企画入賞レビュー「人付き合いは面倒くさいもの」


 日常系の作品が何を楽しむものであるか「わかっている」人の作品です。
 時期は大晦日、忙しく働きづめの一年を終えてようやく一息つける至福の時。そんな時にルームメイトが「年越しそば」を食べようと提案してカップ麺を買ってくるのですが……なんとコヤツ、赤いきつねと緑のたぬきを一つずつ購入してきやがったではないですか。
 果たして年越し蕎麦にありつけるのはどっちなのか!?

 野郎二人が帰郷もせず、二人っきりで年越し蕎麦。
 しかも少々ひねくれた変わり者が相手だと苦労もヒトシオです。
 それでもそこにギスギスした空気や本気の口論はありません。
 穏やかで微笑ましい軽口のたたき合いがあるだけなのです。
 なぜなら、勝手知ったる友達同士だから。

 お疲れ様、来年も宜しくね。
 誰かにそう言える事こそが幸せなのだと、いつか別々の道を歩み始めた時に彼らはきっと気付くのでしょう。だからこそ、このかけがえのない幸福を蕎麦やうどんと共に噛みしめて欲しいですね。
 小難しい話を抜きにすれば、個性的なキャラクターの掛け合いとちょっとした謎解きが同時に楽しめてとってもお得。そして心温まる友情がここにはあるということです。
 それが日常系作品の「面白い」ということ。
 面白い日常系をお探しであれば、是非!