乙女心はわからない。

この歳になっても、乙女心はわからない。きっと、一生掛けてもわからないままなのだろう。

でも、そこには確かにあまっずっぱい香りが漂っていて、それに全く気が付かないほどまでに鈍くはない。男性とはそういう生き物なのだ。

きっと彼女は自分に何かを期待しているのだろう。でも、それに適した解答を導き出せる自信はなく、当たり障りのない反応しか返せない……。

遠い過去となってしまった青春時代の経験や体験を思い出さずにはいられない、あのムズムズと胸が騒ぐような感覚を味わえた。

学生なりの精一杯のロマンスは飾り気がないだけ爽やかで良い。そこには詩的な情緒が自然と滲み出すものなのだ。微笑ましい小説だった。