桜井刑事の懸念 ー再捜査ー 完

 朝を迎え、刑事課の職員全員が席についた。俺は現場検証や聞き込み調査の情報を説明していく。

 そして一番最後に、類似るいじした事例として、葦原あしはら君の案件を報告した。そのことを知らなかった同僚からは


「なんでそんな傷害事件を立件しなかったんだ」


「きちんと捜査したのか?」


「どちらにしろ、その若月って女子高生と、葦原って男子高生を、再度洗いなおした方がいいだろう」


 などの、もっともな意見が出された。俺でも立場が違えば同じことを言う。

 意見が出尽くしたところで刑事課長が指示を出す。俺と村井は今回の事件と葦原君の案件の関連性を、もう一度当たることになった。

 他のチームは、今回死亡した被害者周辺の聞き込み、交友関係の調査と、周辺の監視カメラを確認することとなる。


 刑事課長が注意点を話す。


「特にあの女子高生の交友関係、アリバイを、もう一度あたりなおしてくれ。各担当とも、必要なら人員を回す。今後、検視結果等も考慮しながら捜査を進める。他に意見は無いな…。」


 刑事達の視線が課長に集まった。


「では捜査に当たれ、解散!」


 刑事達が、足早にそれぞれの捜査に向かう。

 俺と相棒の村井は、会議室を出て、警察車両に乗り込む。


「村井、課長の言うとおり、若月京香の交友関係を調べるぞ」 


 そう言うと、ほとんど仮眠もとれていない中、また捜査を再開するのだった…。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る