第4話 今、我が家のリビングダイニングに、水槽が4つある。
繰り返しになるが、小さかろうが大きかろうが水槽が1つ増えるごとにエアレーションと
「ベタ? え、何それ、その魚は今ある水槽に混ぜれんの?」
「混ぜれんのだわ」
【ベタ】
スズキ目キノボリウオ亜目オスフロネムス科ゴクラクギョ亜科ベタ属の淡水魚。
オスは闘争心が強く、ヒレの大きな魚を攻撃する習性がある。これを利用し、原産地タイではオス同士を戦わせる『闘魚』が行われている。
「何だってそんな凶暴な魚を」
「今日ショップ行ったら居ってさ〜すっごい綺麗なんだよ〜可愛いしさ〜1匹だけだし小さい容器でも飼えるらしいからさ〜」
言い出したら最後。キラキラした目で無限にベタの話をしてくる。後は推して知るべし。
こうしてベタが家にやってきた。
(※一応、飼育プランや水槽の配置などは事前に確認してます)
うちに来たのは、ハーフムーンという種類の、青色のベタ。
これがね、綺麗なのよ。
青と言っても、瑠璃色にピーコックブルーが絶妙な加減で入り混じる。尾ビレは豪奢なビロードのカーテンみたいなドレープを作る。
他の魚を視認すると、エラと全身のヒレを目一杯広げる『フレアリング』と呼ばれる威嚇行動を取る。
定期的にフレアリングさせないと筋肉が固まってしまうので、鏡を見せてそこに映った自分の姿に威嚇してもらうようにしている。
そんな性質の魚なので、割と人間にも反応してくれる。ガラスをトントンすれば寄ってくるし、何なら威嚇してくる。
ある意味でコミュニケーションが成立するので、子供たちには人気。
気を良くした夫が、もう1匹ベタを買ってきた。
今度はダブルテールという、尾ビレが上下に分かれた、背ビレの大きな品種。胴は深い藍色で、ヒレは鮮やかな緋色。尾ビレのところどころに、メッシュみたいにターコイズブルーが入っている。これまた綺麗。
いやいやちょっと待て。1匹ずつで飼わんといかんのでは。
「小さい水槽2つ並べて置くよ」
1つの装置をパイプで枝分かれさせて2つのベタ水槽に利用するレイアウトになった。いったいどういう構造になっているのか、私にはさっぱり分からない。
結局、水槽①は新たな台(物入れ付き)を買ってその上に載せた。
今まであった2階建てラックの、上段には水槽②、下段にベタ水槽2つという配置に。
そう。今、我が家のリビングダイニングに、水槽が4つある。
こうなってくると、大変なのはお手入れである。
どの水槽も、1〜2週間ごとに水換えをしなくてはならない。
フィルターも、中のスポンジみたいなやつが汚れてくると詰まってしまうので、定期的に掃除が必要。
最初の設置の段階から、水槽内のレイアウトや配線のことなど私には無理だなと思っていた。
しかし、水換えはもっと無理だ。水の量が半端ない。一番大きな水槽には100リットル以上も入る。水槽内の約半分の水を入れ替えるのに、22リットルバケツに水を満載した状態で何往復もあっちこっち持ち運ぶことになったりする。
またフィルターの掃除も一度手伝ってみたが、蓋やら何やらめちゃくちゃ固くて、開けるのにすごい力が要った。漏水しない構造になっているから仕方ないのだろう。フィルターの種類にも拠る? 他のを試す気にもならないけど。
夫がアクアリウムを始めてから日を増すごとに、これは完全にnot for meな趣味だなと実感している。
でも魚やエビは綺麗で可愛らしいので、やはり横から見るのがちょうどいい。
夫は仕事でいない時が多いのでエサだけはあげているが、朝晩の家事ハイタイムと重なるため、だいたい子供たちにやってもらっている。
つまり私はほとんど何もしていない。
その後も夫は「安かったから」とエンゼルフィッシュの赤ちゃんを買ってきたり、同僚の人が繁殖させたメダカを分けてもらったりしてきた。
【エンゼルフィッシュ】
矢尻みたいな形の熱帯魚。黄色と黒の縦縞〜斑模様。
買ってきた時は1.5センチくらいで可愛かったのに、エサをもりもり食べ、あっという間にでかくなった。最大10センチほどらしいが、縦長の形なのでやたら表面積が広い印象。
成長してチェリーシュリンプをつつき始めたので、エビのいる水槽からもう一方へ引っ越した。
食欲旺盛すぎて、ちょっと人間が通りがかっただけで全員前面に出てエサを要求してくる。貪欲なひな壇芸人か。
【メダカ】
小学校の理科の教科書にも載っている魚。尻ビレが平行四辺形なのがオス、小さめなのがメス。テストに出るよ!
うちに来たのは『楊貴妃』という鮮やかなオレンジ色の品種。めちゃ綺麗。
『めだかの学校』の歌詞にある通りそーっと上から覗いて見ると、すいすい泳ぐ姿が可愛らしい。
これまで紹介してきた通り、我が家にはいろいろな魚がいる。定員オーバーにならないのかと疑問に思う読者さまもいらっしゃることだろう。
それが、意外と大丈夫だったりする。そもそもなぜこんなに多様な種類をあれこれ迎えているのかというと、飼育が上手くいかない魚がいるからだ。
水質なのか何なのか、いろいろ試しても弱ってしまう種類の魚がいた。
病気になりやすい種類の魚もいた。
生き物を飼うのは、やはり簡単なことではないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます