『御払い箱』 中の中
パンダ議員は、私立探偵を雇いました。
国会議員が、個人的に探偵を雇ってはならない訳ではありません。
しかし、内容が内容ですから、国費を投入するのは、危険すぎです。
今の独裁政権なら、議員の逮捕もやりかねません。
さらに、頼む相手も、余程信用ができ、しかも、国を相手にする度胸が必要です。
パンダ議員は、幸いにして、お金持ちです。
父親は、独裁政権の、産みの親の一人でしたが、長男は父親の地盤を受け継ぎ、次男は、会社を受け継ぎ、三男のパンダ議員は、反発して野党に身を投じました。
偉いのは、母親でした。
父の死後も健在で、三人の子供それぞれを、平等に支援したのです。
長男と、三男は、犬猿の仲だったにも関わらずです。
さて、それで、秘密裏に調査を依頼されたのが、ミス・テリーだったのです。
彼女は、オカルト探偵として名高いのですが、実は、こうした政治がらみの、シリアスな案件も得意としていました。
権力とのしがらみがなく、個人として動くので、上司から注文が入ったりしません。
しかも、宇宙空間の闇に、顔が利くのです。
小さな町の小さなマンションに陣取っていて、目立ちません。
怪しき者たちを、多数、情報源として持っています。
パンダ議員の、選挙区に在住しています。
政治的には、現政権は、大嫌いです。
パンダ議員とは、旧知の間柄でもあります。
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『まあ、こいつは、だれか、適当なかたを、箱に放り込んでみるしかないでしょう。いささか、どじで、怪しまれない、だれかさん。転送されても、改造されても、問題にならない、だれかさん。政府に媚びる必要がない、だれかさん。お金が必要な、だれかさん。きまりね。』
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