第17話 B-T-Beauty-Brother-Boozing!2
リストの連中はちょっとずつ、取り込んでいく事にした。
どうにも頭のキレるやつがこの街にいるらしい。墓場のおねーさんとうちの
そいつを炙り出し、燻り出し、袋のネズミでコブクロキンカン燻製玉子のダブルピースにして美味しく頂いてしまおうというわけである。いやすまん。牧場おねーさんがニワトリを捌いてくれててそっちに夢中になってた。
血と肉汁が鉄板の上でしたたり良い塩梅だ。昨日は朝から晩まで慌ただしくて体の休まる暇がなかったからな。1羽丸々平らげたらガンガンエネルギーが湧いてくるぜ。精気魔力経験値はたくさん吸ったんだがな。昨日はそっから吸わせることで還元しちゃったからかね。
昨夜、癖歪みの授乳入信を終えて翌朝。行けてなかった牧場おねーさんの所へ顔を出し、家畜の世話をしてそのまま朝食をご馳走になっている状況である。
邪聖少年と癖歪み武家にも牧場を手伝わせ、そのまま鉄板囲んで朝食兼会議中なのだ。邪聖はそつなく、癖歪みは武家なので馬関係、俺も伊達にトナカイ小屋で飼われていたわけじゃないぜ。畜産は得意分野さ。種付けとかな。
「属性が悪に転じた。きっと貴殿の影響なのだろうな」
へえ。めずらし。何かしら日々の蓄積やら特殊なアイテムでもないとそうそう変わらないのに。何しろ運命から悪の太鼓判をスタンプされてしまうのだからな。腹パン神官も幼馴染み三人衆も善属性のままだったし。こいつの運命が変わったってことか。きっと現体制の破壊。癖歪みん家の御家騒動をだいぶ騒動させてしまうのだろうな。
焼いた肉を二人に振り分ける。食べろ食べろ俺の肉だ。
「特にお前、ガタイ良いのに胸だけ足りないからな。肉と乳をいっぱい摂れよ」
カタン、と箸が転がる。お年頃なのでわははと笑っておいた。
「B兄ちゃん。この人は男だよ」
今度は俺の箸が落ちた。ウソだろ。
首筋、脇の下、臍の下と鼻を近づけ嗅いでいく。むう、サキュバスセンサー的にも、雄っぽい女判定なんだが。
そう言ったらめっちゃ落ち込んでた癖歪み。
男となると話が変わってくる。例えば
なるほど、訓練所で苛烈に戦っていたのはガタイにもの言わせてのある種、持つ者の傲慢だと思っていたのだが、真実は持たざる者の虚勢であったのだ。
「まあ、良いんじゃねえの。可愛いっつうか、美しいし」
落ち込んでた癖歪みがガバリと顔を上げ膝を打つ。情緒不安定か。
「そうなのだ!貴殿を見て考え方を変えた。強く美しい貴殿に惚れ込んで、美人などと揶揄されてきたこの顔を、初めて好きになれたのだ!」
「そうだぞ。美しいは正義だ」
「「おお!美しいは、正義!」」
癖歪みと邪聖がユニゾンで気勢あげた。こいつも女顔だからな。まあ、女の美形は男顔、男の美形は女顔と大体相場が決まってるもんだ。結局は中性的な、中央中間に評価は収束するものさ。中立属性が一番厄介な能力持ってたりするしな。道士仙人あたりとか。
癖歪みの職業は《忍者大名》。君主系と侍系の複合職たる《大名》系統にして盗賊系上位職《忍者》でもある。
今までコンプレックスからゴツい大鎧を無理して着ていた様だが、まあ大名系なので大鎧は着れなくはないのだが、職業的にも本人の資質的にも忍者よりな様なので教会のおねーさんの支給品も含め、戦い方を研究していく事になりそうだ。
何で癖歪みの戦い方の面倒なんて見てるのかと言われれば俺のパーティーに加わるからである。
可愛い邪聖少年との愛の巣にこんな猪武者忍者を入れなければならないのかと抗議したいが、悪属性は少数派で何人いるかわからんし、せっかく授乳してまで入信させた我が子だしな。
まあ、見た目が少女の
「で、ジョンーー、
「あ、私も、いや、拙者も名前を捨てるよ。例えまだバレていなくとも御家への裏切りだ。家名も名乗れない」
「まあ、しばらくの話さ。そのうち名乗れる様に、お前こそが家そのもの、にしてやるよ」
で、何て名乗るんだ。
「ライ麦畑…が良いな」
ビューティーといいライ麦畑といい、変なのばっかりだな。何か棄てられない思い出の名残か何かなんだろうか。普段は癖歪み呼びでいいか。
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