第7話 龍は龍の心を知る
道三は三郎信長の長槍隊や鉄砲隊に驚愕の目をみはり、心の中で「
会見場所に指定した正徳寺に、古老の者八百人に
下剋上の
――青二才め、困らせてやる。
さしもの道三も信長を見くびっていたとしか思えない。だが、信長もまた道三をやり込めるための周到な準備を整えていたのだ。
正徳寺の控えの間に入るなり、信長は小姓らに命じた。
「わが
小姓らは、寄ってたかって、用意した
その美しくも堂々たる姿で、信長は道三と対した。
道三はまたもや驚愕した。青二才にしてやられたのである。
しかも、信長は道三と対しても、
両者、まじまじと睨み合うこと暫時。
ややあって、あまりの緊張感に耐えかねた道三の
「こちらが舅の道三さまにございまする」
と、告げるや、信長がようやく言葉を発した。
「で、あるか」
たいていの人間は、道三の鋭い眼で見据えられれば、瞬時にして
道三は信長の尋常ならざる器量を悟った。
対面を終えたあと、道三は信長との
美濃へと引き揚げる道三に、家臣の
「道三さまの前で、憎々しげなあの態度。やはり、噂どおりの大たわけでございましたな」
道三が答えた。
「ふふっ、三郎どのが大たわけと申すか。もし、大たわけなら、なおさら無念じゃ。わが
一方、尾張へと
龍は龍の心を知り、虎は虎の胸のうちを知る。
信長は指で人知れず
実の父信秀を亡くし、第二の父とも慕った傅役の平手政秀を自分のせいで自刃に追い込んだのだ。
信長のさびしい心は、第三の父を得た喜びにふるえていた。
そして、指で人知れず
「道三どの……
信長は頭上にひろがる
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