亀山ドクターが見た世界
「ベッドの方をよーく見てみな」
まだ、目が、闇になれていなかったが、ベッドがあるであろう位置に、目を凝らす。
すると、僕の目が……というか、感覚なのかもしれないが、凝視しているその先に、白い人型を急速に捉え始めた。
ベッドの上には、着物を着た子供が3人、スヤスヤと眠っている。幼稚園の年長さんくらいだろうか。とてもリアルに、クリアに見えるので、僕はそれがどういった現象なのか確かめたくなり、足を踏み出した。
「待った!」
僕は、またベッドの方に顔を向け、もっとよく状況を理解しようとした。
3人の子供たちは、まだ眠っている。それとは別に、部屋の隅々で
ベッド以外の床、壁、天井がびっしりと、そのドロドロに覆いつくされていく。我々の足元も例外ではない。
ドロドロが、部屋全体を埋め尽くしたと同時に、それは人の姿へと形を変えていった。
YIPルームは、小規模のライブ会場のように、赤黒い人型で埋め尽くされた。
〝観客は彼ら、主役は我々〟というところだろうか。彼らは我々に、猛烈に訴え掛けていた。
⦅助けて、助けて⦆⦅早く!⦆⦅私たち、この子らに捕まてるんです、自由にしてください⦆⦅家に帰りたいよー⦆⦅なんとかしてくれー⦆⦅あんたら、早く逃げた方が良い、早く逃げなさい⦆部屋の方々から声がする。
⦅
「小春!」僕は駆け寄ろうとして、再び大六君に制止される。彼は大きく首を横に振った。
「先生、だいたい分かったろ?唯人が見ているモノは、こういう世界だ。俺と唯人はあそこで寝てる、
そう彼はいうと
彼との身体的接触が無くても、まだ幽霊の姿は見えている。
小春のことは気になるが、今は
「わかったよ、任せるね」
僕はそう言い、葦原君の後ろへと移動し、何かあれば、葦原君をドアの外に引っ張り出せるように位置取りをした。
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