第8話
戦争で大活躍したということで、賞金と副賞をもらったよ!
「賞金は5000ユロルももらったぞい。精霊樹まで持つかもしれんの」
「副賞はラバとリャマだね。ラスクがラバ、私がリャマかな。リャマはモンスター馬とロバの掛け合わせだから大きいんだよね、あたしでも乗れる」
「靴が消耗しなくてよいのう」
「蹄鉄はあたし撃てるしこの子らの靴も申し分なしよ」
「蹄鉄も撃てるなんて器用じゃのう」
酒場にて。あ、ラスクは幼女ですがハイ・エルフは500歳から飲めるし、きつねは13から飲めるんで全然大丈夫です。ハイ・エルフときつねを舐めるな。
「おい、青い女きつねと赤のハイ・エルフ様だぜ! マスター! ビールくらいおごってやれよ!」
「おまえがおごんねえのかよ」
なんや有名になりましたなあ。席に着くとハムのつまみとビールが。
おやっさんの奢りだそうで。本当におごってもらってしまった。
「んじゃカンパーイ」
「カンパーイ」
おつまみとビールを追加してむしゃむしゃ食べる我ら。
「やっぱ酒場の飯は美味いねえ」
「そうじゃのう」
いい感じに酔っ払ってきたところで本題に入る。
「次どこ行こうか。精霊樹直通ルートは多分危険だよ」
「なんでじゃ? 楽で良いと思うが」
「まあ観光客なら襲わないでしょうさ。でも本物のハイ・エルフを見つけたら賊がやってくるはずだね」
「そして魔力が向上するハイ・エルフの身体を売りさばいてお金にすると。普段は普通の商売をしながら。確かに直通ルートで行方不明になった子はそこそこおる」
「じゃあどこが良いんじゃ?」
「南ルートは海だから精霊樹にたどり着きにくい。北は内戦していたはずだ。内戦は危なすぎるから南の海ルートで行きたいんだけど、どうかな」
「一旦海に行って陸路で戻ってくるのか。それで良いぞ。きつねの感はあたるからの」
「地図とかの管理はラスクに任せる。よろしくね。そいじゃーもう一杯ビール追加ー!」
「飲みすぎじゃ……」
夜、宿屋に帰って瞑想をする。
「あたしは力と器用さ素早さが上がったかな」
「わらわは魔力と器用さじゃの。エーテルはあがらんのか」
『あれは特別なステータス値だ。通常時は出現しない』
エーテルあがれば魔法使いにとっては便利なんだろうけどねえ。
『コンビボーナスもあるぞ。
「あたしじゃないの!?」
「おまえは盾を動かしただけだからな。通常の経験値2400だけだ。後方の攻城設備を破壊したことがポイントになってる』
「わしはエーテル値に1200ポイント振ってるから無しじゃの」
何に振ろうかな。力と体力、意志力かな。
「じゃあ力に1000ポイント、体力に1000ポイント、意志力に400ポイントふるー」
『わかった。そぉい』
うおぉぉぉぉ、凄いみなぎる!
「なんでも斬れる気がする!」
『切れ味を良くする魔孔剣は魔力だからな、覚えとけよ』
「戦闘中に思い出す機会ないからなあ」
『訓練しろ』
『
「最後はワシかー旅をするからその分の体力は欲しいし、魔力は欲しいし、魔力抵抗の意志力は欲しいし……」
「え、意志力って魔力抵抗なの? 相手に打ち勝つ意思じゃなくて?」
「それもあるとは思うが、基本は魔力抵抗じゃよ」
『スタンピードの獲得経験値量なんてめったにないから慎重にな』
「よし、体力に1000、魔力に3000、素早さに500じゃ! 遅い魔法使いはすぐ餌にされるからの」
『わかった、そらよ』
「おおお……凄い魔力じゃの。気をつけんとすぐエーテル切れを起こす」
『こんなもんか。身体がすぐに順応しないから必ず訓練するんだぞ』
「訓練場壊れてるから実地訓練か」
というわけでとんでもないポイント――当社比――を使用した私達は、町の外に出て訓練をするのでしたー。
いない。敵がいない。
「そりゃそうだよな、スタンピードが起きたんだもん、モンスターも逃げるよな。どうしようラスクちゃん」
「木でも切り倒しとけ。わらわは瞑想して魔力を従順させるでの」
いやいや木なんて切り倒せるわけないできれるー! スパスパ切れるー!
技じゃなくて力で斬ってるから軍刀を扱う技量も学んどけと言われたけど。技量とかステータスにないし! 斬れるー!
まあこんなことをしながら一ヶ月ほど働きながら滞在したわけですよ。メイドの仕事も慣れたし、次の町や都市でもメイドやれそうだ。
んで一ヶ月経ったということは、破損した鎧が修復したので、お引き渡しです。
お屋敷のお着替えルームでお着替えお着替え。
「んーん、やっぱりこれでないと戦闘は出来ないよ」
「マジシャン服に防護結界張ってあるから、ないと不安じゃったわ」
「え、私にも防護結界欲しい。軽装鎧だし」
「おぬしは避けるじゃろ。いらんいらん」
「今回矢が刺さったんですけどねえ……」
そういえば今回旅に出るということで、マントをプレゼントしてくれたよ。
青のマントかっこいいー! 赤のマントりりしいー!
「これでいつでもいけるね!」
「なあ、ここで働いて生活するのもありなんじゃぞ。メイドの仕事はちゃんと出来るし」
「ん、あたし?」
「そう。なにも精霊樹まで付いていかなくてもいいのじゃ」
「え、なんで、そういう約束じゃん」
「でも危険がいっぱいじゃよ。死なせるわけにはいかんしのう」
「大丈夫、私が死んだらラスクも死んでるよ」
「それはそうじゃが、ってなんじゃとー! わらわはそうすぐには死なんわ」
スッ。
「これに勝てたらのお話だねえ」
あたしの耳にかぶせる。お、これ魔力かかってるのか。本当襲われる前は道具いっぱいあったんだろうなあ。
わらわ、わらわ、わらわの返して。とぴょんぴょん跳ねるのをにんまり笑いながら、こそっときつねの家族愛を発揮していたのであった。
「ラスク、インプラントの準備は出来た?」
「2ヶ月は食べられる量の食料を搭載したのじゃ、体力あがったからの!」
「水はあたしが持ったし、いざというときの飼い葉、蹄鉄装備も入れた。野営装備も完備! それじゃいくかー」
私達はみんなに見送られながら、町の南門から出て行った。
いやー今回は楽な旅だなあ。器用さもあがってリャマの操縦も快適だし、歩かないから靴が消耗することもない。楽。
翻ってラスクさんは。
「もー、ラバさん、動いて欲しいのじゃ!なんで止まるのじゃー!」
あーあ、怒らせてやんの。
「ラバはねー怒ると何やっても動かないよー。らばー、あそぼー」
てくてく走ってくるラバ。
「しっぽダンスしよっか、うりうり」
「なんでおまえには懐くんじゃ……」
「名前つけてあげな、少しは言うこと聞くよ」
「名前か……あずきでどうじゃ。甘くて美味しいぞ」
ぶひひんといって走っていくラバ。
「まって、止まって!」
「おまえはここあでいいな」
ぶるるん! となくりゃま。気に入ったかな。
「地図係どっか行っちゃったし、少し走るぞ! ここあっ」
ぶひひひん! ととともに駆け出すリャマ。あ、はや。さすがモンスターの血が入っているだけある。
結構なスピードで追いかけるきつねチーム。
と、そこにはぶっ倒れているラマと必死で救護活動をしている赤のハイ・エルフがいた。
「どったの?」
「急にハアハア言い出して、倒れちゃったのじゃ」
「あー動物、特に馬は死ぬまで走るからねえ。ラバはお父さんがお馬さんだ。回復魔法使える?」
「わらわは攻撃特化じゃ」
「じゃあ仙丹か。んーと、これ。筒から出して。はい、このままじゃ飲めないからみずで溶いて飲ませよう。水出すよー」
「いや、わらわ1日分の水なら出せるのじゃ。コップどこじゃったっけかな。これだ、水で溶いて、はい、飲んで」
「飲んで、で飲む死にそうな動物いないよ。流し込みな、私はちょっと周辺の雑魚を掃除してくる。ひょろひょろの矢くらいなら防護結界作動するんだよね」
「え、うん。あ、飲んだ飲んだ」
まずは、貴様か。ちょっと
左手を賊の眉間に真っ直ぐ伸ばすと、
「あーこれ便利だなあ。リロードは私のエーテル消費か。少し修行すっか、
いやー普通なら逃げちゃうところだけど、怠け癖がどこかのハイ・エルフによって直されちゃったよ。
ラスクに襲いかかろうとした賊には花草水月を投げつける。ざっくりと胴体が半分になる。そこで事態を判明するラスク。かわいいなあぺろぺろ。
投げつけた花草水月ちゃんはエーテル消費であたしの手に召喚される。少し威嚇しますか。
「斬り殺されたくなかったらさっさと失せな。こっちにも射撃武器があるんだ」
といって一体をナイフでぶち抜く。便利すぎる……。
「あずきに薬は飲ませたぞ、なんとかなるか?」
「あの薬は息切れと動悸に効く。少し待てば落ち着くはずだよ。少しお友達になってから進もうね」
大体は私を見て逃げだしたが、それでもいた2~3人のごろつきはラスクのマジックミサイルという魔法によって爆破された。
ミサイルはよくわからないけど、あたしより大きい爆破する飛ぶ物体が誘導されながら突っ込むからねえ、これ。
「ふー、助かった。やはり牡丹がいないとわらわ1人では無理じゃ。この先もどうかよろしく頼む」
「こちらこそよろしく。今思い出したけどファイア・レイってハイエルフの中でも始祖直系だけの技じゃなかった?かっさばいて売ろうかな」
ぴゃーなんでしってるのじゃーと逃げるラスクを尻目にラバの看病をするあたしであった。
いやー、楽しい旅しかまっていなさそうだ。
青い女きつねのぐーたら剣士と赤のハイ・エルフ魔法幼女 きつねのなにか @nekononanika
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます