ぶらりとどこかへ。じっとそらを。
白川津 中々
■
晴。
雲のない空を窓越しに眺め、そわり。外へ出たくなった。
何処かへ行くには遅すぎる時刻だったが散歩ならと気軽な外着へ着替え、硬いズックを履いてドアを越える。
外。
しばらく歩き、川沿いの芝に腰掛ける。
夕暮れ前の静けさ。薄い麻を張ったような空には光の穴が一つ。金模様の小望月がポツリ、ポツリ。
空。
仰ぎ、息を呑んでいた昔。感に入り涙を流していた時代はとうに過ぎ、今では深く広がる様子に圧倒されるも騒めきはない。
それでも今日は、眼から離れなかった。
太陽の加護が失われ、
風は冷たく、肌の熱が浮き彫りとなって少し震える。
けれど、月に惹かれた。
引力のように捉え離さない月の幻。
夜が始まり、煌々と、煌々と……
ぶらりとどこかへ。じっとそらを。 白川津 中々 @taka1212384
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