助けて妖精さん!

@murota

助けて妖精さん!〜出会いの季節編

【妖精さん】(不問)

 手のひらサイズで、羽根が生えた全身黒タイツの小人。

 フヌケくんにいつも人生のアドバイスをしたり、魔法のちからで助けたりしているよ!

 裏声で巻き舌!かなり口が悪いよ!

 今回はあんまり喋らないよ!


【フヌケくん】(不問)

 好きな子に告白したい男子中学生だよ!

 の○太みたいな感じだよ!


【リカちゃん】(不問)

 清楚なJCだよ!

 フヌケくんの好きな相手だよ!

 あんまり喋らないよ!

 どっかと兼ね役でもいいよ!


【ナレーション】(不問)

 滅茶苦茶な二人を解説する人だよ!

 めっちゃ他人事みたいに読むよ!





本編





フヌケくん

「じゃあお母さん!いってきまーす!」



ナレーション

 春。

 それは、出会いの季節。

 うすしお中学へ、入学そうそう遅刻をしてしまった彼の名は、ふぬ田 ぬけ尾。

 通称、フヌケくん。

 彼は今日もひた走る。



フヌケくん

「あれー僕遅刻してる設定なの!?

 い、いっけねー、チコクチコク!

 入学初日なのに、顔も知らない皆んなに、『遅刻しまし太郎』なんてあだ名つけられるのヤダよー!

 うわーーーん(><)」



ナレーション

 見ての通り、彼は、情けない男である。

 無論、彼女もいない。

 だがそんな彼の人生にも、ターニングポイントが存在する。

 この出会いが、彼の人生を一変させる。

 ・入学初日。

 ・遅刻する主人公。

 ・「いっけねーチコクチコク!」のセリフ。

 あとは、「食パン」と「曲がり角」があれば、全ての条件がそろうだろう。



フヌケくん

「うわっ、カバンの中に食パンがある!

 朝ごはん食べてなかったから、めちゃめちゃ美味そうだーー!モグモグ!!

 アーーーー!あんなところに曲がり角が!まるでラブコメみたいな、お約束な展開だぁ!」



ナレーション

 そう、お約束の展開である。

 このシチュエーション、曲がり角でぶつかる相手といえば、たった一つしかない。



フヌケくん

「あぶな〜い__ブゴガハァッ!?!?」



ナレーション

 自転車である。



フヌケくん

「ゴホッ!!うごぁぁガハッ……!ァァァアァァア!!」



ナレーション

 数メートル吹っ飛んで、曲がり角の「角の部分」に叩きつけられた彼は、大量に吐血しながらも、その光景を…



フヌケくん

「むりむりむりむりむり、死にます……」



ナレーション

 ……その光景を垣間見て



フヌケくん

「ヤダヤダむりーーもう死ぬーーー!!」



ナレーション

 その光景を、、……(クソデカいため息)

 目の前に美少女がいた。



フヌケくん

「へあっ!?」



リカちゃん

「__コンクリートからお花が……しおれてるけど、綺麗に咲いてる。私もこの子みたいに、咲き続けなきゃ……!」



フヌケくん

「女 神 降 臨!!!?」


リカちゃん

「え!? あ、あの……大丈夫ですか!?」



フヌケくん

「ダイジョウブ、です👍!!!

 あの、お名前聞いても!?」



リカちゃん

「え、でも、口や耳や鼻から血が」



フヌケくん

「ウゴホッ!

 イヤアノコレ……!

 ((((( い ち ご ジ ャ ム ))))))です!!

 あ、僕の名前は、フヌケです!!

 名前は!?」



リカちゃん

「えぇ……リカです」



フヌケくん

「ホァァァァアァァア!!

 天ッ、使ッッ……バタッ(気絶)」



ナレーション

 彼は衝撃と貧血で気絶した。

 ……春。

 それは、出会いの季節。

 彼の人生を一変させる出会いは、もう少し先の話……。



リカちゃん【タイトルコール】

助けて!妖〜精〜さ〜ん!




フヌケくん

「んんあぁ……リカちゃん……好きだ」



ナレーション

 あれから、数時間後。

 無事、登校できたフヌケは、初恋の余韻にむしゃぶりついていた。

 てか、気持ち悪っ。



フヌケくん

「もしかしてこれって、運命の出会い!?」



ナレーション

 めんどくさっ。

 そして放課後。



フヌケくん

「あれ、でもまだ登校したばっか」



ナレーション

 そして放課後。

 彼のクラスメイトと「明日からよろしくな!遅刻フヌケ太郎www」と挨拶をすませ、その帰り道のことである。



フヌケくん

「ええ!?

 ……あーあ、変なあだ名付けられちゃったよ。さいあくだー(><)

 今日はもうさっさと帰ろ……」



ナレーション

 だが、リカちゃんと同じクラスだったので!彼は寄り道したい気持ちになった。



フヌケくん

「えーーーー!?

 リカちゃんと同じクラス!?になったから気分良いや〜!明日から楽しみだなー!寄り道しちゃお〜痛ッテ!」



ナレーション

 スキップしながら前を見ずに寄り道していた彼は、目の前の古いガチャポン機に、足のすねを強打した。



フヌケくん

「それめっちゃ痛いやつ!ァァァアァァア!?!?ナニ……コレッッ!

 なんで道の真ん中にこんなのあるのお!?」



ナレーション

 痛みで飛び上がった反動で、彼の財布から500円が転げ落ち、ガチャポン機に吸い込まれた。



フヌケくん

「ええたっか!?

 あぁぁ……僕の500円がー!」



ナレーション

 ガチャポン機からカプセルが出てくる。



フヌケくん

「とほほ……散々だー……もういいや、中身なんだろ?500円もするんだから、ちゃちなキーホルダーだったら許さないぞぉ……」



ナレーション

 少年はカプセルを開けた。

 ……春。

 それは、出会いの季節。



フヌケくん

「んん?全身黒タイツの人形?

 なんのキャラ?」



ナレーション

 この出会いが、彼の人生を一変させる。













妖精さん

「  な  ん  や  ワレ。

 何ガン飛ばしと____」














ナレーション

 秒でカプセルを閉じるフヌケ。



フヌケくん

「…………ハニャ??????」



ナレーション

 もう一度カプセルを開けるフヌケ。



妖精さん

「____んねん!イテコマすぞタコ坊__


【カプセルをまた閉じるが、声がカプセル越しに聞こえる】


(__主コラなにシカトしとんねんワレの売ったケンカやろがいケジメつけろやア"ア"ン!

 ひよってんやないぞタイマン張れや!)____



【妖精のセリフを無視して】

フヌケ「……よし!帰って明日の準備しよ!」



妖精さん

【カプセル越しにクソデカい大声】

(無 視 す ん な や ワ レ!!)______」



ナレーション

 これはまだ、序章に過ぎない。

 次回、助けて妖精さん エジプト編へ続く!



妖精さん【タイトルコール】

助けて妖"精"さ"ん"!(ヤクザ風に)





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