怪談夢屋の夢

怪談夢屋

第1夢 8時間弱、延々と米を炊いて研究する夢

 目が覚めると、知らないキッチンにいた。

目の前には調理台、その上には炊飯器が乗っている。近くには茶碗と箸としゃもじ、他にも生米の入っているであろう米櫃などがあった。


 僕は徐にその炊飯器を開けて、真っ白な炊き立てのご飯と対面した。疑問はない。この米は夢の中で僕が炊いたので炊飯器を開ける事にはなんの違和感も感じなかった。


 白い、艶々の炊き立ての白米が炊き立てほやほやの状態でそこにあった。なんの変哲もないただの白米。おいしそう。


 夢の中の僕はそばにあった陶器の茶碗にその炊き立てのご飯を盛って、躊躇なく食べた。


 「おいしい」


 夢の中の僕は白米を食べるなりポケットに入っていた小さなノートを取り出し

【2合のお米】【水はそのまま】

とメモを取った。今回はこの合数にこの量の水を入れたのだ。


 “次は5ml増やしてみよう”

 ナチュラルにそう考えた。


 夢の中の僕は、どうやら米の炊き方の研究をしていたらしい。その後も次々と米を炊いた。

水を増やしたり減らしたりして、炊き上がったら一膳食べては「おいしい」「水加減は今の方がいい」「柔らかいけれどもこれもまたおいしい」とかひたすら米を炊いては食べて、満足していた。


 寝入り端から起きるまで、ひたすらに米を炊いては食べた。水加減のレシピも綴った。10回とまではいかないけれど、何回目かのお米を炊いたあたりで目が覚めた。


 おこめ美味しかったな…という気持ちだけが今も残り続けている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

怪談夢屋の夢 怪談夢屋 @kaidanyumeya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ