龍と神殺し1 鳴子変

@yuto153

第1話 鳴子変

ーこの世とあの世を繋ぐ境界の世界、なぜかひそかに住まう人々がいた……


龍姫「ハァハァ…… そっちには居たか?」


 雷雨のなか街で目立つ和装をした二十歳程に見える長い黒髪の繊細な顔立ちで派手なワイシャツを着た少女は息を切らしながら電柱に手をつきながらスマホで会話をしていた。

 この少女は龍姫(りゅうき)本作の主人公の一人である。彼女は『龍神』と呼ばれる神である。


龗『いや、全く』


電話先の少年は言い切った

この少年は孤独龍 龗(ひとりがみ れい)能力者である。ちなみに17歳。


龗『たく、なんでこんなめんどくさい仕事をやらなくちゃいけないのか?』


また非常にめんどくさがりであった。


龍姫「お前が持ってきた仕事だろ!」


龗『はぁたく、僕は別の仕事があるからこんなことやらなくても収入的には……そろそろ探しに行くか』


龍姫「お前、今まで探してなかったのか?」


龗『今から探しに行くが?』


龍姫「おい!ちょっとまてぇー……」


レイは話も聞かず電話を切った。


龗「たく、なんで雷神の子探しに行かないといけないのか」


ため息を吐いてもはじまらない、龗は探し始めた。


いまこのバカ二人が何をしているかと言うと、20分前、龍姫と龗がバイト先の喫茶店で仕事をしていた時………


[20分前・境町(さかいまち)喫茶店 黒猫屋]


龗「僕の心のように空が青いなぁ、」


龍姫「どうしたドス暗い心の持ち主?」


龗「青春ってね、」


龍姫「………」


龗「………」


龗のつまらない一発芸のせいか急に天気が崩れ雷がなり激しい雨が降り、台風規模の嵐になった。


しかしこの二人、隣の家に飛んできた木がぶつかり粉砕されている所を見て「春雨かぁ」と言いこの超異常気象を不思議に思わなかった。


「龗はいるか!?」


いきなり嵐の中一人の銀髪で黄金色の目をした少年が入ってきた。


龍姫「いらっしゃいませ、ご自由な席にお座りください(棒)」


龗「雨がはいる早くドア閉めろよぉ」


少年「大変だ、龗」


この少年は雷神:火雷神 豪(ひらいがみ ごう)。この店の付近にある『火雷神社(ひらいじんじゃ)』に住みついてる雷神であった。ちなみに妹『鳴子(なるこ)』がおりシスコンである。なぜ神が普通に喫茶店に入って来ているのか?それはこの土地が神や人間が共存する理想郷であるとしか言いようがない。要は、そういう世界線だと思ってもらっていい。あと、龗は面倒くさがりなのでコイツの話を聞きたくない。


龗「たく、何があった?」


龗は不満げに聞いた


豪「妹が神社を出て行った……」


龍姫「………… は?」


龗「………… は?」


龍姫(要は、兄弟喧嘩……)


龗(まさか、兄弟喧嘩の仲介 やっぱり面倒くさい……)



豪「妹の姿が見当たらないんだ」


龗(そ、それだけ!?「こんな家出て行く!」とか言われたわけでもなく、喧嘩したわけもなくただ見当たらないから「探してくれと、」俺らはそれだけのために相談を受けているのか?いや相談を受けたつもりはないけど)


豪「龗、何か言ったか?」


龗「いや、特に……(エスパーが何か?)」


龍姫「『一緒に探せ』と、気にしすぎじゃないか?」


龗(ストレートに聞くか普通、いやこんなシスコンおにーちゃんと妹探しに付き合う流れ!??)


豪「いやこの天気を見てわからないのか!妹が、鳴(なり)ちゃんがこの異常気象を起こしているんだぞ可愛い、可愛い鳴ちゃんがこんなこと引き起こすなんて、俺は心配

だ、可愛いカワ……(以下略)」


このシスコンが言うにはこいつの妹『鳴子』が家出をし、なぜか自然災害(てか、意図的だから自然じゃないよな)を引き起こした主犯らしい。そしてそれを止めろと、(いや一人でやれ)ということで仕事をうけおいシスコンおにーちゃんと妹探しをしているわけである。一応それなりの報酬があるらしい(龗はサボり)



[境町 電波塔]


龗「あれ、何かがおかしい」

そういえば、この町はあの世とこの世の境界の町だが電波塔がある。そうこの世のテレビが見れるのだ、当然N○Kの受信料は払わなくて良い。ちなみに家賃の相場は5万円そんなことより龗は違和感を覚えた。龗と豪は雷雨のなか電波塔の頂上付近の避雷針のあたりから地面を見下ろしながら電話をかけた。


龗「豪、お前の妹はなぜ雷雨を起こした?」


豪「わかるわけないだろ、何も言わず出て行ってしまったのだから」


その返しで龗は違和感をより感じた。



古来より突然の雷雨や竜巻などは妖怪や祟り(たたり)による災害とされていた。それを総じて『異変』と呼ぶがこれも鳴子が引き起こしているのなら当然『異変』となる。ちなみにこの世で起こる不可解な自然災害も実は妖怪や神の仕業だったりする。そういえば境町では雷雨は止んでいた。なぜか今度は地上の東京という街に雷雨がきたらしい。


[境町 黒猫屋 (バイト募集中)]


黒猫屋マスター「ようやく雨が止みましたね。さて、龗と龍姫さんはどこに行ってしまったのでしょうか、」



[清達区 清達高校 特別風紀委員会]

この世にある東京の清達区には多くの『能力者』と呼ばれる人々がいる。能力者達は異能の力を使い軍の兵器を圧倒した。そんな清達には能力者の事件等を対処する高校生の高校生による高校生の為の組織。対能力者用特別部隊『特別風紀委員会(通称 特風)』が存在していた。


そして……この異常気象はただの自然現象では無いことも察していた。


[特別風紀委員会基幹会議]


副委員長 「計測班、主犯の能力、威力は?」

計測班班長 「被害の状況から見て四天王級である可能性があり、能力は雷雨制御(サンダーボルテージ)系列であると予想されます」

委員A「四天王級!?能力者最強のたった四人しか居ない四天王級が……ありえるのか?」

委員B「しかし、その四人のなかに雷雨制御(サンダーボルテージ)系列能力者は、居ませんよ、下位の上級能力者である可能性は!?」

計測班班長「しかし、この雷雨、神に近い力を持つ四天王級、いやそれ以上でなければありえない……」

副委員長「以上?まさか、神の領域に君臨する神話級能力者である可能性があるのか?」

人事班班長「存在するわけないだろう。能力者名簿にも乗ってない。まあいい、とりあえずここまで強い能力者は我々だけでは無理だ。"ある組織"に協力してもらう」

委員長「組織……?」

人事班班長「『サイコクレジット』」

委員長「まさか、最強の能力者 『紅魔皇帝(ブラッドエンペラー)』か!」


***

[東京都渋谷周辺路地]


渋谷のはずれの路地で黒い小さな体に見合わない足元まで覆う黒いコートに透明感のある白い肌に、血のように赤い瞳をした少女、能力者『S-1紅魔皇帝(ブラッドエンペラー)』は雨宿りをしていた。


男達「お嬢ちゃん、一緒に遊ばない?ここ居たら濡れちゃうよ」


雷雨の中、人目の届かない薄暗い路地で怪しげな男達がやってきて少女の周りを囲ってた。


男達「そんなに睨むなよw、ねぇ、ちょっとでいいからさぁ」


少年「やめとけよおっさんw 噛まれるぞ、」


その少し後ろで少女より少し年上に見える高校生くらいの制服の少年、能力者『S-4特異月夜(ルナティックリミテッド)』が笑いながら見ていた」


男達「なんだ てめぇ、こっちはこの子に用があるんだよ!調子に乗りやがって 殺すぞ、クソガキ」


特異月夜「殺す?生きてたらなぁ」


男達「何いってんだ 本当にぶちっ……グハァ」


バタ……バタ……


紅魔皇帝「[能力]"魂狩り(ソールハント)"」


男達は一瞬の内に身体中から出血し倒れていった。


特異月夜「言ったろ"噛まれる"ってさぁ」


紅魔皇帝「濡れたのはこの生ゴミ達だったなぁ」


特異月夜「そうだな、お前の場合、ついて行っても"濡れた"だろうがな」


紅魔皇帝「お前は私に消されたいのか?」


特異月夜「生ゴミと一緒にされるのはごめんだ、それより依頼だ、内容はこの雷の主を探し殲滅する事だ」


紅魔皇帝「雷をか?」


特異月夜「どうやら能力者によるものらしい」


紅魔皇帝「だからどうした、殲滅する必要があるのか?」


特異月夜「しらん 普通の人間には小雨でも不快らしいぞ、しかもその原因を除去したいとさえ思うらしい、全くわからないが」


紅魔皇帝「まあいい、それよりこれは能力者によるものではない」


特異月夜「もちろん、肌で感じる。これは『異変』だ」




鳴子「は、私はなぜこんな所に?」

雷雲の黒くて分厚い雲の中で鳴子は目を覚ました。そして地上の様子も見て取れた。

……!?、まさか私が引き起こしたのかこの雷雨を、懐かしいなもうこんな雷雨を引き起こしたのは500年ぶりだ」


過去の惨劇を思い出して言った


鳴子「しかし、私はもうこんな事はしたくない。この雲で囲われた雲の部屋から私が抜ければ術は自動的に解け、この雷雨も収まる」

そう思って雲から出ようとすると、


バチッ!


雲に触れた瞬間、火花が散りどうやら結界が張られており出ることはできないらしかった。


鳴子「なるほど、私を閉じ込めてこの異変の主犯に仕立て上げたいのか、しかしだれが?」

鳴子は色々試した結果、自身の神通力を使っても雷雨を止めることは出来なかった。むしろどんどんと雷雨は強さを増して行った。


ニュースキャスター『現在、発生している突発的な雷雨により東京では分間200ミリ、さいたま、横浜では100ミリの記録的大雨です。………』


誰もいない渋谷スクランブル交差点の大型液晶に大雨のザーという音と共に天気速報が流れた。


鳴子「どうすれば……そうだ私はこうなんだ、」



豪「龗、お前は知っているか?私達兄妹がこの世から境界の街境に来た理由を」


龗「さっきも言っただろ、知らないと、」


豪「鳴子と俺は人間のごく普通の兄妹だった………」



鳴子はあることに気づいた。「これは自身の夢だと」つまりはこの雷雨を引き起こしているのは自分ではない誰かが自身の体に入り込み思い通りに支配していることに気づいたのだ、


特異月夜「何だこの子は!?」

特異月夜と紅魔皇帝は雲の中に侵入して驚いた。


目の前にいる幼く可愛らしい幼女がこの異変の犯人であったこともそうだが、彼女の目は紅く染まり周囲を青白いオーラで覆われていたからだ。そこからは溢れんばかりの力で溢れ、二人を超越する力の持ち主だったことにも脅威した。しかし絶望はしなかった。二人には何かがわかった、それゆえに何としても倒してはいけないと感じたのだった。



(………誰、私に入り込んで悪さをするのは、)


心層世界の暗き地で鳴子は『何か』に話しかけた。


(??? いや違うお前を操っているのはお前自身だ)


『何か』は答えた。


鳴子『だれ、あなたは?』


何か『我はお前自身でお前は我なのだ』


鳴子『………』


闇鳴『まあよい、理解できないのも無理はない。我はお前の闇から生まれたお前の闇の神『闇鳴(あんめい)』と呼ぶといい』


鳴子『やめて、こんなことして何になるの?』


闇鳴『何になる?なにをとぼけたことを言っている?これはお前の望みだったはずだろ、人間への復讐は、まあいい……この雷雨はあと少しで、水害を起こし街を破壊し、人間を大勢殺す。鳴子よ、我らの希望は叶うぞ』


……古いはなし。私と兄様が人間だった頃


私と兄様はその頃はただの遊び仲間だった。その頃は兄様とは呼ばず今となっては忘れてしまった人間の名で呼んでいた。兄様も私を人間の名で呼んでくれた。そして私は兄様が好きだった。おそらく兄様は気づいていなかっただろう。しかし私は「ずっと一緒に居たい」と兄様に言った。すると兄様も「死ぬまで一緒に居るよあの世に行ってでも」と言ってくれた。私と兄様が死んだのはそれから少したってからだった。雷雨の夜、私と兄様は雷に撃たれて焼け死んだ。私は、神に願った来世でも兄様と一緒に居たいと......。

人々はまだ若い私たち2人の死を悲劇と感じたのか社(やしろ)を立て私たちの遺品をそこで祀った。私たちはそれにより『雷神』に昇華し永遠に近い寿命と力を得た。こうして私達兄妹は、その神社の祭神となりその地の人々を守った。人々は私達兄妹を崇め、私達は静かに終わったはずの余生を過ごした………。しかし長くは続かなかった。数年が経ち、この地で凶作が起こった。私達兄妹は洪水が起こるほどの雨を降らした。しかし作物は実らず私達には原因が分からずにどうする事も出来なかった。人々は凶作の原因を私達のせいにして私達の社を焼き払った。そして私達はすみかを無くしてしまったのだ、それよりも悲しかったのは私達の社で巫女をしていた琥珀色の瞳をした可愛らしい少女が左頬と背中にやけどを負ってしまったことであった。悲しみはすぐに怒りへと変わり私達は心に闇を抱き人々を雷で撃ち殺してしまった。そんな時、人々を救うべく一人の少女が『カミゴロシ』称される大剣で私達兄妹をまとめて斬り殺した。私は首を切られ落ちていく僅かな時間にその少女を見るとその左頬には火傷があった。そして涙を流していた。私は思ったこの少女の大切な人を奪ってしまったのではないかと……。死後、私達の魂は黄泉には行かず、境界の街、境町に降り立った。それから500年、同じ事にしたくはない。


(これは私の願いなのか?人々への復讐は、)


闇鳴『お前は琥珀の巫女に倒されて、復讐は諦めてしまったのか?』


私の闇は静かに言う。これが私の望みなのかと思わせるように、でも違う、私は社を焼かれたが同じことを人々にする事が私、いや私達兄妹の願いではないことをしっているだから私は戦わなくてはならない、私自身の闇と、


鳴子『知らない!私を殺した琥珀の瞳をした巫女の少女ももう寿命で死んだ、恨む人間はもうこの世には居ない。強いて言うならば、私が恨む相手はお前だ、闇鳴!』



龗「そうか……」

龗は察していたかのように言った。

「君は何が悔いだったんだい?」


豪「龗……。俺は怒りで周りが見えないまま多くの人間を殺してしまった鳴子を止められなかったことと、琥珀の巫女を救えなかったことだ……」


龗「君は恨んではいないのか、人間を。ならたぶん鳴子も同じ事を思っているよ、」


豪「もしかして龗はわかっていたのか?俺は鳴子が家出をしたといったよな、」


龗「え?」(うん、結局経緯とか何も聞いてないんだよな)


豪「本当は喧嘩をして出て行ってしまったんだ」


龗「(だいたい想像ついたよ)そうか」


豪「でもこの異変とは全く関係のない話だった。知りたいか?」


龗「い、いや、だ大丈夫だ(聞きたくねぇ……)」


豪「出て行ってすぐ急に雨に降られ、雷雨になった。そしてその雷を鳴子が起こしたものだとわかったんだ」


龗「シスコンおにーちゃんには妹の雷かもわかるんだ、」


豪「なんか言ったか?」


龗「別に」



紅魔皇帝と特異月夜は何がに気づいた。


紅魔皇帝「そうだ、この雷神 何か別なものに操られているのか?」


特異月夜「紅魔、俺もそう思うしかし操っている奴を倒す方法がない。もしこのまま倒してしまったら操られている奴も倒すことになる」


その少女は手のひらを二人に向けた。


少女「"[神通力]激雷 礫碧"」


激しく青白く光る雷が二人を貫こうとした。しかし二人はかわし雷は雲を貫き後方にあったビル群を粉砕した。


紅魔皇帝「さすがは神々の領域に達する力、しかしこれ以上被害を出すわけにもいかないな、ルナ、街を守るぞ!」




鳴子『 私が恨む相手はお前だ、闇鳴!』


闇鳴『ほぉぉ、我とやる気かぁ? 覚悟は出来ているんだろうなぁ!』


二つの稲妻が黒い雲の中で激突した。その余波で現実世界の鳴子の周りに青白い光が見えた


特異月夜「なんだ?なにが起きてる?」


紅魔皇帝「今はどうでもいい、全ての攻撃を止めるぞ!」


闇鳴『外は騒がしいのぉ   ……[神通力]"千雷"」


外の世界では鳴子の周りに無数光の矢が出現し二人を目掛けて雷の如く飛んできた。


特異月夜「[能力]"暗黒月光(シャドールナティックレーザー)"」


黒く光る極太のレーザーが鳴子の生み出した千雷にぶつかり撃ち抜いた



龗「あの二人では守ることしかできない。彼らが攻撃すると、鳴子の身体を傷つけることになるからね、だからと言って鳴子に眠る闇人格を野放しにするのも気分が悪い、」


豪「おいまさか……鳴子を殺すつもりか!?」


龗「そうなる前に俺を殺すか?無理だろうな!お前もわかっているんだろう?もし闇人格が鳴子自身を乗っとればもうそれは鳴子ではないことぐらい。そしてそうなってしまえば、鳴子は厄神となって手のつけようがないことも、

まあ、どちらにせよ……俺には殺せるが」


豪「じゃあ俺はどうすれば……」


龗「鳴子を信じろ、おそらく心のなかで鳴子の善の感情は闇と戦っている」


豪「それしかないのか……」


龗「(大丈夫だ、鳴子ならきっと もしなんとかならなかったらおれが救ってやる、死ではない救済を 俺だって知っているんだ。大切な奴がいなくなる苦しみは)」



鳴子と闇鳴は激戦を繰り広げていた。違いに雷を生み出しそれにより生じた火花が周りに降り注いだ。違いに疲弊し力は互角であった。当然だ互いに互い同士だからだ


闇鳴「はぁ、はぁ、 鳴子 わが同志よ そろそろ決着をつけよう」


鳴子「はぁ はぁ はぁ……そうだなお前も所詮私なのだから過去の過ちは私が償う」


鳴子は折れた刀のようなものを取り出した。


闇鳴「なんだ? ……まさか」


鳴子「覚えているだろう、あの刀を これはカミゴロシと呼ばれ私達の首をはねた刀のかけらだ」


闇鳴「その刀で、私をかぁ、 やれるものならやってみろ!」


(鳴子よ愛しい私の片割れよ古き鎖を解き放ち楽になれ……私というカルマを切り捨てろ……)


鳴子は闇鳴に飛びかかり闇鳴の胸元に刀のかけらを突き刺した。


「ぐはっ」


鳴子「闇鳴……お前は終わりだ、 ……ありがとう」


突き刺した刀のかけらでそのまま胸元を横に切り裂いた。赤い鮮血が吹き出しそのまま灰となって消えていった。


『鳴子、ありがとう』そう聞こえた気がした。それからのことを私は覚えていない。



[3カ月後]


今年は鳴子の一件で梅雨がいつもよりも早かった。

龗は雨の中渋谷にある高校にいつも通り向かっていた。


割と長い時間が経ちほとんどの人間はただの自然災害だと思っているらしい。しかしながら被害は多かった。境町では雷雨により数人の人間が死亡。東京では一部が水没し、怪我人2300名、死者240名、の被害が出た。避雷針は意味を成さず鳴子の雷は地面に直撃し、その場にいた多くの人間が死んだ。これを悲劇と見るのは人間様の勝手だが、魂は境界を渡り冥界へと送られ、輪廻の風車を回す結果となり、輪廻が廻ることを好む存在からしたら良かった。正直、人間以外からすると、人の死は好都合だったりする。


龗「散々だったな(他人事)」


実は、龗が真の意味での主犯であると言っても過言ではない。(いや言い方よ)


鳴子がなぜ自身の闇に支配されたか?未だに未解決な難題だが、鳴子は覚えていないらしい。(よかった……)

しかし豪との兄妹喧嘩は全く関係なかった。


[3カ月前 豪と鳴子が喧嘩をした直後]


鳴子「お、龗」


龗「鳴子どうした?」


鳴子「うちのクソ兄が……(意外略)…」


龗「そうか、てっきりあの日の復讐でもするのかと笑」


当然、龗は冗談のつもりだった。しかし鳴子は……


鳴子「そうだな、 もしかしたら私はあの地に行き克服しなければならないのかもな」


鳴子はガチで考えた。鳴子が境界に隔離している理由、それは鳴子の闇を永久的に封じるため、あの日のことを思い出さないようにしているためだった(あの日のことはNGワードなのだ)。

そんなわけで鳴子をそそのかし(故意ではない)鳴子の闇を発動させた龗だが、今のところバレていないのである。



○このシリーズは龗と龍姫が全4話で異能の力をもつ能力者の住まう町で怪事件、異変を解決したり引き起こしたり(特に龗)する物語である。


※一応本人達は解決しているつもりです。


***伏線


[学校付近の稲荷横道]

男「貴様が龗か?」


龗「そうですが 何か?」


カール少尉「我は地獄革命軍親衛隊真英派少尉カールス、貴様を冥界に送る者だ」


龗「僕を殺せるとでも?」


カール少尉「所詮は地上の人間、地獄の我にかなうはずがない?この剣を見よ、神剣 鬼炎(きえん)を」


龗「たく、めんどくさいな、


"[禁忌]カミゴロシの生贄となれ 『カミゴロシ』"」


そして攻撃によりカールスという男は消滅した。


龗「真英派?」



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