第9話 幕があがる(否応なしに胸熱展開)

 さて、コントライブに向けて皆が作品を発表しだした。僕も嫌々ながらYくんとレッスン以外に稽古をすることとなる。しかしキッズまったく使えない。セリフも覚えられない。こいつ……結局好き勝手やらせていちいちツッコミを入れていく、というスタイルを築くことにした。

 さて、イケメンたちの方は途中まさかのHくんが脱退、事務所も休むということになった。「禅寺で修行したい」とか言い出したのだ。やめるための嘘でなくマジらしい。なんか彼の思考回路はわからんけれど、気持ちはわかる。いろんなことをやりたいのだろう。僕はマジなイケメンには優しいのだ(上から目線)。イケメングループたちも一人脱退というドラマを経て頑張ってはいる。コントライブに自主的に出て武者修行しているらしい。成果は芳しくないらしいが。


 誤算もあった。

 イケメン以外で組まされたグループがあと二組あるのだが、どちらも面白いのだ。みんな頭を使い出している……。

 ある二人組のコントが素晴らしい。二人とも舞台経験者ということで勘がいいのだ。間が全部おもしろに機能している。多分今回のライブ、彼らが一番だろう。素人集団のなかならば、とくに目立つに決まっている。僕もせめて、わかってるやつとコンビを組めたら……。

「いいなあ面白いなあ」

 となりでYくんがゲラゲラ笑っている。おめーも本気出せ!

 ひとまず芸を磨くしかない……!


 なんだか方向性がずれ始めている!!!! 気がするが、いまは考えない!


 その上なぜかモデルの女の子のために台本を書くことになったり、演技指導をすることになったりと、僕はいいように使われ……でなく大活躍である。これで事務所所属してオーディション受けさせてもらえなかったらマジで恨むぞ。


 ライブが始まった。

 笹塚の会場は客席が二百ほど。わりと大きめだ。イケメングループのファン狙いなのか、ブロマイドなども売ることになっている。僕までYくんと一緒に写真を撮った。なんだこれ。年の離れた兄弟の記念写真か?

 トリはイケメンども。

 絶対に俺は、勝つ。Yくんとのコンビ、そしてシングルカット(?)の一人芝居をひっさげ、僕は舞台に立った。

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