第9話 オーランド王失脚。
本編ではアーレイが数年前、王子二人と裏協定を結び強固な関係を構築していましたが、この回では王子二人とはディスティアに勝利した後、秘密裏にコンタクトを取り仲間に引き入れています。オーランドは王位を終戦間際ジャスティンに押し付け隠居しますが、まだ王様として君臨しています。
ーー
式雲からべクスターに乗り換えアーレイとフィー、アーナの3人は一路アーヴィン王国を目指す。そして・・。
アーレイ「うん敵意丸出し、ショボい貨物用空港に着陸指示されるとは」
フィー「2人が話した通り、塩対応確実ですわね」
大気圏を抜け着陸指示されたのは王宮から離れた貨物用軍港。勿論、カーペット、出迎え、一切無し。先乗りしていた部隊のシャトルに乗り王宮に向かい、客間で2時間ほど待たされやっと謁見室に通されると思いきや武装した兵士に取り囲まれる。だが、フィーとアーナは1ミリも怯えていない。
フィー「あらあら、兵隊さんは何かご用ですか?」
兵士「ガルーダの使者だけ来て貰おうか」
「いやです。王女2人が護衛も付けずにフラフラ出歩きますか普通?護衛は連れて行きます。拒否するのでしたこれ以上の交渉は不可能と判断して帰ります」
「うるさい強情な女だ早くしろ何度も言わせるな」
「おい口の聞き方を弁えろほんと使えない奴だな、そんなことだから負けたんだろ戦勝国のデルタの軍人としては見過ごせんな」
「なんだ、文句あるのか?」
「お前じゃ話にならん、お前の階級は?」
「少佐だ」
「わり、俺って中将なんだよ交戦協定に基づいて命令したきゃ俺より上のやつを呼んで来い」
「ぐぐ!」
苦虫を潰した表情の少佐、実は階級が准将以上の軍人は裁判中の為身柄を拘束されており、大佐しか対応できずアーレイに命令できる軍人が不在だからだ。まぁ上官を連れて来たところで理不尽な要求は突っぱねるつもりだ。
「ちょっと待ってろ」
「クリス、一戦交えるかもよ」
「OK分かった、こっちはいつでも行けるぞ」
式雲では機甲歩兵の準備が済んでおりいつでも転送できる状態なのだ。そして数分後、黒尽くめの執事が代わりにやってくる。
「大変申し訳ないこといたしました。それでは謁見の間にご案内いたします。ついてきて下さい」
そして謁見室に入ると、玉座にデンと構えているオーランドが偉そうに挨拶を始めた。
「私が、オーランド ・フレーザー・アーヴィン国王だ。アーヴィン王国にようこそ」
一通り挨拶を済ませ本題に入ろうとするが、ガルーダの領有権は子孫にあると言い出し、成れの果ての貴族スティーブンを呼び三文芝居を打ち、フィーとアーナを手に入れようとしたが、論破され恥ずかしい夜会の音声を流し始めた。
「スティーブン、貴方を詐欺罪で訴えますね、それと貴族乗っ取りと、身分詐称の3セットです!」
「スティーブンそなた貴族ではなかったのか?嘘だったのか」
「嫌だー陛下。あなたもグルですわよね。ふふ、白々しい」
「な、なんと。私を嘘つき扱いするのか!許せん。皆こいつらを殺せ、不敬罪だ!」
その発言の瞬間、機甲歩兵5機とピンキーが転送され一瞬で謁見室を制圧した。
ピンキー「エヘヘ、みんな〜動いたらー陛下の首ないないだよー」
オーランド「わわ」
オーランドの首筋に青白く光るレーザーブレードがブーンと怪しい音をたてていた。それを見た護衛は武器を床に置き両手を上げ部屋から追い出された。
「陛下、驚いたでしょ~、ここのセキュリティは無効化してあるんだな」
「うふふ、あなたの最近の行動は全て分かっていますわよ、この三文芝居は面白かったわ」
「なんだと!」
「あなたは老害、ろ・う・が・い!それと強欲。あなた隠居しなさいそしたら生かしてあげるわ、クーン女王として進言しますわ」
「ふざけるな!」
「うふふ、それならこれでもお聞きになったら如何ですか?」
いきなりフィーは盗聴した音声を小型スピーカから流し始めた。
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オーランド「アーレイは強いだと、兵士で囲んで無力化すればいい」
スティーブン「死なないと噂ですよ」
「女に銃を向けてりゃ大人しくなるだろ、俺とお前であの美人王女を分けるぞ巨乳はお前で良いよ」
「本当ですか有難うございます陛下、上手くガルーダを頂いたらどうします?」
「手に入れたらガルーダは観光地にしよう!凄く儲かるぞ」
「そうですね観光資源は豊富ですからね、それは良い考えです」
「噂なんだけどガルーダの女は綺麗で純朴だってよ俺らにかかればイチコロだな!」
「陛下、夢は膨らみますねハーレムも夢じゃないですね」
「ははは、そうだな夢が膨らむなスティーブン。いやー、楽しみだフィリーサの苦痛で歪んだ顔が見たいな」
「頑張りますね陛下」
「ああ、頼むぞ」
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音声を流している間オーランドの表情は真っ青に変わり、スティーブンは狼狽え逃げ出そうとするがピンキーに遊ばれレーザーソードで丸刈りにされていた。そして再生が終わると同時にジャスティン、ロミオとフィーがいきなり名を叫ぶと、ステルス解除した2人がオーランドの後ろに立っていた。
「えええ!」
「陛下の姿を見て何か言うことありますか?」
「失望しました。やっている事は詐欺師、泥棒の類です。とても王として認められません」
「馬鹿ですね。相手の技量も調べずに手出しするとは、アーヴィン家の恥です」
「どうします陛下?」
オーランドは終始黙ったままだ、それは何とも恥ずかしい夜会の音声を王子2人に聞かれ、ダメ出しを喰らったからだ。
「うふふ、それじゃ領民に向けて流しますね、勿論映像付きで」
「分かった!隠居する」
逃げ場がなくなり隠居するしか選択肢がなくなったオーランドはがっくり肩を落とす。
「そうですか、クーンに良い所があるのでそちらにお連れしますわ。逃げ出したら魔獣がお相手してくれますけどね」
「・・・・・・」
「それじゃ次期王様のジャスティンくん不可侵条約作ってね、よろしく」
「はいフィリーサ様、もう出来ておりますのでサインをお願いします」
「ふふ、仕事が早いわね」
「おまえら、まさか」
「嫌ですわ〜、すぐそんな目で見る、いやらしい」
王子2人はクーンを出発した時点で式雲に連れて来ていた。そこで夜会の音声と映像を見せ、オーランド失脚は星団側に加わる最低条件と提示すると、即座に協力を申しでたのだった。
ジャスティン「陛下、今の貴方には軽蔑以外の言葉が思い浮かびません」
ロミオ「愚王の名が付く前に王位を兄に譲ってください」
「王子2人が聡明でよかったですわ、クズ王家ならお取り潰しを考えていました」
「全てあんたの手の平で踊らされていたのか?」
「人聞きの悪いことを、貴方みたいな愚王がいるから戦争が絶えないのです。奪うことばかり考えて奪われる相手のことを考えない、そんな簡単な事がわからないのですか?」
「お前だって似たようなことをやっているじゃないのか」
「あら、何か勘違いしていません?私が強欲とでも?」
「ガルーダ、クーン、カルネ、全てお前の支配地域だいくらでも搾取出来るだろうが」
「支配?はてクーンは女王ですので支配していますが、他は友好国と言ってくださらない?心の目が曇っていらっしゃるようなので、自然豊かなクーンでのんびり暮らして反省してください」
アーヴィン王国はアーレイが王子2人を星団側に引き入れ、元凶となっていた国王を国外追放。新国王ジャスティンはデルタに忠誠を誓い星団連合に加盟する事を表明。旧国王派の差別主義者を排除または隠居させ、ロミオ王子と共に作り替えていく約束をしたのだった。当分の間デルタの指南役は付き纏う事になるだろうが、聡明な王子2人に任せても大丈夫だろうと結論に至った。
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