『御払い箱』 下の上
ダ・ジャレーは、あっさり採用試験に合格した。
履歴書についても、経歴についても、ほとんど何も聞かれなかった。
『誰でも、良いという感じだな。これなら、才能豊かなぼくではなく、能無しやましんのほうが、よっぽど、向いているな。』
ダ・ジャレーは確信した。
しかし、ミス・テリーの要求は、『あえて、へたくそな仕事をしろ。』
と、言うことだった。
冗談じゃない。
ダ・ジャレーに与えられた仕事は、ビル掃除である。
危ない場所は、専門家がやるから、床や、壁などを中心にやってほしいという。
しかし、ダ・ジャレーが、それで満足するわけがない。
研修の段階から、彼の仕事は、完璧を通り越して、神業であった。
チリひとつ残さず、指紋ひとつの残存を許さなかった。
しかも、圧倒的に、早い。
びっくりした会社側は、試しに、二階の窓も拭かせてみたが、なんと、ダジャレーは、やもりマンか、ナメクジマンみたいに外側からガラスに、びったりと吸い付き、結果、ガラスなどない、くらいに、ピカピカにしてしまった。
『か、かいぶつだ。すごいのを、採用してしまった。』
社長も、専務も、却って危機感を感じたのである。
じつは、これこそが、ミス・テリーが狙っていたことなのであった。
ダ・ジャレーが、おとなしく、いうことをきくわけがない。
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おことわり
作者の体調が、良くないため、当初の予定より、長くなるかもしれません。
ダ・ジャレーより
『やましんに、予定なんかないさ。』
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『お払い箱』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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