十通目 相変わらずだな、この人は

「お届け物でーす」


 ——いつも通りの言葉。

相変わらず里見さんはよくネットショッピングをしているようで、今日もまた重たい荷物が届いた。


「康太くん、いつもありがとうねー」


 笑顔で部屋から出てくる彼女の姿は相変わらず無防備で、つい目をそらしてしまう。

それを自覚していない彼女は頭に疑問符を浮かべながら首を傾げる。

 こんなの変な男に襲われても文句言えないぞ……。


「生活の方はもう慣れましたか?」

「ええ。近所ならもう迷うこともなくなったわ。それに、必要なものはお陰様で揃ってますから」

「それならよかったです。今度はなにを買われたんですか?」

「えっとね…今回も家電を買ったのよ」

「へー、家電ですか。いいですね。それじゃあ、サインを——」


 あ、これ前にも一回あったやつだ……。

署名欄の上にアダルトグッズと書かれた伝票。

もう少し隠せよ…ッ!!


「ははは、立派な家電ですね……」

「え、えぇ、そうでしょ!?」


 正直、今更隠したり照れたりしても手遅れだと思うけれども、そんなことはそっと心の中に秘めておいた。相変わらずだな、この人は。


「あ、そういえばどうして俺の名前知ってるんですか?」

「名札に書いてあるじゃない。君のことはちゃんと見てるんだからっ」


 そう言って里美さんは無邪気にウインクをしてみせた。この人本当に可愛いっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

配達屋!〜届け先のお姉さんがとにかくやばい!〜 寧楽ほうき。 @NaraH_yoeee

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ