無題⑤(描写練習)
柔らかい灰色の薄雲が空をふわりと包んでいる。太陽に照らされてか、雲の端は白金色に輝いている。
その下には、明るいパステルカラーの宮殿が建っていて、ドーム状の屋根が大小いくつか見える。そのつるりとした丸い屋根は、空の色に似た色をしている。白い彫刻に飾られた門や赤レンガの屋根が、淡い色合いにはっきりとしたコントラストをつけている。
宮殿を境とするように、こちら側には凪いだ水が広がっており、向こう側にはぼんやりと街の姿が見え隠れする。そしてその大きな水鏡には、逆さの城が映り込んでいる。
水は宮殿とその向こうの空に近づくほど軽く淡い白に、こちらに来るほど重く暗い緑に色を変える。
水には船が疎らに浮かんでいる。物売りの船なのか、帆のない縦長の船もあれば、豪奢な三角の帆を風にたなびかせている船もある。船の歩みに合わせて、水面に幽かに漣が立っている。
一番手前には、軽やかに水の上を滑る木船が今まさに視界を横切ろうとしている。帆のない古式の小舟は、赤い帽子の漕ぎ手に操られ、力強く進んでいく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます