第2話 blue-bad-boy2
母性全開したお姉さんの隣、これまたお美事なお姉さんがいたので口説きつつ装備を受け取った。
こちらは比較的話のわかる人で、明け透けに裸体晒すよりも、髪や翼や尾で上手く局部を隠した方がより扇情的ではないかとのご意見をいただいた。
これは効果覿面であった。隠してないとあからさまに、見てはいけないもの、なので強い倫理観のあるものは自分を押さえつけるのだろう。しかし、隠してしまえば、たとえ視線が向かっても問題ないのだ。だって隠れているんだもの。
《神職》や《君主》系統の少年少女もこれには堪らず、といった具合だ。気分が良い。
自己肯定感をあげつつ、装備を確かめるために宿屋へと向かった。
貰った《もちもの鞄》から装備一式を取り出す。
革の帽子
革の外套
革の腰帯
革の手袋
革の籠手
革の長靴
投石紐
ナイフ
流石最上位職。点数がやたら多いな。普通は剣と革の胴鎧と鎧下代わりの布の服の三点くらいだ。
神の加護に満ちた、《必要最低限の性能を維持》という素晴らしい効果があり、破損しても一晩経てばたちまち直る。
もし故郷を捨て深くダンジョンに潜るならば、やがて宿の肥やしになる装備たちだが、村へ戻る少年少女たちには一生物だ。これも富国強兵の一環なのだろう。
特に靴関係を貰える職業はアタリだ。必要最低限の性能、つまり新品の様に固くも、へたれて履き潰すこともなくメンテナンスフリー。常に履き慣れた具合で歩け、臭くもならない。臭くもならない!布の服も、洗濯も補修も要らないので長旅にたいへん重宝するのだ。
外を知らぬ古い古い国の人間にはこの有り難みがわからないだろうが。俺は過去生、加護の届かぬ地の冒険で思い知った。今生もありがとう神様。さっそく装備させていただきます。
気づいた。
貰った装備に布の服が無ぇ。
コートとロングブーツの内側は全裸である。
受付のお姉さんとのやり取りを真に受けたのかもしれん。おお、神よ。
まあ、いい。受付のお姉さんの件は後の楽しみに取って置くとして、一式装備して宿を離れ、ギルド併設の酒場へ向かった。
受付、装備支給のとはこれまた毛並みの違うお姉さんがグラスを磨いていた。
この街では酒の飲める年齢の客はいないし、ガラスの容器なんておっかなくて誰も使っていないが、あれ何で磨いているんだ?私物とかか?
特にメモに刻んでないし記憶にも無いが、これ毎度毎度思ってんのかな、俺。
「ミルクをくださイ」
「それなら私が」
「「出ねーだろ、ひっこんでろ受付ェ」」
酒場のお姉さんと息が合った。毎回あんな調子なのかな大変だな。毎回あんな調子だったか?これメモッとかなきゃいかん内容じゃね?
念のため心のノートをめくってみる。
『初心者の街の住人について』
・霊験あらたかなる《初心者の街》で、神に仕える女神官様方。慈愛の心深く、我らを見守って下さる。
・追記 晩年に訪れた時も御姿は変わらず、私ごときなぞ覚えておいでで、良く加護について等々、語らった。神の偉大さと信仰の更なる深まりを感じた。
うん、何もわからん。この時の俺、
今生は全ステータス限界まで振ったから、何か世界の解像度みたいなものでも上がったのかもしれん。…なんだ解像度って?まあ、いいや。
「酒は飲まないのかイ。ボーヤ」
「良いのかヨ!いや、やめておくよ。周りが真面目チャンばかりだからな。ドン引きされる」
人外の種族を殺す事には老若男女問わず躊躇いが無いのにな。身内が道徳的にズレるとショック受けるからな少年少女。まだ世間ずれしてないってことなのかね?
「でも何しに来たんだイ、ボーヤ?あんた属性・悪だからパーティー組めないよ」
「ハッハァ?なーにイってんですかお姉さん。こちとら多感な少年ですよ」
そりゃもう交流目的に決まってるじゃねぇか。なぁに悪い事はしないさ。イイコトだらけよそりゃよ。
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