第2の心霊スポット ー潜入ー
心電図は、3日間付けただけで終了となった。
両親が呼び出され、診断結果が伝えられる。結果は、『心身ともに異状なし』ということだった。
よく意識を失うことに関しては、
日曜日は、事務の手続きが出来ないということで、土曜日である、今日のうちに退院となった。
夕方、家に戻ると、自分の部屋がもの凄く懐かしく感じる。『ふーっ』と一息つき、今夜行く悪霊狩りのために、早めに横になった。
入院中、大六とこんな話をした。
「次の悪霊を捕まえるときにはさあ、この子達にも手伝ってもらえないかなあ?」
無邪気に病室を
子供らには、役目を果たしてくれさえすれば、ある程度の自由は許可していたのだった。
「どうかな…。こいつらは
〝
「わかった。そういうことなら、二人だけで捕まえに行こう」
大六とは、そういう話になっていた。
時計を見ると、午前2時を回っている。俺と大六は自転車で目的地に向かっていた。
月明りも雲に閉ざされ、辺りは闇が濃い。国道から少し外れて
歩いてしばらく進むと、
この辺では大きな建物も少なく、昼間であればわりと目立つ。
ここがどういうところかと言うと、いわゆる、この地域を代表する心霊スポットであった。工場の外壁が白いことから『ホワイトプラント』ともいわれている。
大六がソワソワしながら、満面の笑みで言う。
「ここだよここ。いいのがいたんだよ。前から目をつけてたんだよなぁ」
「『前から』っていつからだよ、初めて連れてくるだろ。こんな怖いところ…」
そう俺が言い返すと、彼は〝ニヤリ〟と笑った。
「お前、中学校いくとき、たまにここの近く通ってただろ、その頃からだよ」
大六は、廃工場を興味深そうに、いろんな角度から眺めては、目を輝かせていた。非常に興奮している。
俺は廃工場の、玄関らしき引戸を開けようとした。金属製ではあるが、立て付けが悪くなっているので、途中から強引に、〝ガガガガガッ〟と引っ張り開ける。
「さぁて、どこにいるかな」
大六は工場の中を見渡した。誰に荒らされたのかわからないが、ガラスや工業製品が散乱している。その中を、彼は奥の方へと迷いなく進んで行った。俺はスマホで足元を照らしながら後を追う。
「ちょっと待てって、置いてくなって…」
大六の身勝手ぶりに、つい
「カブト虫じゃあるまいし、そんな簡単に悪霊が捕まえられるわけ……」
室内のはずなのに、足場が悪い廊下を進み。いくつかの区画を抜け、やっと大六に追いついた。彼はその部屋の中央に立っている。
「進むの早いからっ!もうちょっとゆっくりで頼んます」
俺は冗談交じりに言う。大六はそんな俺の方に顔も向けず、部屋の脇に置いてあるテーブルを指さした。俺はスマホのライトを恐る恐る向けてみる……。
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