第7話 迎撃戦 市街地戦β

「よし、12発目だ!」


「行くぞ!!」


「「「イエッサー!!」」」


建物の下で兵士達が車や分隊防御用の盾で弾丸を弾き飛ばしながら進んでいく。

一方だ。

こちらは光学迷彩を爪先から髪の毛の間まで使用した物を汚い地面に漬けて埃や土とかを塗りつけている。

特務の財団が見たら気を失うか、ここを戦場だとゆう事を忘れて説教しそうだ。


「メディカルチェックは?」


「済ませました」


「よし。支援任務を開始する。スコープを除け准将」


言われた通りにスコープを覗く。

スコープに半透明な照準が映る。

空中投影のホログラムだ。

横の倍率を弄り、同時に自動で調整される見慣れた照準は丘の地平線を捉えた。


「建物の窓から仕掛けて来るはずだ。気を付けろ」


「こんな旧式のスコープと最新型のライフルは釣り合わないですね」


「・・・貸してみろ」


少佐がスコープの手前にあるボタンを押した。

するとスコープの照準が次々と変化し、照準が元に戻ったと思ったら中央から少し左斜め下へと移動していた。


「アイツ等が一式揃えないはずがないだろう?」


「確かにそうでしたね。影を確認しました」


砲撃により空いた天井から照らす太陽光に気がついてないのか中に居る敵の影がベランダに出来る。


「よし、SORPB弾(Special outer rotary penetrating bullet弾)の使用許可は出ている。撃て」


その言葉を待ちに待っていたライフルの弾は吸われるように照準の中心へと向かい、壁から火花が散って中から人が出てくる。

あれなら止血しなければ死ぬだろう。


「よし、次だ。右側建物。地平線から三件目の二階ベランダにトラップ。グリップを狙え」


「了解」


トラップを見つけた准将はサイトの色が変化するのを待って撃った。

SORPB弾は誘導貫通弾としても知られているが、推進加速弾としての特殊性も同時に理解しなければならない。

外郭のリム部分が弾とは逆に回転する特性上、蛇のような軌道を描くが。必ず対象に着弾する。

しかし、弱点として焼夷曳光弾のように射撃位置がバレる可能性がとても高い事が挙げられる。

まあ、それは表の話だが。


「次は・・・出てきたな。ウサギだ」


地平線の向こうから量産型の装甲車両が出てきた。

厚さ47mmの装甲車両は今では圧倒的な防弾性能を持っているはずだが。この装甲車両はただの鉄板を張り付けただけだ。

ジャンク品で作ったにしても酷すぎる出来だ。


「少佐。私の射撃の得点は何点かしってますか?」


「99点。内1点はバレルの高熱により少し右に逸れたんだってな」


「そうです。これなら外す事も無いですよ」


「フム。試してみよう。一発で爆発させてみろ」


無理難題を吹っ掛けた少佐だが。准将はニヤリと笑った。


「了解!」


ポイントも付けぬまま放った弾丸はまるで錯乱状態のドーベルマンのように敵から何度も逸れそうになった。

ジャイロ効果の無い弾丸に誘導を付けなかったらこうなる。

しかし、弾丸は射手から見ると太い筋を寒い空気に残して真っ直ぐにエンジン部分を直撃。

そしてガラスが熱により一気に溶けて割れ、砕け散った破片が道路に撒かれると自らレッドカーペットになるのか中から人が出てきて道路に横たわり、カーペットを敷き始めた。

しかし、それを通る事無く敵の車は次々と現れた。

本格的な戦闘の開始だ。

白兵戦では次々と相手を見つけては散り、射撃の音が音楽のように流れ始めた。

あとはもう。物量と質。そして個人、分隊の戦術の強さのみの戦場となったのだ。

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リコ・プラス~船の浮くこの世界で生きてゆく~ デルタイオン @min-0042

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