刑事とファミレスで話す
「いや、悪かったね。急にこんなとこに呼び出して」
学校で話した時とは、大分違う印象だ。普通に会話をしてくる。
「単刀直入に言うよ。君が意識を失って、負傷した件については、もう親御さんにも確認が取れてる。捜査自体は終わってるんだよ。だから、今からほんとのこと言ったって、これから罪に問われることも無いし、若月さんだっけ…、彼女に不利になることは何もない……。正直に言ってほしいんだけど、脱法ハーブとか……その可能性はないのかな?」
人間味のある質問の仕方だった。俺や、先輩の身を案じて、注意しようとしているのだろうか?『実は…』と、新事実を吐いてしまいそうなシチュエーションでもあった。しかし、そんな事実はどこにもない。
「刑事さん信じてください、俺も若月先輩も、そういう薬の類は使っていません。あの時、病院でお話ししたのが全てです」
桜井刑事は控えめに〝うん、うん〟とうなずいた。相棒の村井刑事はまっすぐ俺の方を見ている。
「いやね、こういう案件は難しいんだよね。現実には怪我をしてるのに、その原因が特定できない。
「はい……」
「そうなると、当人達が嘘をついているのか、薬物中毒で幻覚を見ているのかってことになるんだよ」
桜井刑事の言うことに矛盾はない。その通りだと思う。
「あの日、病院で君達の話を聞いた時、正直『何を言ってるんだこの子らは』と思ったよ。そうだろ?幽霊が傷害事件の加害者なんて誰が信じると思う?でも、君たちの証言に食い違いは無かったし、話の筋道も通っていると思った…。上手く口裏を合わせたね」
「………」
桜井刑事は俺の方をしっかりと見始めた。
「警察としては、考えられる可能性は潰しておかないといけない。だから、薬物検査をした。しかし、検査結果は陰性、
「道具なんて…、そんなもの……」
俺は、『やはり、信じてもらえていなかったんだ』という失望感に襲われ、伏し目がちになる。
桜井刑事は続けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます