第9話 ニコラスの最期
上空を移動するファイは手刀をつくる。手刀をつくるファイの腕は鋼の輝きを
手刀が変形した巨大な刃物を構えると巨大な刃物の刃には
ファイが首の一つを刎ね飛ばしたその少し後、残り八つの魔獣の首の一本が刎ねられた。刎ねられた別の首はファイが刎ねた首と同じく白い灰になって地に落ちていく。ファイが刎ねた首とは別の刎ねられた首の近くに輝く青白い光が
どうやらファイ達とは別の者達も上空を飛翔する巨大な魔獣と応戦している。
そんな事をふと思ったファイはすぐに巨大な魔獣へ視線を戻す。すると目を疑いたくなるような光景が視界に映り込む。
腕を変形させた巨大な刃物で刎ねたはずの首の断面の肉が
元の頭に戻った巨大な魔獣の顎から紅蓮の炎が溢れ出す。
ファイの背中の翼は勢いよく羽ばたかせる。するとファイの体はさらに上空へ移動する。するとさきほどまでファイ がいた場所めがけて紅蓮の炎が巨大な魔獣の顎から噴き出した。
「助かった。ノルン」
『空中の移動は私に任せて下さい。ファイは魔獣を倒す事だけ考えて下さい』
ファイは背後に見えないノルンへ感謝を伝える。するとファイの背中に生えている翼から聞こえるノルンの声がファイに返事を返す。
すると上昇したファイは急降下する。急降下した先にあったのは先程刎ねた首とは別の魔獣の首だった。ファイは腕を変形させた巨大な刃物が再び
清浄な光を纏う巨大な刃物は巨大な魔獣の首の一つを刎ねる。刎ねられた魔獣の首は灰に変わり地に落ちる。しかし刎ねた首の断面から肉が
空中に軌跡を描く愛白い光が魔獣の別の首が刎ねられる。しかしその首も瞬く間に肉が
「ちっ、
魔獣の首を
二度魔獣の首を刎ねた。しかしその首はすぐに元に戻る。ファイの言った通りこれでは埒が明かない。
すると視界に映る青白い光の軌跡の先端は巨大な魔獣の胴体へ移動する。青白い光の軌跡の先端は巨大な魔獣の胴体にある水晶のような鉱石——核へ進む。そして巨大な魔獣の核へ青白い光が衝突する。巨大な魔獣の核に衝突した後、青白い光が止まる。青白い光と衝突した巨大な魔獣の核は傷一つなかった。すると巨大な魔獣の胴体を覆っている
『あの青白い光、確実に魔獣の核を砕くくらいの速度でぶつかったはずなのに』
「あぁ、しかもそんな核を
ファイは翼から聞こえるノルンと目の前で起きた事について話す。
魔獣の急所である胴体の核を青白い光の軌跡は凄まじい速度で、確実に核を破壊する程の速度で衝突した。その速度で衝突しても魔獣の核は壊れなかった。それどこか傷一つ付かなかった。これでは打つ手がない。
そんな事が脳裏をよぎる。その瞬間、巨大な魔獣の九つの首は一斉に下を向いた。下を向いた視線の先にあるのは王都だ。
魔獣の九つの首が一斉に下にある王都を剥くと九つの顎から紅蓮の炎が漏れ出す。そして巨大な魔獣は九つの顎から紅蓮の炎を吐き出した。
吐き出された紅蓮の炎は王都に向かって放たれると、紅蓮の炎は王都へ降り注ぐ寸前で見えない何かに遮られた。
「結界で守られているけど、さっきよりも火力が上がってる。これだと結界が先に壊れる」
ファイは九つの魔獣の顎から吐き出される紅蓮の炎の火力が明らかに先程王都へ吐き出した炎の火力よりも上がっていた事に感付く。
この火力では王都を守り切るよりも先に結界が焼き尽くされる。
『ファイ。私達の他にもこの魔獣を倒そうとしている人がいます。魔獣を仕留めるのはその人に任せて私達は魔獣の注意を引いた方がいいと思います』
後ろから聞こえるノルンの声がファイに話すとファイの背中の翼は羽ばたいて魔獣の首へ直進する。
魔獣の首へ直進するファイは変形した巨大な刃物を構える。そして魔獣の首へ間合いを詰めたファイは巨大な刃物を振るい魔獣の首を刎ねた。
魔獣の首の一本を刎ねると吐き出される王都へ降り注ぐ紅蓮の炎が掻き消えた。
ファイが
魔獣の九つの顎かたファイを狙った紅蓮の炎はファイのすぐ傍まで噴き出す。するとファイの背中の翼動きファイは空中を素早く移動する。
移動するファイは魔獣の噴き出す紅蓮の炎を避けていく。魔獣の九つの頭は周囲を動き回るファイに向かって炎を吐く。しかし空中を素早く移動するファイには命中しない。
ファイが魔獣の吐き出す紅蓮の炎を王都や空中を移動する青白い光とは別の方向へ誘導する。
魔獣が吐き出す炎をファイは移動して避け、避けきれない炎は先程まで巨大な刃物だった腕を巨大な盾に変形させて防ぐ。
魔獣の注意を引くために魔獣の目の前を素早く動き回るファイ。その繰り返しを付透けていると巨大な魔獣の動きが数瞬》止まる。
そして次の瞬間、魔獣の九つの顎から耳を劈くような雄叫びが上がった。
魔獣の雄叫びが轟く中、ファイはその隙を狙い魔獣の首元へ進む。
ファイはもう片方の腕を巨大な刃物に変形させる。そして目の前まで間合いを詰めた魔獣の首を刎ねる。そしてそのまま速度を落とさずに別の首へ直進する。
直進するファイは再び構え直して再び目の前に近付く魔獣の首を刎ねる。首を刎ねてまた次の首へ直進し魔獣の首を刎ねる。ファイはその繰り返しを続ける。
ファイによって刎ねられる魔獣の首は灰に変わり次々とはねられた断面から新しい首が生える。ファイが首を
首を刎ねられた続ける魔獣が空中を動き回るファイを捉えるとファイを取り囲むように九つの魔獣の頭を動かした。
そして魔獣の顎から紅蓮の炎が漏れ始める。
〈避けられない!〉
ファイは魔獣の顎に囲まれて吐き出される紅蓮の炎の逃げ場がないと認識をすると両腕を巨大な盾に変形させる。その瞬間、魔獣の顎から炎ではなく雄叫びを吐き出した。
魔獣が雄たけびを上げると胴体の核を追っていた
その直後地上の王都を覆っている
噴き出した青い炎は上空の巨大な魔獣を呑み込んだ。青い炎に呑み込まれた魔獣は体を覆おう
剥き出しになった核に空中を動き回っている青白い光は核に向かって直進する。
直進する青白い光が魔獣の胴体の核へ衝突すると魔獣の核に亀裂が
核が砕けると魔獣の体が光り出す。光り出す体から光の粒子が散っていくと魔獣の体がすり減っていく。そしてついに魔獣の姿は跡形もなく消えた。
『終わりましたね』
「あぁ、これで終わった」
宙を浮いているファイは徐々に地面へ降下していくと背中の翼が光の束に形を変えていきその光は人の形に変わっていく。
その光る人の形は輝きがはがれていきノルンの姿が現れる。
地面へ着地したファイは後ろに抱きついているノルンの方に声をかける。
「ありがとう」
ファイの一言の感謝にノルンは
「こちらこそ、ありがとうございます」
返事を返したノルンはそのまましばらくファイの背中に抱きついたままだった。
背中に抱きつくノルンのわずかに冷たい体温にファイは安堵した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます