第8話 バルターを隠居させるナノ!


本編と設定が違い、ディスティア防衛隊に加わっていたカルネ軍は寝返るタイミングが遅れ、極点の超強力なレーザー砲によってデルタ第9艦隊に大きな被害が及びます。


不可侵条約を結ぶために出発したアーレイ一行、フォーレストはほぼ同じなので割愛。次の目的地カルネに入る所からになります。設定としてはバルターはまだ族長の椅子にしがみついた状態です。ナーとマギーは出てこない設定です。


ーー


カルネ共和国の国際空港に降り立ちVIPゲートを出ると、ジャクリーヌが出迎えてくれたが・・・。


「フィリーサ様初めまして大将軍のジャクリーヌです。宮殿に行かれる前に先にお話がしたくてお待ちしておりました」


ジャクリーヌがフィーと話をしたいと言われ、VIPラウンジに入ると2人は個室に入りテーブルを挟んで向かい合っていた。


「初めましてジャクリーヌ大将軍、フィリーサと申します。アーレイからお名前と活躍についてはお聞きしています」


「フィリーサ様、初対面で大変失礼とは思いますが、不可侵条約を結ぶにあたって精霊女王様のお力をお借りしたいのです」


いきなりフィリーサに頼みごとをするジャクリーヌはとても困った様子だった。勿論それは族長の椅子にしがみつき引退しないバルターの事だった。


「その事はアーレイから伺っています。彼の判断が遅れデルタ軍に被害が及んだと聞いております。それでも連邦に加わったおかげで辛勝出来たと申しておりました」


「その責任をとって辞任の声が上がったのですが、あの手この手で居座っているのです。決戦後、疲れたのかほとんど仕事をせず部下が困っています。決済が遅れ戦後復興も遅れがち、周りの部下が手を回して無理やり進めております」


「老害ですか?」


「厳しい一言ですね、フィリーサ様」


「オブラートに包んで表現すれば、引く時期を逃していると」


「はい、恥ずかしながらお頼み申し上げます。族長をぶっ飛ばしてください!」


「あはは、ぶっ飛ばすって凄いですね。ですが私は武力は持ち合わせていませんの、けどわかりました挑発して懲らしめますね」


「はい、それでは参りましょう」


そして向かったバルターの執務室。いきなり激しい応酬が繰り広げられた。


「この度は女王就任おめでとうございますフィリーサ女王様」


「フィリーサ・オブ・ラブレスよ、よろしくねバルター」


「女王様、失礼ですが、精霊の加護が余り感じませぬが」


「そうですか、それは私に力がないのと仰りたいの?それともあなたの目が節穴のどちらでしょうかね?」


「なぬ、俺の目が節穴と申すか?」


「そうですね、ダメな族長を持つと大変ねジャクリーヌ大将軍、あなたが族長をやりなさい、このポンコツは隠居させるのよ」


「フィ、フィリーサ様」


いきなりド直球でポンコツ扱いするフィリーサに驚くジャクリーヌ。


「なんだこの小娘のくせに、偉そうに、うぐぅ・・・・」


「バルター控えなさい、それ以上女王を愚弄するとポコがお相手しますよ」


バルターが暴言を吐いた直後、後ろに控えていたポコがいきなり4色のオーラ全開でバルターを威圧で黙らせる、そしてポコの名聞いたジャクリーヌは変わり果てた姿を見て呆然としていた。


「え?あ、あなた、ポコなの?」


「そうよポコよ、ジャクリーヌ」


「え、ええ?はっ!失礼しました。獣人女王様」


「楽にして、私はフィリーサ女王の忠実な僕です」


「フィリーサ様、カルネの獣人族は力で相手を見極めます、ですので貴方様が力で服従させない限り従いません」


「そうなのですか、クーンでは相手の力を見抜いて無駄な争いはしませんよ、バルター、力比べやりたいの?ポコ、威圧を解いて」


威圧を解かれフィリーサの質問に返答するが、ごにょごにょと小声でつぶやくように何か呟いていた。


「はっきり言いなさい」


「ああ、可愛い顔しておっかないね、だが土下座させてやる!ギャ!」


また暴言を吐き諦めの悪いバルターに対しフィーは威圧で相手を押さえ込み、精神魔法を繰り出し混乱させ苦痛を与えると、すぐに限界が訪れバルターは膝をつき顔面蒼白になっていた。


「フン、口程でもないわね」


「フィリーサ様、降参します」


「最初から素直に従えばいいのに、ジャクリーヌ今からここでバルターと戦って頂戴」


その言葉を聞きバルターは剣を鞘ごと床に置き、頭を垂れ片膝をつきフィリーサに負けを認め、隠居することを発言しその場を収めたのだった。


「バルター、自分でもわかっていましたよね、貴方は十分働いたわ今後はゆっくり休んでくださいお願いします」


「フィリーサ様、わざと焚きつけたのですか?」


高圧的だったしゃべり口調が途端に柔らかくなり、バルターを労う言葉が出ると今までが演技だったと気が付いた・・。


「そうですよダラダラと長引かせる事より一気に進めないと星団側の信頼を得られませんよ」


「一本取られましたな、流石です」


フェアリー「夫婦は似てくるんですねー」


アーレイ「五月蠅いわ!」


傍でやり取りを聞いていたフェアリーの突っ込みが面白く、精霊の影響なのか凄く人間らしくなってきていた。アーレイは思考を分離してアンドロイドに植え替えたら面白いと一瞬考えたが・・・。


フェアリー「女性は勘弁してください、操が危ない」


アーレイ「不愉快だフェ!」


「ひっどーい(精霊3」


「もう知らんがな!」


「皆さん聞いてください。星団の覇権を賭けたくだらない戦争で大勢死にました。私は生ある限り争い事を起こさない様に努力するつもりです。ですから皆さんどうか力を貸してください」


喋り終わると皆に向かいフィーは深くお辞儀をする。


バルター「おおおー」


ジャクリーヌ「お辞めください貴方様の言葉は絶対なのです。ですから頭を下げるのをお辞めください。全ての獣人は貴方様に従います」


「わかりました、永遠の平和を皆で祈りましょう。そして争いの無い世界を皆と共に作りましょう。頼みましたよ」


バルターが隠居した事でNo2のジャクリーヌが族長を務めることになり、フィー達と共にカルネ国は大きく発展させていくのだった。

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