第4話 ラムダの借り
「あいつが言ってた意味、ようやく理解できたぜ」
歩きながら先程までいた
ラムダ達には王都を
「だが、あのままにするのも気が引けるしな」
そんな言葉を
そんな気分のまま歩き続けるとロイドの目の前には王都第三区と王都の外を
「これから仕事か?」
青い体毛の狸——ラムダがロイドの目の前に現れるとロイドはラムダに視線を向ける。
「そんなところだ。お前は何でここにいるんだ?」
ラムダの質問に答えたロイドは続けてラムダに質問した。するとラムダはロイドの予想しなかった言葉を返した。
「仲間を助けてもらった借りを返しに来た」
「は? 借り? 何の——」
ロイドは
「まさかあの時に言った事を」
「そうだ。借りは早く返す。それが
ラムダはロイドに視線を合わせて言った。その言葉を聞いたロイドは苦笑する。
「あれは
ロイドは苦笑を浮かべた後、小さく息を吐いた。
「分かった。だったら俺の仕事を手伝え。それで貸し借りなしだ」
「良いだろう。それでその仕事とはやはり魔獣狩りか?」
頭を
ラムダが魔獣狩りの仕事なのか
「ここから南西の魔獣の巣穴へ向かう。距離からするに歩いて最短でも数日はかかる道のりだ」
ロイドはラムダに目的地である魔獣の巣穴までの距離を説明する、
「そうか、だったら
「は?」
ラムダが言った言葉にロイドは
ラムダの体格は普通の狸と同じでロイドより格段に小さい。そんなラムダがどうやってロイドを運ぶのか不思議に思う。
「忘れてないよな。
「忘れるかよ。あれのせいでどれだけ捕まえるのに手がかかって……あ」
ロイドはラムダの言葉の意図に気付いたのか、言葉を紡いでいる途中で口が止まる。
ラムダはロイドの
「お前くらいの体の大きさなら一緒に移動できる。それこそ逃げ回っていた時くらいの速度で空中を移動できる」
ラムダは自信満々にロイドに告げる。そんなラムダをよそにロイドは
「何だ? その目は。まさか信じてないのか?」
「……いや、信じていないとかじゃなくて」
「なら何だ?」
「俺、乗り物酔いしやすいんだ。下手に運ばれたら魔獣の
ロイドが
「なんだ。そんな事か」
「そんな事とはなんだ。
「分かった。
そう言うとラムダは呆れた様子でロイドを見た。その様子にロイドは不満げな表情を浮かべた。
「あぁ、
ロイドはそう言うと今度はラムダが不満そうな表情を浮かべる。
「そんな態度取るなら、目的地へ運ばなくていいのか?」
「借りは返すんだろ。少なくとも目的地までは送れよ」
ロイドとラムダはしばらく互いに
「何やってんだろ。こんなやり取りするくらいなら目的地へ向かってた方が良かったな」
「確かに。これほど不毛なやり取り初めてだ」
互いに
王都の外へ出たロイドとラムダは目的地の方角である南西を見る。
「じゃあ目的地へ向かうとするぞ」
「あぁ、頼むぞ」
そう言うとラムダの瞳が輝く。するとラムダの体が見えない何かの力で空中に浮く。その後、ロイドの体も見えない力によって体が浮く。
「少しずつ速度を上げていく。お前は
「分かってる。くれぐれも安全に送ってくれよ」
「
そんな会話をするとロイドとラムダの体が浮くと徐々に目的の方角へ空中を動き出す。
徐々に速度を上げて目的の方角へ進み出すとラムダの瞳の輝きがより強くなる。その瞬間、徐々に上がっていた移動速度が一層早くなる。
「おい、急に速度を——」
「
物申そうとしたロイドに喋る事を制止したラムダは速度を早くしながら進む。その速度は既にロイドから逃げていた時の速度を超えていた。
素早い速度での移動にロイドは顔を引きつらせる。
そのまま数時間、目的地へ到着するまでラムダの移動にロイドは成されるがままだった。
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