しっかし、現に売れてるものをバカにしたがる心理ってなんなんだろうね? 商売なんだから売れなきゃ意味ないわけで、それでやってるってことは商売として成立するだけの市場があるってことじゃん

 しっかし、現に売れてるものをバカにしたがる心理ってなんなんだろうね?

 商売なんだから売れなきゃ意味ないわけで、それでやってるってことは商売として成立するだけの市場があるってことじゃん。なんでその現実が見えないの?

 まあ、見たくないだけだろうけどさ。

 自分の好みに合わないものが、商売として成立するくらいに人気があるってことを。

 たぶん、自分の好みに合わないものが持て囃されるってこと自体、自分が否定されたような気がするんだろうね。

 私は、自分の子供達にそんな想いさせないよ? 少数派だって全然構わない。だって私にとって私の子供達は、世界の全てだから。

 自分の好みに合うものしか認められない人って、自分の親にそう言ってもらえなかったの? 実感させてもらえなかったの?

 まあ確かに、口先だけの親にそんなこと言われたって納得はできないでしょうけどさ。

 ってか逆に不信感ばかりになって自分の価値観しか認めないのになりそうだとは思う。

 私の兄がまさにそれ。

 両親から溺愛されて、

『お前は素晴らしい!』

『あなたこそがこの世の宝!』

 的に言われてきたのを私も傍で見てたけど、兄が内心じゃ両親のことをバカにしてたのも知ってる。

『口先ばっかりのバカな大人』

 って思ってたのも知ってる。

 だけど自分を持ち上げてくれるからそれなりに気分は良かったんだろうね。それに応えていい子のフリをしてればそれこそちやほやしてくれてたし。

 でもさ、よくよく考えたら、両親は兄のことを認めてたわけじゃないんだっていうのも自分が親になったからこそ分かるんだ。

 兄のことを認めてるフリして、実際には、

『優秀な子供を育てられてる自分自身に酔ってる』

 だけだったのも今なら分かる。

 兄のことを褒めてるつもりで自分で自分を褒めてるっていうね。

 でもさ~。そうじゃない。そうじゃないんだよな~。そんなのは子供に見透かされるんだよ。そしてバカにされる。見下される。信頼されない。

 でも、私の両親は、自分のためにしか子供を育てられない人だったから、どう頑張ってもあの結末だったんだろうけどね。

 元より子供を持ったこと自体が間違いだったんだろう。適性がなかったんだよ。たぶん。

 そういう私も、今の夫と出逢ってなかったら子供なんか生まなかったけどさ。無理して子供作ったって、両親と違う道を歩もうとして結局は似たような結果に終わるパターンになってた気しかしない。

 私は出逢いに恵まれただけだ。


 とにかく、私の子供達は、他人をバカにすることで相対的に自分の価値を上げようとする必要がないから、基本的にはしない。嫌な思いしても家の中で吐き出せばそれで終わり。外には向けないんだ。

 私は、夫とは<事実婚>なんだ。その上で子供達を生んだ。今の世の中じゃそれをよく思わない人が少なくないことは知ってる、知った上でそれを選んだ。

 つまり、私の子供達は、

 <事実婚を選んだ両親>

 だと分かってて私達のところに生まれてきてくれたわけじゃない。どう転んでも、私と夫が勝手に子供達をこの世に送り出したんだ。その事実は天地がひっくり返ったって変わらない。

 だったらさ、この世ってのがどういうところで、その中でどうやって生きていったらいいのかを、本人が理解するまでちゃんと教えていってあげるのが<親>することじゃん? 

 子供を、本人の承諾なくこの世に勝手に送り出したっていう行いの<尻拭い>をする義務が親にはあると思うんだけど?

 親である私が選んだ<職業作家>っていう仕事にまつわるあれこれに絡めてこの世ってものを理解してもらうのも、その一つなんだよね。


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蒼井霧雨 ~私が子供達に伝えたいこと~ 京衛武百十 @km110

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