ばれたらしかった。

 やはり、後藤を通して見えた、彼女のお父さんの体にへばりついていた黒い陰は、そういうことの暗示だったのだろう。

 入院していたとき、様態が悪そうな人に見られた現象だった。




【学校復帰6日目。今日は土曜日だ。待ち人が来そうな場所に、俺がいない。】


 今日はバスケットボール地区大会が、近隣の高校の体育館で開催されていた。会場は学生達の熱気が凄い。


 顧問の先生―、といっても、ほとんど付き添いだけの、数学の星野先生が、大会会場に来る前に、後藤のお父さんが急死したことを部員に教えてくれた。

 大会を楽しみにしていた彼女が会場に姿を現すことはなかった。

 女子部は元々人数が4人しかいなかったので、助っ人を何人か頼んでいて、それで試合事態は欠場にならずにすんだ。


 結果は、男女ともども、一回戦敗退で幕を閉じる。悔しくないわけではないが、奮闘した我がバスケ部は、それなりの充実感で試合会場を後にした。

 三年生はこれで部活が一応の終了となるが、しばらくは遊びに来るとのことだった。そうしないと、部活終盤の5対5が出来ないのだ。

 やっぱりゲーム形式の練習で、最後は終わりたい。その気持ちが熊谷部長をはじめとする3年生にはわかっているのだ。




【学校復帰7日目。今日は日曜日だ。何の予定もなく、家でアニメを見ながら過ごした。】




【学校復帰8日目……。ついに待ち人が――、あの『中年ナイフ男』が現れる】





 それはまたも、浅妻先生の国語の授業中だった。


〝来た!〟


 俺は、おかっぱ頭の女の子、坊主頭の男の子、廃工場の妖怪化少女に、中年ナイフ男を捕まえてくるように命令をする。


 3体は一斉に襲いかかり、中年ナイフ男は、ひとたまりもなく、一瞬のうちに捕えられ、俺が座っている机の前に引きずり出された。


 既に俺に重なっていた大六が、右手から発せられる光の羂索で、眼下がんかにいる奴を完全に拘束こうそくした。


 いつもなら、そのまま丸い光球にして取り込むところだが、そうはせず、ずっと地ベタにひれ伏させ、夜を待つ――――。


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