化け物を狩る①
俺は心の中で
〈大六、この子供たちをどうやって捕まえるんだ?〉
〈寝込みを襲う……つもりだったんだけど……〉
どうやらその
べッドに座っているのが坊主頭の男の子と、おかっぱ頭の女の子。立ち上がってるのがボサボサ頭の男の子。
みんな同い年くらいである。着物には
3体とも青白い顔で、こちらをただ黙って観察している。
そのうちベッドの上に立っていた、ボサボサ髪の男の子が、こちらを
⦅こいつら俺らのこと見えてるみたいだぞ。どうする⦆
座っている坊主頭の男の子も、こちらから目線を
⦅そうだよな、俺らのことわかるみたいだぞ、どうする⦆
同じく座ってる、おかっぱ頭の女の子が、表情を変えずに、
⦅お兄ちゃんたちもこっちに来て、一緒に遊ぼうよ⦆
と、機械仕掛けの人形のように言葉を発した。
次の瞬間、女の子が消えたかと思うと、俺の目の前に姿を現し、その短い腕を、胸の中に入れてきた。
急に締め付けられるような痛みが走り、立っていられなくて膝をつく。女の子は、手を突っ込んだまま、ケタケタと笑っていた。
彼女の容姿はみるみる
恐ろしい容姿になっても、笑っているは見て取れた。
俺の心臓は、女の子に
罪悪感のかけらもない様子だった。この子たちはこうやって、この病室の人たちを、何人も殺していったに違いない。力が入らない……、俺は絶望感に襲われる。
〝このままじゃ死ぬ!〟
そう思った時、自分の意思とは関係なく、両腕が勝手に動き、女の子をハグするように抱きかかえた。そして両手の指先が、不自然に組み合わさり、
⦅オン ビロバクシャ ノーギャ ヂハタエイ ソワカ⦆
すると、
光は彼女を
その光は数秒で、みるみる小さくなっていった。俺の胸に入れていた彼女の手も、強制的に抜き取られ、女の子は包み込まれた光の内側から、バシバシと壁?を叩き
女の子の姿は、光が小さくなるにつれ確認できなくなり、最終的に直径5センチくらいの神々しく輝く球体となって、俺の眼前に静止した。もう心臓の痛みは無い。
〝大六がやってくれたんだ〟そう思った。
〝この光の玉の中に、さっきまで心臓を
一瞬のことで、理解が追いつかないが、その輝く球体は、俺の体の中に〝ス―ッ〟と入って消えてしまった。
俺は自分の体に異変が無いかを、感覚を頼りに確認する。……異状は無いようだ。
ひとまず、死なずにすんだことを
〝あのままなら完全に死んでいた。全くなすすべが無かった……〟
「はあ、はあ、はあ、ゴク…」
今、対面しているモノの力の大きさ、油断のなさに動揺して、また呼吸が乱れている。脂汗もひどかった。
〈…大六…ありがとう。助かったよ〉
心の中でお礼を言う。
〈ああ、落ち着いたか?……だが…本番はこれからだな……〉
俺達は立ち上がり、あと2体の子供を
俺は認識した。〝この子供らは殺人鬼である〟ということを。
突然だった…問答無用で、こんなにも簡単に人を殺そうとする。
周りで力無く叫んでいる、この血みどろの人たちは、きっと殺されてなお、
〈大六、この人たちを逃がしてあげないと〉
〈そのとおりだ
残り2体の男の子は、
⦅冴ちゃんいなくなった⦆
「冴ちゃんか?冴ちゃんは悪い子だからお仕置きだよ」
俺の口を借り、大六が挑発した。
⦅冴ちゃんどこいっだああああああ⦆
子供の声では無くなっていく。2体の男の子は急激に巨大化しだした。
ボサボサ髪の男の子は、顔が正方形の座布団くらいの大きさに変化し、なまはげの様な、いかつい表情になった。体は引き延ばされて、手足も伸び、ひょろひょろとしている。
もう一人の坊主頭の男の子は、顔、体を含めた、全てのパーツが、風船を
2体とも全長が3メートル近くになっていた。当然、部屋に収まりきらず、肩が天井に当たり、顔も天井に引っ付いて、2体ともこちらを見下ろすような格好になっている。もう幽霊でも亡霊でもない。妖怪百科の挿絵に出てくるような〝化け物〟であった。
〈唯人!さっきみたいに印を組んでる時間がない――――〉
大六が頭の中で説明しようとしているそばから、四角いなまはげ顔の方が、手を
〈俺は右手に力を集中させる。お前は奴らに近づいて、奴らの体に触れてくれ。後は俺が力押しで抑え込む!〉
具体的にどうなるのかは分からなかった。だが、〈分かった〉と彼の指示を受け入れる。
「亀山先生、早くこの部屋から出てください!」
と俺は怒鳴った。もう何が起こるか分からなかったからだ。
また、四角い顔が、連続で腕を振り回してきた。デンデン
「先生、大丈夫ですか」
「痛ぅ…大丈夫、これくらい…今は
こんな時まで検証をしてるのか?
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