第10話、フローレンスとタイラーの結婚式。

次の訪問国ディスティアは本編とほぼ同じなので省略、セオドールは牢屋に入れられるだけです。次の話しは帰国後、古木を送り出しジェフ陛下に報告のところから始まります。


ーー


8ヶ月後、全ての国と不可侵条約を結びデルタに戻ってきたアーレイ達。


ジェフ「アーレイ!全て終わったのか?」


「はい陛下、古木も送り出したのでこれで全て終わりました」


「そうか、やっと終わったか、本当にありがとうの言葉しか出ない。式が終わったらすぐにデルタから出ていくのか?」


「まだ、設計する船が残っていますので、当分の間デルタに滞在します」


「そうかなら、王宮に住めば良い」


アイシャ「陛下のお気持ちはわかりますが、フローレンスと二人でゆっくりできるのはこの時しか無いので、二人の好きにさせましょう」


「そうだなフローレンスの意見を聞いてからにしよう、フローレンスここに」


「はい!わ、私の私室で生活いたします!」


「あら、キッパリ即断、ほんと変わったわね・・」


式後の生活は結局、嫁達の警護問題から全員王宮に住む事が決まり、艦船の設計が終わった段階でクーンに移住する事になった。その間にフィーとフローレンスは操縦免許を取得、クーンに気軽に行けるようになった。そして通い側室のタイラーは魔法部隊の後任が育つまでしばらくの間母親のカーリンと一緒住む事となる。


カーリン「式にはレナルドも呼ぶの?」


タイラー「全力で拒否します!ウィン女王宛にしか招待状を送りませんでした!」


あの一件で完全に見切りを付けたタイラーはウィン以外は招待しなかった。王女達を呼ぼうかと一瞬思案したが、流石にそれだと族長達に対し印象が悪くなるので呼ばなかったのだ。


ーー


「それではお時間です」


そして迎えた結婚式当日。謁見の間の入り口が開き中からアーレイの両脇に花嫁が並び入場してくる。アーレイは儀礼用の正装、花嫁は純白のドレスに身を包んでいた。式は個別で行うと思っていたが、タイラーはフォーレストで式を上げる事を拒否。フローレンスはタイラーとの同時挙式の方がクーンの知名度が上がるし、何より2人で挙げた方が幸せも2倍になると言い実現したのだった。


フローレンス「うふふ、やっとこの日が来ました!」


アーレイ「そうだね、待たせたね」


タイラー「私も待ち焦がれましたのよ!」


謁見室には祭壇が設けられ取り囲むようにウィン、カーリン、サフロン、アーナ、ミラー、ポコが並び、祭壇横にはアイシャとフィーが立っていた。もちろん中央には豪華な剣を脇に帯剣したジェフが立っている。


参列者は各国の国王、元首、上級貴族など、第二王女と軍人の結婚式とは思えない面子が揃っていた。このまま全星団会議が出来る程だ。そして祭壇の前に一度止まり、ジェフは頷くと祭壇に上がっていく。宗教が無いデルタでは王族が結婚する場合、国王が祭壇で剣を携え前に立ち、並んだ3人は頭を下げ、剣を横向きに頭に乗せた状態で誓いの言葉を述べる。


「今からデルタ王国、国王ジェフの名において汝らの婚姻に関する儀式を執り行う。婚姻に関して不服のある者は拒否せよ、無ければ永遠の愛を誓う様に」


「はい」


「アーレイ・ウェブスターはフローレンス・オブ・ロセッティを妻として迎える事を誓いますか」


「はい誓います」


「フローレンス・オブ・ロセッティはアーレイ・ウェブスターを夫として迎える事を誓いますか」


「はい誓います」


「アーレイ・ウェブスターはバベット・タイラーを妻として迎える事を誓いますか」


「はい誓います」


「バベット・タイラーはアーレイ・ウェブスターを夫として迎える事を誓いますか」


「はい誓いますか」


実はこの時、脅され強制的に婚姻を結ばされそうな場合、誓いの返事を拒否すると相手の首元に剣をあて理由を聞くらしい。だから強制された婚姻はデルタでは無縁だそうだ。すっげー!!


「それでは、誓いの口付けを」


「アーレイ様、幸せにしてくださいね!」


「勿論だよフローレンス、だけどゴメンね増えちゃって」


「もう!星団の英雄ですから仕方ないですけど、私を選んでくれてありがとうアーレイ」


チュ!軽く肩を抱き口づけをする。


「ぬぬぬ、俺の娘が・・・・逝ってしまった」


「陛下!ご乱心です」


「はっ!」


ジェフは知らないあいだにアーレイに向けて剣を振り下ろそうとしていた。


「うわぁ!」


「悪い悪い、つい幼い頃を思い出してしまった、げふんげふん、それではタイラーに誓いの口付けを」


フェアリー「絶対違う!」


アーレイ「日頃の行いかな」


「そーdeath!」


「えへ、アーレイ様お願い!」


「幸せにするからね、タイラー!」


「はい!」


チュ!軽く肩を抱きキスをする。


「ここに三人の婚姻を正式に認めることとする!さあ参列者の方を向いて晴れ姿を見せなさい」


三人は振り返り晴れ姿を披露すると静かに皆が笑みを浮かべていた、そしてゆっくりと階段をくだり祭壇から離れたタイミングで陛下が宣言する。


「これにて、婚姻の儀式は終了する」


「うぉー!おめでとう!」


「キャー、すてきー!」


終了の合図を待っていたかのように歓声が沸き上がり、3人が歩くと上からフラワーシャワーが降り注ぎ、花嫁二人はアーレイの腕に自分の腕を絡ませたまま歩いている。フローレンスは少し涙目になって溢れんばかりの笑顔で皆に手を振っている。タイラーは幸せを噛みしめているのかアーレイに甘えるように身体をピッタリくっ付けてニコニコしていた。


ーー


控室に戻りいきなり衝撃発言をするフローレンス。


「ねえ、アーレイ今日の夜はいっぱい愛してね!」


「こら、タイラーの前だぞ、それにもう完全に呼び捨てですか」


「いいじゃないそう呼びたいの!それと彼女はもう経験者なんだから」


タイラーの顔が沸騰しそうな勢いで赤くなる。


「フ、フローレンス様・・あわわ」


「ねえ、タイラーどうだったの?」


恥ずかしくて激しくイヤンイヤンするタイラー。


「弄りすぎだぞ」


「だって今、幸せいっぱいなんだもん!」


「そっか!フローレンスはまだあの気持ち良さ知らないんだ!」


「こらー、参戦するなタイラー!」


「ふん!すぐに追い付きますから!」


「バトルな!」


ーー


披露宴は盛大に行われたが、弄られっぱなしのアーレイは酒を飲まされ、客間に戻ると足元がふらついていた・・。


フィー「もう、みんな呑ませすぎよ!ヒール!」


アーレイ「んっ?おお、酒が抜けていく・・」


「ほれシャキッとして寝室に入ってね!」


フィーは初めての初夜のことを思い出してアーレイの体からヒールを使いアルコールを抜いたのだろうか・・。


「ありがとうフィー」


「うんうん、初めが肝心だからね!」


なんだか世話焼き女房の貫禄が今日に限って出ていた、もう数十年は出てほしく無いとアーレイは思ってしまった。そしてシャワーを浴びフローレンスの寝室に向かった。


「ねぇ、自分の寝室で初夜を迎えるなんて何か変な感じだね」


部屋に入るなり話しかけてきたフローレンスは薄い、それは薄い下着姿で背筋を伸ばしベッドに腰掛けていた。綺麗な形の双丘はツンと上を向き存在感が増していた。


「レン、成長したよね」


「うん、精霊の加護を貰った後、急激に体型が変わったのよ、ほら水着姿の時よりボリューム増したよね」


フローレンスはそう言うとスッと立ち上がり、目の前に立つアーレイに立ち姿を見せた。確かに以前見た水着姿はまだ子供の面影が少し残るメリハリが少なかったが、目の前にさらけ出している姿はとてもセクシーな神々しい姿だ。


「うふふ、そんなに胸を見つめないで恥ずいよ」


何故だ物凄く開放的だぞ。無理しているのか、それとも嬉しくて脳内に何か出てるのか?


フェアリー「えーと、分泌物は」


アーレイ「言わんでええわ!さっさと落ちやがれデバガメAi」


「えー、フィー様に実況中継しようと思ったのに」


「あのーいつからAVチューブやってんの、お前も配下なの」


「落ちまーす!」


「ねぇ、夢じゃ無いよね」


「ああ、夢じゃないよ」


「そう、よかった、嬉しい」


フローレンスは自分が気が付かないくらい自然に泣いていた。流れる雫は嬉しさの証なのだろう、アーレイはそっとその涙を拭い優しくキスをした。


「ンンッ!」


唇が離れ互いの顔を見つめ合うと、フローレンスは目を細め蕩け白い生足を絡めてきた。


「キスって気持ち良いのね・・・」


そう呟くと火照った身体を密着させ首に両腕を絡めアーレイに身を任せると、そのまま優しくベッドに押し倒した。


ーー


その日の夜、フローレンスの念願叶いアーレイとやっと結ばれた。そして少し遅い朝を迎え、2人仲良く手を繋ぎ食堂に行くと・・・・。


「おはようアーレイ、フローレンス」


3人は2人が来るのをのんびり朝食を食べながら待っていたようだ。フローレンスを見つけたフィーが近寄ってくる。


「おはようございます、フィー様」


「今日から呼び捨てでいいわよ、それで優しくして貰えたの?」


「ええ、すごく優しく抱いて貰いました!」


「そっか、これで仲間だね”レン!”」


「ひゃー、どうしてその呼び名を知っているのですか!!」


朝から高いテンションで猛口撃のフィー、仲間が増え嬉しくて仕方ない様子だ。


「だってアイシャに聞いたんだもん、今日からレンで良いわよね」


「もう、フィー怒りますよ」


「あなただって、わたしのこと愛称で呼んでいるじゃない、フローレンスって一々言い辛いんだもん!ねえアーレイ、レンって呼ばれたくないみたいだから、フロにする?ロース?やっぱレン?」


「こら、朝から意地悪するなフィー」


「だって~、フローレンス可愛いんだもん弄りたくなるの!」


「フィー、良いわよ”レン”と呼んで」


「本当に良いの?」


「うん、だってそう呼びたいって事は、わたしをちゃんと受け入れてくれたからでしょ」


「そうよ、まだ2人共ちゃんと深いところまで知らないじゃない、変に壁作ると本音で喋れないし気を使いたくないの」


「ありがとうフィー」


「良いのよ、今から長い付き合いになるじゃない、宜しくね!」


「はい!」


そしてお互いの気持ちを確認するかの様にフィーとレンが抱きしめ合う。


「うわぁ~,美人の二人が抱き合うだけで絵になるわ・・・」


「じゃ、今晩はアーナと3人で楽しみましょうね」


「そ、それはまだ流石に」


流石に真っ赤な顔になるレン。


「ふふふ、冗談よ」


「もう!」


「さあ今日は大忙しよ!」


「そうだね、フィー」


晩餐会に向けた準備で朝から大忙しのフィー達だった。


ーー


この後の話は、本編のみんなの未来につながりますが、違いが小さな過ぎて割愛します。元々の設定ではレティとは婚姻を結びませんしアデールは冥府に旅立ちます。


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星団最強なのに回りくどい奴の物語、閉話集。 耀聖(ようせい) @cherrytrout

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