第34話
冬日となって、数日が経過しました。
今日はそれほど寒くなくて、雪も降っていないので、気温的には暖かい感じだった。
僕は、サーシャルランドのお菓子屋さん、シュガー・レストの店員として働いていると、一人の男性がやってきた。
その男性は見るからに貴族っぽい服装だったので、この人って貴族なのかな……と思ったけど、お客様なので、僕は笑顔で接客することにした。
「いらっしゃいませ、何か必要ですか?」
「この店にパーティーに出せそうなお菓子って無いか?」
「パーティーですか……ちょと店長に聞いてみますね?」
「ああ、すまない。よろしく頼む」
お客にそう言った後、僕は一度離れて、奥の部屋でお菓子を作っている店長のアニーさんに相談する事にした。
「アニーさん」
「ん、なーに?エフィー」
「お客様が、パーティー用のお菓子を希望しているのですけど……何かありますかね?」
「そうね……パーティー用だと、ショートパイっていうお菓子をおすすめするわ。これならパーティーで出されても問題はないはずよ?」
「ショートパイですか、解りました、お客様に勧めて見ますね」
僕はそう言って、お客様の所に戻り、お菓子の紹介をする。
「お待たせしました。パーティー用のお菓子ですと、ショートパイがおすすめです」
「ショートパイですか、ではそれを頂くとしよう。とりあえずあるだけ頼む」
「解りました」
僕はお客様に言われた通りに、お店で出されているショートパイ全てをお客様に提供する。
とりあえず……20個ぐらいあるんだけど……持ち運び出来るんだろうか?どう見ても一人だよね?気になったので、聞いて見ることにした。
「あの……多めに買っていって、持ち運びってどうするんですか?」
僕がそう聞いてみると、男の人が
「ああ、私は収納魔法を覚えてるんです、それで大量の荷物とか持ち運びが可能なんですよ、確かに普通だったら、持ち運びとか出来なそうな見えますよね?心配してくれてありがとうございます」
「いえ、気になったので……収納魔法ですか……と言う事は貴方は魔法使いなのですか?」
「いえ、執事です。執事ですけど収納魔法は覚えてるんですよ、では代金はいくらになりますかね?」
「あ、はい、全部で2000ベニーになります」
「では、これで」
男の人から品物の代金を受け取った後、執事さんがどうやら収納魔法を使うみたいなので、見させて貰った。
なんか……右手から黒い空間が出現したけど、この中に入れるのかな?と思ったら、買った品をどんどん入れたので、入れ終わると黒い空間が消滅したので、今のが収納魔法なんだと思う。
うーん……初めて見たけど、この魔法凄いのかな?まあ、便利そうではあるかな?僕にも使えたら便利そうだけど、僕ってどっちかというと戦士タイプなんだよね?剣を装備してるから、魔法は使えないと思う。魔法はアニーさんやアリスが使ってたし。
執事の男性がまた用が出来たら来ますと言ってお店を出て行った。
男の人が出て行った後、その次にやってきたのは、いつもこのお店に買いに来てくれてる子供達だった。
僕はいつものように子供達に向かって接客をする。
数時間後、お店の閉店時間になったので、お店を閉める事にした。
お店を閉めた後、店長のアニーさんに気になった事を聞いてみる事にした。
「アニーさん、今日やってきたお客様に収納魔法を使えた人がやってきたのですけど、アニーさんも収納魔法を覚えてるのですか?」
「収納魔法ね?まあ……収納魔法は、魔力が豊富にあって、魔術本に書かれてあるのをしっかりと習って習得する魔法よ?人によって容量が違うと思うわ、まあ……私も収納魔法は覚えてるし、それほど難しい魔法でもないわね。その人って商人だったの?」
「いえ、執事だって言ってましたよ」
「執事が収納魔法を覚えてたの……それは珍しいわね?執事はあまり魔法を覚える事はないと思ったんだけど……まあ、あると便利だから覚えていたと思うわよ?さ、それより明日の事を話すわよ?」
「明日の事ですか?」
「ええ、このサーシャルランドで明日はお祭りがあるのよ?名前は商人祭って言うの。このサーシャルランドって商人の町って言われてるぐらい商人が多いから、丁度冬日だし、夏日より人が来ないから祭りを開催するのよ、私達はお菓子屋さんだから、中央広場で出店を開いてお菓子を売る事にするわよ。なので明日の商人祭用の準備をするから、エフィー手伝ってくれない」
「分かりました」
僕はアニーさんに言われて商人祭用のお菓子の選別をする事にした。
それにしても商人祭ね?一体どんなお祭りなんだろう?凄く気になるけど、まあ楽しみでもあったので、明日は頑張ろうかな……と思ってるのでした。
TS少女のお菓子屋さん。 レイド @reidsann
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