『御払い箱』 中の下
冥探偵ダジャレーは、本来宇宙妖怪である。
宇宙妖怪といっても、地球では馴染みがないが、まあ、宇宙の嫌われもの一族だった。
大変な妖力を持つが、それは、『宇宙の力』の活用が上手いと言うことなだけだが、化け物、妖怪と嫌われ、仕方がないから、悪事を生業としてきた一族である。
巨大ギャングの用心棒や、政治家の影の仕置き人などもやっていた。
高い給料は出るが、都合が悪くなると、消される。
消されると言っても、それには高度な技術が必要で、それにはそれで、独自の流派があった。
ミス・テリーは、地球人では唯一、宇宙最高とうたわれる、宇宙妖怪駆除専門流派の出身である。
だから、このふたりは、永遠の仇どおしだが、まあ、そこは、のどかな地球のことで、いくつかの打算の産物で、マンションの隣どおしに探偵事務所を並べている。
力関係は、ミス・テリーが、ボスで、ダジャレーは、あわれな小間使い、という感じである。
しかし、さすがに、この仕事には、ダジャレーが猛反発した。
『冗談じゃあない。あんた、ていよく、ぼくを消すつもりだろ。』
ダジャレーが叫んだ。
『まさか。だいたい、それで、地球人の初歩的な転送で、あなたが消えたり、おかしくなったり、する?』
『普通の転送なら、ぼくには意味はない。しかし、絶対、裏があるに違いない。』
『裏があっても、あなたの力なら、問題はないと、思ったけどな。ちがったかな。見くびったかしら。』
『む。あらゆる、策略は、ぼくには、問題にならない。とくに、地球人ごとき。』
『なら、良いじゃない。お給料は、今回は破格よ。一億ドリム。あなたの取り分よ。』
『なに〰️〰️〰️〰️。一億ドリムう。』
黙って聞いていたノットソンが飛び上がった。
『やります。やります。絶対、やらせます。はい。』
『ほら、相棒は、ああ言ってますよ。』
『だから、問題は、あんたが信用しかねることだ。いつも、搾取してるくせに。』
『ふうん。せっかくの、もうけ話なのになあ。しょうがない、やましんさんに、頼もうかなあ。ちょっと細工したら。』
『ばかな。あのばかに、務まるはずがない。わかった。一筆入れてもらおう。誓約書。』
『はいはい、お安いご用。じゃ、あす、スローワークに行って、紹介してもらってね。これ、求人票。』
『なに、《株式会社はなの⚪⚪⚪⚪さざめき⚪⚪⚪地球社》。長い名前だ。総合ビル管理業。・・・・・』
『このあたりでは、大きい会社。お給料も悪くない。採用枠も広い。ただ、『御払い箱』の使用頻度がわりに高い。地元の与党代議士とつながりがある。ちょっと、『御払箱ブラックか、グレー会社』というところ。履歴書書けるでしょう。あ、得意よね。ちゃんと地球用の履歴書でね。』
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