Lets!Star gaze!

ニアエラ

明日なき少女は自分だけの星を見る

 少女は星を知らない。

 知識として知っていても、産業革命で社会は蒸気機関による発展を遂げてから対価として美しい空を失い、灰色の雲に覆われて随分と久しいからだ。


 少女は思う。

 その星空というものは、いつも寝る前に眺める眩しいくらい、むやみやたらに置かれた蛍光灯の輝きなどより、ずっと美しいものであると。


 少女は夢想する。

 それはきっと自分が見る事は叶わないものなのだろうと。


 何故なら例えこの空を覆う雲が消えようとも、少女の未来に日が射すことは無いのだから。


 少女にはそれが分かっていた。



 ───



 時は20世紀産業革命真っ只中、鉄と煙と蒸気に支配されたイングランドにどこかにある町の片隅で、今時外食といえばフィッシュ&チップスが普通なのに、『チキン&チップス』という店名のハンバーガー屋のメニューからハンバーガーを抜いたようなカフェで物珍しいチキンステーキを焼いている店があった。

 その店の料理人として働いている青年ドミニクは、昼下がりランチタイムのピークは過ぎたのを見計らい、小休憩を取ろうとしていた。


「んー、疲れた……ん?」


 日頃の調理業務で鍛えれた身体の凝りをほぐしながら店内を見回すと、カウンターでやたら肉にがっつく少女が目に入った。

 赤みがかったミディアムヘアの綺麗な茶髪と服装から育ちが良さそうに見えたが、目の前にとても1人分には見えない量の空の皿が積み上げられており、なんだか見た目との印象にギャップを覚えた。

 丁度さっきまで忙しく自分が焼いていた肉を美味しそうな表情で今まさに食べ終えようとしているので何となくドミニクは物珍しさと肉好きとしての謎の親近感から食べ終わるのを見計らってから声を掛けてみた。


「お客さん。よくその量食べきったね……そんなに美味しかったかい?もしそうなら料理人冥利に尽きるよ。」


 少女は丁寧な所作で口を拭いてから答える。やはり育ちが良さそうに見えた。


「ここらはどこもかしこも外食と言ったらフィッシュ&チップスばかりで辟易してたので……ここのステーキは新鮮で絶品でした。ごちそうさまです」

「お粗末様でした。そうだね、今は凄いそれが流行っているから、多少出遅れても乗っかろうっていう店は増えたね」


 昨今、蒸気機関の発展で作られた列車、鉄道によって鮮魚が安価で手に入れられるようになり、そこから外食と言えばフィッシュ&チップスと呼ばれるぐらいにはブームになっていた。

 諸事情でドミニクは魚が食えないので、当のフィッシュ&チップスを食べたことは無いし、メニューに追加する予定もないが。


「流行りに乗っかってるだけじゃ儲からないと思うのですが……本来美味しいかどうかが重要で、形だけの粗末な真似事じゃ、一時的にしかお客が来ないのを分かってるんでしょうか?」

「面倒くさいなキミ」


 手軽さが売りのジャンクフードに味を求められても困るのだが…。

 流行りに乗る者がいれば、逆に相容れない者もおり少女は後者らしい。

 だが流行りに乗っかっただけで取り敢えずフィッシュ&チップス店を名乗っているところがあるにはあるし、彼女の言い分は一理あるのかなと思う。


 経営の事なんて全然分からないけど。


「まあ料理専門で他はまるっきり門外漢の素人意見だけど、世の中何が流行るかなんて未来予知でもしなきゃ無理じゃないか?なら多少先を越されても流行に乗っかるほうがリスクは少なく利益を得られるのかもね。」

「……そうかもしれませんね」

「まぁ、今日はそういう巡り合わせでこの店に出会えたんだ。変に勘ぐって世の中にあるものをそう悪く捉える必要はないよ。」

「でも世の中ランチはフィッシュアンドチップス一色はおかしいですよ。豆とかも欲しいです」

「ベイクドビーンズは朝食うもんだろ…」


 まぁ、行き過ぎた偏食は第三者からしたら不気味に感じるには充分であるし、彼女もその勢いを一歩引いたところで見ているのだろうと思う。


「やはり肉です。サイドメニューも捨てがたいですが、年がら年中毎日三食肉を食っていたいです。今の時分はそれ以外不要です」


 この少女も行き過ぎた偏食家だったようだ……気のせいか鳥肌が立った気がする。


「ま、まぁそれはともかく、肉が好きという点で趣味が合うなお客さん。自己紹介させてくれよ、ドミニク・ヘンリーて言うんだドミニクでいいよ、今後ともこの店をご贔屓に。また美味い料理出すからさ…」

「ええと……家名は言えませんのでクレアとだけ。でもごめんなさい、今日で街を離れてしまうのでこの店に来れるのは今回きりになると思います…」

「そうか……それは寂しいな」


 折角貴重な肉好きの同士として仲良くなれそうだったのにちょっと残念だな……


「なら腹ごなしに少し話さないか?普段はキッチンに籠りきりでこうしてお客と話せることがそうそうないんだ。」

「列車の時間までなら構いませんよ。でも食べ物の話となると私はちょっと口うるさいですよ?」


 変に初対面の自分が悲しみ過ぎても良くないなと切り替えて、ドミニクはその後時間が許す限り好きな肉談義に花を咲かせるのだった。

 その時のクレアは話の内容関係なく、時々何故か申し訳なさそうに笑っていた事が喉に小骨が刺さった様に妙に引っ掛かった。



 ───



「行方不明の少女の捜索?」


 後日、夕日に照らされて静かな店の中でクレアが腰かけていた席に今度は別の少女が座っていた。

 腰まで届く長いプラチナブロンドの髪がよく映える端正な顔立ちをした少女をドミニクは胡乱げに返す。


「ケイト、聞くが一介の料理人である俺が、何で迷子探しの手伝いをしなきゃいけないんだ?」


 言葉は丁寧だが、さも親から面倒くさい頼まれ事をされた子供のようにその顔を嫌そうにしかめていた。

 時間帯的に他の客がおらず店で二人きりの状況でこの話を持ち出した少女の顔を見る。

 カウンター越しで断る気満々のドミニクをケイトと呼ばれた少女はあえて無視して話を続ける。


「上級貴族であるスターグ家の事は知ってるかい?」

「……貴族様とは縁もゆかりもないぞ?」

「そう急くなよ、重要なのはスターグ家には『星見』と呼ばれる未来視の能力があることさ」


 未来視という言葉で、適当に聞き流しすつもりだったドミニクが初めて真剣な顔になる。


「……それで?」

「代々、一定の爵位はあるが何の権限も持たず、有事の際は我が国のお抱えの『星見』として重用されていたらしい」


 この国は蒸気機関によって技術は進歩し盤石の発展遂げた。

 強固の力は裏を返せば未来予知が必要な未曽有の危機なんてありえないことでもある。だが手放すには惜しいと考えた人間が万が一の保険として秘密裏に管理する事にした。それは何をするのも許さず飼い殺す、まるで家畜の様に。

 しかし事情を知らない貴族からしたら、何も持たないスターグ家が国に庇護されその家柄の存続が確約されているのは面白くないのだろうことは想像できた。


「だが、それが先代『星見』であるスターグ夫人が病で亡くなられてから事情が変わった。婿入りである父親を除けば、スターグ家で残った『星見』は一人娘であるクレア・スターグただ1人」

「『星見』自体は個人の能力でしかない。現当主は父親だが、未熟なクレア嬢1人を殺害すれば、スターグ家はその存在意義を失う。貴族はこの絶好の機会を逃さんと事を起こすつもりだろう。」


 クレアという名前で何となくこの前出会った少女の事が思い出される。彼女は新天地で上手くやってるだろうか。


「事情を知らん木っ端の成金供が怪しい動きをしてるらしくてね。そして今日昼過ぎクレア嬢が行方不明になった。恐らくそいつらの仕業だろうね。」

「そのクレア嬢は未来視とやらでその未来を回避しなかったのか?」

「そう便利なものじゃないらしいよ。未来視の能力は正確には未来予測じゃなくて未来観測の能力って呼ばれてる」

「未来観測?」


 ほとんど一緒で何が違うのかとドミニクが首をひねる。クレアはしょうがないとドミニクにも分かるように丁寧に説明する。


「襲われるという未来の結果しか観測できず、結果しか分からないから原因の予測しようがない。それを利用して下っ端を雇い拉致した。私も詳しい事を聞いたのはついさっき」

「ちょっと待て……捕まる未来が見えるなら、死ぬかもしれない結果を知ってた筈だよな?なら依頼人はクレア嬢か?自分が死ぬ未来を回避するために、お前に依頼してきたのか?」

「私の依頼人は現当主からだよ。公務がある以上、いつ娘にその時が来ても助けられるようにと」

「死にたくないお嬢様の抵抗とかじゃないのか」

「それはない。噂によればスターグ家は自分達の結末を見てしまっているそうだ。市民等に無残に殺される未来を。ただ彼らはこの国が定めた運命ならばと、受け入れてしまっている。のうのうと安寧を享受できてしまっている自分達は市勢に恨まれて当然だと」


 「星見」は皆その力によって未来を夢見る事を、明日を諦めている。年若い少女も例外では無かった。

 沈黙が続いた空気から逃れるようにドミニクは別の質問を投げかける。


「…なんで俺にこの話をした」

「私が神秘を欲していることは承知だろう?私と君の仲だ手伝ってくれてもいいだろう?」

「はぁ、体よく頼られたわけだ……まいったな」

「捕らえられた場所はこのメモに書かれてある。先に向かっててくれ」


 そう言うとケイトはメモを渡して早々に事務所は立ち去った。

 1人残されたドミニクはメモに書かれた地図を見ながら独り言ちる。

「いやまさかね…」


 クレアと名前を聞いた時から偶然かなと思っていたが、いざ話を聞いたら彼女の寂しげな顔が頭から離れない。

 しかしクレアという名前はありふれている。

 嫌な想像だなと頭から先日出会った少女を追い出すことにしてメモの場所を確認するのだった。



 ───



 日が沈み夜の帳が落ちても暗雲で、もう見る事の叶わない空の下。店を閉めたドミニクはメモの場所に向かいながら思惟に耽る。


 青年ドミニクは深きものである。正確には深きものに成りかけた男である。

 深きものというのは噛み砕いて説明すると魚みたいな見た目をした神話生物のことである。人間でも深きものの血を引いていたら悍ましく醜悪な見た目に変わってしまい、問答無用で信仰する神がいる深海に帰りたがる恐ろしい生物だ。

 ドミニクも類に漏れず近場の海に飛び込むところであったがそうはならなかった。


 何故ならドミニクは魚が嫌いだった。


 三大欲求の食に関しては、例え神話生物となっても生きる上で死活問題であった。魚より肉が大の好物なドミニクは肉への執着と後にケイトの助力も得てこれを回避した。

 だが代償として、既に変色したり鱗が生えてきた部分は戻らなかった。一部の筋肉が不自然に盛り上がり、腕の大きさの違いを誤魔化す為に服はいつも長袖で、常時腕を組むなどを余技なくされ、自分の異常を感知されないために常に気を張らなくてはならなった。

 身体が変化し始めた頃、親戚が経営する店に人前に出なくても良いと考え、無理を言って料理人として雇って貰った。

 自分も若干引くほどの肉の執着からなんだかんだチキンステーキ屋は天職だと思った。

 そう、普段なら厨房に引き籠っていたはずだった。

 だがクレアが来たあの日は、何故か警戒せず自然体でいられた。楽しいひと時だった。

 そしてその時の寂しそうな笑顔も同時に思い出す。

 この時ドミニクは先日の客人と、助けに向かう拉致被害者が同一人物だと何となく察した。

 ならば伝えたい事ができた。美味しそうに自分の料理を食べる反面。その実、死を望んでいた彼女に言いたいことが。


 好きなものが一緒の同好の士なのだ。それくらいの余計なお節介はさせてくれ。とドミニクは先を急ぐのだった。

 人ならざる者だからこそ、人の道理を尊重するが故に。



 ───



 気を失っている間、母との記憶をみた。

 幼い頃に、自分が初めて未来視の能力が発現した時のことだ。

 当時母は、発眼に戸惑う私を他所に、今後「星見」として未来視を行使する度に、思い出すように前置きをしながら言ったのだ。


「いいですかクレア、未来視というものは過程から結果を予測するなど、結果を観測し過程が縛られるなどと言われてますが、私達の未来視はそうではありません。」


 未来を観測する能力といっても在り様で定義は分かれる。

 だがスターグ家の「星見」は先述のそれらに該当しない。

 理由は単純に劣っているからだ。その観測は未来に届いてすらいないのだ。


「未来を見た時点でその未来の可能性を他ならぬ我々が潰すのです。未来は不変ではなく、観測する度にその手で潰し本来の結果から変化し続けてしまう。」


 未来を観測することは因果を曲げる事を意味する。


 翌朝に出る朝食を楽しみにしていたら、その姿を見た料理人が気を回して、別の料理を出す。

 明日雨が降るからと傘を持って行ったら雨は降らない。

 新天地で親切にしてくれた少年に出会う未来を心待ちにしていたら、実は拉致犯に雇われた囮だったり。次こそはと思っても求めた未来に手が届くことは無く。

 ならば当然、結果しか観測できないなど方便でしかなく、実際は結果すら観測できず、ただ未来の因果を悪戯に歪める、未来視などとは到底呼べない代物だった。


 そして因果は回り災難を引き寄せる、資格もなく未来を盗み見た罰かの様に。


「この目には未来を確定する力が無かった。そして次第に『星見』は唯一無二の変わらぬ未来を求めずにはいられなくなる。有り得たかもしれない可能性に翻弄されない確固たる未来の先の先、行きつく果ての境界線。例えそれが死の運命であっても渇望せずにはいられない。いずれ貴方も理解する時が来るでしょう…」


 今思えば、当時幼子である自分に母はなんてこと言っているのだと思う。

 しかしこの時辺りから母の容態は悪くなり始めた。余裕がなかったのだ。致し方あるまい。


 それにこの言葉の意味を今でははっきり感じている。

 揺らぐ未来に怯えながら暗闇の中でただ歩き続ける。その感覚が寝ても覚めてもずっと付き纏ってくる。


 今この時でさえも。


 この恐怖から逃れる為ならば、…確たる何かを欲したくもなろう。



 ───



 目が覚めたら目隠しで視界が塞がれ手足も縛られて動けない。

 体感的に時刻は深夜だろうか?詳しい場所は分からなかったが、磯の香りがしたので港近くの倉庫まで連れて来られたのは何となく察せられた。

 慣れない土地で道に迷ってしまった隙を突かれて拉致されたらしい。現に犯人らしき、いくつかの人の気配を感じる。

 クレアは随分遠い所まで来たな、と思いながら来たる未来を思う。


 ここで自分は対立する貴族に扇動された雇われ市民等に殺される。


 それが自分が見た絶対の未来、確約された死。

 飼い殺しといえど曲がりなりにも、これまでスターグ家が貴族として甘い汁を吸ってきたのは理解している。その事を人々が憎らしく思うのも至極道理だ。ならばその死を甘んじよう。

 この国は蒸気機関の発明によって大きく発展したといってもその富で貧困を無くせたわけではない。むしろ富裕層との格差は広がるばかりだ。

 自分ではどうしようもないもないが無力感に苛まれる。自分が死んだらスターグ家は取り壊され、その富のいくらかは市政に使われるのならば少しは慰めになる。


 少し離れた場所で昼間に自分を攫ったらしき何人かの雇われらしき男達が今後に向けて話し合っているようだった。


「依頼主はいつ到着するって?」

「少し遅れるが今夜中には着くとさっき電報で返事が来ていた。その分報酬は上乗せする約束をしてくれたよ。」

「これでしばらくは生活できるな…」


 この後にそう時間も待たずに依頼主自身の手で殺される。

 それが何度未来観測を行使しても変わらなかったクレアにとっての絶対の未来であった。

 依頼主が自分と同じ貴族らしいのは気に食わないが憎くはない、成金といえど元は一市民だ。

 実際その時にならないと分からないが今は特に悪感情は湧いて来なかった。

 無気力で仕方がないので寝てるフリをする。


「あの小娘はどうする?」

「まだ寝てんだろ」

「一応確認しとけ。」

「分かったよ」


 その時、目隠しのおかげか敏感になっていた聴覚が準備で近づいてくる男の足音とは別にその頭上、倉庫の梁が少し軋んだ音がした。

 そして短い悲鳴と共に何かが落下してきた衝撃を感じる。

 目隠しをされて分からないが何者かが飛び降りてきて、男は下敷きにされたらしい。

 そんな推測をしている内に、その何者かに目隠しを外される。視界が明けると同時にその人物を視認した。


「ドミニクさん……!?」

「しっ、静かに」


 目の前にいたのはドミニク・ヘンリーだった先日知り合って親しくしてくれた人。

 クレアにとってこの場にいるのが似つかわしくない青年だった。


「何で貴方が……」

「しっ、静かに!」

「おい、誰かいるぞ!」


 何故?と疑問を口にだす前に、異変に気づいた男達が慌てて突如現れたドミニクに銃を向ける。


「誰だお前は!」

「予想より数が多いなっ」


 ドミニクは言うが早いか常識外な膂力と速さで目隠し以外縛られたままのクレアを弾が当たらないよう軽々と近くのコンテナ裏まで運ぶ。その後すぐさま一番近くにいた男を自身の銃弾避けの為に盾にしようと飛びかかる。

 ドミニクの意図を察し、捕まると不味いと感じた男はろくに狙いもつけずに反射で銃を撃ってしまう。


「ぐあっ!」


 そして運良く銃弾はドミニクへと当たってしまう。だが不思議なことに当人は衝撃で怯み少し苦悶の声を上げただけで血は出ている様子はなかった。

 夜の帳が下りた薄暗い倉庫内であっても目ざとくその事に気づいた男は、銃で撃つのを諦め距離を取り、近くの別コンテナに身を隠す。


「クソッ、何か着込んでやがる!お前等、用意してたアレを使え!」


 男の警告を聞いた者達は用意したらしき火炎瓶を取り出す。火炎瓶は安価で作れて、この場所に適した武器に思えた。

 もし不慮の事故で引火してもすぐそこに海がある。置いてあるコンテナも金属製なので引火する事も無い……が、当然海側の出入口は他の男が先回りして塞いでいた。


「喰らえ!」


 そんな心配を余所に無慈悲に下っ端が火炎瓶が投げつけてきた。縛られているクレアをいつでも守れる範囲にいたのが裏目となった。庇う為に下手に動けないドミニクは諸に喰らってしまう。


「熱っ、ぐわあああああ!」


 服に引火したと思った瞬間、一気に全身火だるまになってしまう。悲鳴を上げながら転がるドミニクの姿をクレアはただ呆然と見つめる。

 その間に男達の1人が照明を落とし、倉庫全体は真っ暗になってしまった。唯一の光源として燃えて苦しむドミニクを余計に見入ってしまう。


「どうして…」


 一度会っただけの店員と客の関係でしかなかった自分にそこまでするのか……


「止めて……」


 死ぬのが自分ならいい、罰だと納得している。だが彼はダメだ。見守る事しかできない事への罪悪感で苦しくなる。鼓動はどんどん早くなるのに脳に酸素が回らず思考が次第に鈍くなる。余計な事考えている場合じゃないのに、罪悪感に潰れて現実逃避しそうになる。

 暗闇の奥で男達が近づく気配がする。ドミニクが炎で居場所が丸わかりの中、囲んで確実に仕留めようとしている。クレアの事など二の次だ。


「あぁもう背に腹は代えられないな!」


 同じく状況を理解したドミニクは炎に燃える痛みに耐えながら立ち上がり、服を火傷など無視して強引に脱ぎ捨てる。


「ひっ…」


 それは人の姿などではなかった。


 大きめな服で分かりずらかったが、露わになった上半身は所々筋肉が歪に盛り上がり、魚類と同じ色に変色した肌はびっしりと鱗が生えていた。それは人ならざる者である証明で、それは初めての自分以外の神秘で、ショックで急回転し始めた脳が警鐘を鳴らす。

 殺せ!殺せ!そいつは人類の敵だ!生かしてはいけない!

 目の前にいる歪に歪んだ身体の青年が命の恩人だと再認識するまで時間がかかる。恩人なのに生理的に受け付けない嫌悪感。本能としての忌避感が思考の邪魔をする。


「ごめん見苦しいから目瞑ってていいよ」


 クレアの混乱を知ってか知らずかドミニクは醜い身体晒したことを申し訳なさそうに苦笑しながら謝罪する。


「何、その姿、いや、そんなことが言いたいんじゃなくて…!」


 何を言えばいいか分からない。ただその時クレアは、何故かその困ったような顔を見て、謎の嫌悪感は自然と収まっていった。そのことを当人は気づかない。何故ならその視線の先に映るものに釘付けだったからだ。

 ドミニクの身体は今にも消えそうな服の残り火に照らされて、アルコールで濡れた鱗が僅かな光を反射し輝く。その輝きは火傷だらけの身体を露わにさせた。人外の身体から来る醜さだけでなく、人間に留まっている部分も焼け爛れている事によるグロデスクな醜悪さだ。

 常人なら目を背ける凄惨な姿がクレアには特別なものに見えた。見えてしまった。同時に覗いてしまったのだ、彼が最期まで自分を守ったその姿を。


 クレアは星空を知らない、けれど無意識に涙ぐむ瞳に映る、小さな光群はクレアにはとても眩く、美しく映った。


 未来無き少女はその日初めて星を見た。例え本物と比べるのもおこがましい光だったとしても少女にとってそれはとても美しい輝きであった。


 「星見」は家畜の宿命から幾度の夜を越え、遂に星と巡りあった。その星は自分より人間の枠から外れた存在なのに何者よりも人間の善意の形をした光であった。


「ドミニクさん…」


 この男は生きるべきだ。多少未来を垣間見た影響はあるだろうが彼が自分を最期まで守る意思を曲げない限り確定した自分の死の結果に付随して彼も死ぬだろう。


「貴方の未来を保障します。『星見』の名に懸けて、必ず」


 初めて確定した未来を、悲願を捨てる決意をした。それなのに心は軽く、不思議な気分だった。


「2人で生きて今度は一緒にランチを食べましょう。だから死んでも私を守るとか考えないでください。私も今ここで死ぬなんて考えませんから」


 クレアの言葉に、ドミニクは重度の火傷を負っているのに、それを感じさせない気楽な顔で一瞬驚き、先程と同じ様な顔で苦笑する。


「驚いたな、『星見』は死にたがりだと聞いてたんだけど。……うん、そうだな。なら2人でのんびり飯が食える未来を俺にも見せてくれ、それがいい」

「承りました。必ず果たしてみせます」


 クレアは生き延びる為に、「星見」として初めて確定した死の未来ではなく不確定な明日の希望を望んだ。



 ───



 クレアの未来観測は使う度に未来が変わるのであまり意味がない。

 なので乱用した。

 何処から敵が出てくるか分からないなら、何度も観測して出てくる場所を絞る。何の武器を使って来るか分からなければ持ってる武器全てを観測する。荒事は専門外なので判断は全てドミニクに任せた。

 自分は担がれながらただ見たものを報告する。使っても意味が無いなら、そうでなくなるまで繰り返す。

 反動で視神経が酷く痛む、自分の定義が曖昧になって精神がバラバラになりそうだ。無理して未来を観測しようとするとズキンと神経に痛みが走り反射的に観測を止めてしまった。

 未来観測を酷使し始めてどのくらい経っただろうか…。この痛みでしか現在と未来の区別がつかなくなってきている。


「もう無理しなくていいよクレアさん」

「ですが、ピンチですよこの状況……!」


 そう、2人は倉庫の壁際にまで追い込まれて逃げ場がない状態だった。

 その場で優しく床に降ろされてからようやく気付く、ドミニクがただでさえ火傷で瀕死なのに身体中切り傷や銃創まみれのボロボロの状態だった。


「おい、何しでかすか分からん、さっさとやるぞ」


 ドミニクが反撃して何人か倒したらしい、よくやった方だが流石に人外であってもこの状況を切り抜けられる体力は残ってなかった。


「悔しいけどここらが潮時らしい。」

「そんな…」


 諦めては駄目だ。何とかしようと未来視を使うが痛みで何もできない。

 心が折れそうになる。暗闇の中やっと見つけた希望なのに、失いたくない。

 以前まではあれほど願っていた死がクレアの恐怖を煽る。


「男の方は慎重に鱗の無い部分を狙え、他は弾かれる」


 徐々に迫ってくる男達を睨みつけることしかできない。必死に起死回生の策を考えていると、唐突にドカンッと自分達とは反対側でシャッターが蹴破られる音がした。


奇怪きっかいだ!奇怪きっかいだ!人外の怪物が集団リンチに合っているぞ!情けないことこの上ないな!」


 一番奇怪なのはその発言をした少女当人であった。何故ならクレアの未来視に一片たりともその少女は映っていなかった。完全なイレギュラーである。予想外の到来をした謎の少女は笑う。


「待たせたね!このケイト・コールの助っ人参加枠はまだ残っているかい?」


 やたらハイテンションで変な少女が現れた。どうやら応援らしい。



 ───



「いやあ、待ち合わせ道中に怪しい奴に襲われたからシメてやったんだ。そうしたら何やら偶然行先が一緒だったみたいでねぇ」

「なんでも政敵だからって、いたいけな女の子を殺しに行く途中だったんだってぇ。怖い世の中だねぇ。顔が君たちの雇い主に似てた気がするけど、それは君達の雇い主に失礼ってもんだよねぇ」


 突如現れた変人はやけにわざとらしく間延びした声で喋りながら、ニヤニヤ笑っていた。


「おい、まさか」

「早く助けに行かないと官憲に君達の報酬金、雇い主もろとも車のスクラップにされちゃうぜぇ」


 その一言が止めだった。


「くっ、そいつらはお前等が処理しとけ!」


 たまらず何人かの男達が声を掛けて貴族の元へ向かう為に、出口へと走るが当然ケイトが立ち塞がる。走りながら先頭の男はケイトへ銃を構えた。


「走れ走れ若人よ……て呼ぶにはよく見ると年食いすぎてるなキミ」

「邪魔だ!」

「退かんよ」


 次の瞬間、ケイトの目にも留まらぬ動きで男の体が凄まじい衝撃音と共に地面に叩きつけられていた。

 ドミニク以上の人外ぶりである。よく見るとコンクリートの床に罅が入っていた。気絶した男の背骨がどうなっているかは考えたくない。


「フフッ、私を倒したけr…」

「近づくな、近づかず撃て!」

「ギャアッ!私はそこの男と違って紙耐久なんだ!」


 調子に乗って、余裕綽々と決め台詞を吐きかけたケイトに銃弾が飛ぶ。先の勢いは何処へやら、後続の男達が遅れて銃を構えた瞬間には物陰に隠れて情けない抗議の声を上げた。


「距離を保って囲め!一気に叩くぞ」


 即断即決で迅速に連携を取る男達は謎の練度の高さが窺える。余裕こいて登場したケイトだが、早々に自分でも勝ち目がないと判断する。ドミニクと2人なら兎も角、1人ではどうしようもない。


「仕方ない、ドミニク!あれを使う、耐えろよ!」

「いいのか!?レストアしたばっかだろ!」

「あれって何です…?」


 止めるドミニクと困惑するクレアを他所に、ケイトの身体が淡い光を発し始める。


「何だか分からんが阻止するぞ!お前たちも来い!」


 身の危険を感じ、ドミニク達を見張っていた男達も緊急事態だと応援に向かう。

 ドミニクはこれ幸いと瀕死の肉体を無我夢中で引きずり、できるだけ距離を取った後、クレアに覆い被さり衝撃に備える。


「丸ごと全部ドカーンだ!」


 次の瞬間は光が爆ぜた。



 ───



 目が覚めたら倉庫が半壊していた。屋根が崩れ、そこから外の灯に照らされた曇り空が見えた。

 どうやら「あれ」と呼ばれたものを使った結果こうなったらしい。ケイトの姿はなく、周辺には爆発の衝撃で大なり小なり傷を負った男達が気絶していた。


「自爆したんだ。予備の替えが利くからって頭おかしいぞ本当」


 隣に視線を向けると壁にもたれかかって先に休憩していたドミニクが説明する。

 どうやら、ケイトは変人どころか人ですら無いらしい。


「人間じゃないからってそうホイホイ爆発四散しないでほしい」

「そう……ですね」


 謎の乱入者の事もあって、現実味が無い。今本当に生きているか実感が湧かず、生返事しか返せない。

 暫くお互い無言だった。

 だが迷った素振りを見せた後、意を決してドミニクの方から真剣な表情で話を切り出す。


「……考えたんだが、死ぬ順番が君である必要はないと思うんだ」


 それはクレアの死の運命の話。「星見」として絶対を望んだ話。ドミニクがその事を知っていることを不思議には思わなかった。


「俺は見ての通り人類の敵なんだ。なのに俺が死ぬ前に善良な人が死ぬことはあってはならない」

「ケイトも……まぁ詳細は割愛するがアイツも部外者。お互い世界の鼻摘み者って奴で、理不尽に殺されると言うなら、死ぬべきは俺らみたいな奴なんだ」


 言葉はクレアに向けられているが、視線は忌々しそうに人間ではない自身の腕に向けていた。


「だからただの人である君は死ぬべきではない」


 その言葉は自分への否定に聞こえてつい反論してしまう。明日を望んだがその先の死の贖罪自体は捨てた訳ではない。


「私は仮にも貴族の生まれです。貴族として責任を果たす義務があります。社会を変えるために尽力してはいますが、微力で気休め程度のものです。自己欺瞞の使命と比べて、必死に生きたい貧困民の願いは純粋で当たり前のものです。生存の権利の為ならば苦痛から逃れたいだけの一族の願いなど塵芥。無視すべきです。搾取するなどもってのほか。その為ならば殺される事に文句はなどありません、あってはいけないのです」


 それがただの少女の我儘ならば尚更だ。けれどもドミニクは悲しそうな顔で首を振り否定する。


「ノブレスオブリージュ。社会的責任を果たすのは立派で凄いとは思うけれど、それを果たすのが君みたいな幼い少女である必要は絶対無いよ」

「私は貴族で立派な『星見』なんです!」


 子供として見るのは許さない、そう言外に告げる。

 そもそも見た感じお互い年はそう離れてないではないか。優しく悟りかけてくるドミニクに神経を逆撫でされ、頭に血が上ったクレアは反論してしまう。だがドミニクは気にした素振りもなく話を続ける。


「未熟者扱いしたんじゃないよ。ただ君はまだ何も為してない。善も悪も、成功と失敗も。これから起こるであろう未来の話だ。これまで君はただ『星見』として飼い殺されてきた。そんなのはただの家畜と一緒じゃないか。他人より恵まれた環境だからって、他人より良いものを食べているからって、他人に奪われる事が前提となっていては、意味の無い嫉妬でしかない」


 最後には奪われるけど、与えられてはいたから恵まれているというのは間違っている。告げるドミニクの言葉にどんどん熱がこもっていく。

 その熱にクレアは何も言うことができず、ただただ黙って聞き入るのみ。


「そんな環境にいる1人の少女の未来を奪って一時凌ぎの安息を得て、必要に駆られたらまた同じ事を繰り返す。欺瞞の今日に逃げて、安寧の明日を逃す。」


 言葉に怒りが滲み出てくる。それは人の枠から外れた人外故の人類への怒りなのだろうか。


「勘違いしないで欲しいが誰かが犠牲になって大衆を救う事の是非を話してるんじゃあない。目指す未来から目を背けて今現在の保身の為に名も知らぬ誰かの生贄を容認する。大衆で一個人を殺し続ける事を選ぶのが許せない。」

「人類は君みたいな美しい信念と輝きを持つし、かといって自己保身の為に平気で他人を犠牲にする悪徳の面も持つ。清濁併せ持つというのならば、いっそ清くあり続けようとしてくれ。間違えたっていい、道を踏み外したっていい、ただそれでも正しくあろうとしてくれ……」


 いつしかそれはクレアに向けてではなく、かつて自分がそうであった人類への懇願であった。人間は尊いものだ。尊くあり続けようとする生物である筈だと。例え人の領分から踏み外していても、その事実こそが自分が怪物に身を落とさず、人間として醜くしがみつけれる拠り所なのだと。


「どうせ叶わないと諦めるならそんな人類は滅びてしまえばいい」


 その願いが故に人類に要求する。正しいあり方を。間違っているのは自分で、それを断罪する人間は強く尊いものでなければならないと。失望させないでくれと黒い感情を露わにする。


「だから……だから自分が死ぬことを受け入れて、それを願うなんて止めてくれ。」

「俺に人への見切りをつけさせないでくれ」


 その懇願にただクレアは小さく「はい……」と答える事しかできなかった。



 ───



 今回のオチというか落としどころ。

 後日、件の人物らはドミニクの店に集まっていた。「星見」として2人でランチを予言したが、しかし実際にテーブルを囲むのは3人となっていた。2人でランチの未来は変わってしまったらしい。


 やはり願掛けといえど観測関係なく未来は手に入らない。未来に絶対はないのだ。


 元から人は未来など観測できずそれが当然と受け入れている。しかし「星見」の少女からしたら足元がおぼつかない感覚だろう。折角の食事会もソワソワと落ち着かない様子であった。それこそ今まで目指していた輝く星を見失い、進む方角が分からない迷子のように不安げな。


 ……いや違った。先日塵と化したはずのケイトが目の前でがつがつと肉を貪っている事に困惑してる様である。個人的には慣れたものだが初見なら驚くのが普通であって当然だ。失念していた。更にクレアは我慢できなくなったのか遂に疑問を口にしてしまう。


「何で生きてるんですかこの人」

「命の恩人だぞ、感謝したまえ」

「私からしたら突然現れて、いきなり自爆した変人なんですが」

「変人などとは失礼な!私が変人など名乗るには些か厚顔に過ぎる」

「じゃあ奢りなのに俺の肉にまで食い意地張ってる今はなんなんだよ」


 自分の残しておいた分が横取りされかけたので、思わずツッコんでしまった。


「それこそ私はケイト・コールそれ以上でもそれ以下でもない。この時代に変人なんて流行りじゃない。……ドミニク、おかわりを所望する!」

「厨房に残ってるから自分で取ってこい」

「はいはい」


 ……ようやく厄介払いできた。ケイトが大人しくおかわりを取りに向かう姿を眺めていると、クレアが話を切り出してきた。


「ドミニクさん。あの時の話の事ですが、やっぱり難しいと思います」

「……それは」


 あの時の話とは、言うまでもなく港倉庫での話だ。ならば難しいというのは、ドミニクが一方的に取り付けたエゴ、犠牲への否定に他ならない。


「あんな事があっても、私はそう易々と自分の信条を捨てられるとは思えません。逆に意気地になってこれからも、ノブレスオブリージュに固執するかもしれません」

「それならそれでいいさ。ただ俺は君には時間が必要だと感じたんだ。熟慮の上で反故なら何も言わない。けど死の未来が前提で自己犠牲に走る姿なんて見たくなかったんだ」


 それが同好の士として見過ごせなくて。


「だから、時間をおいて欲しかった。そうすれば多少なりとも考えは改まるかなって。時間が解決するなんて無責任な事は言わないけど」

「現に今の君は以前と比べて変わったんじゃないか?」


 自分が変わったという心当たりがあるのか、クレアは黙っている。


「人は変わるんだ、否が応でも。変わらないことを選択しても無変化も変化の一つってね。変わらないものを求める『星見』ですら変わるんだ。絶対の未来なんて土台無理な話さ」


 そう言って、残っていた紅茶を一気に飲み干す。喋り過ぎて喉が乾いてしまった。


「……そう、かもしれませんね」


 クレアはゆっくりとドミニクの意見を飲み込む。今は己に向き合えるからこそ慎重に。

 やはり未来に絶対はないのだ。けれども未来は変わる、変わり続ける。変わり続ける未来だけは不変の未来を求めた星見にとって、もう一つの絶対なのかもしれなかった。




 ───




「私も奢られてばかりじゃ悪いから、差し入れ持って来たの忘れてた。すまんね諸君」


 話が終わってから、そう間を置かずケイトが戻ってきた。その手にはおかわりのステーキと一緒に見覚えのない料理を携えている。


「……っ!」

「うへぇ……」


 シンプルなホール型のパイに何やら魚の頭が上を向きながら顔出している、見た目がヤバすぎてドミニクとクレアは固まる。


「さぁ召し上がってくれ、『星見』と言ったらやっぱりこれだろう?」


 ……目の前に出されたのはスターゲイジーパイだった。


「喧嘩打ってんのか!?」

「『星見』ってこれ好きなんでしょ?同じ名前なんだし」

「どんな偏見だ!?」

「味は保証する、まぁドミニクは共食いになるけど構わんだろ」

「モラルってものがないのか!?」


 当てつけに出された料理で言い争いをするドミニクとケイトを他所に、当のクレアはこのゲテモノ料理を存外お気に召したらしく、黙々と食べ進めている。


「……意外と美味しい」


 その顔は未来に怯えた様子など見る影もなく、彼女にとって楽しいランチタイムは続いていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Lets!Star gaze! ニアエラ @niaera

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ