例えば、引越しの慌ただしさの中で、じわりと湧いてきた空腹感。それを満たす、きつねとたぬき。どっちもどっちの良さがあって、だから、二人の前にひとつづつそれがあると、ささやかな奪い合いが始まる。どっちも食べたい。二人が本当の意味で繋がっていれば、それは可能だ。その、二人の間を行き来する、きつねとたぬきが、はっきりしろよと言っているようで、胃と胸に暖かさが沁みる。そんな年末のひとこま。ちなみに超絶メンカタ派の私は、2.5分できつねを啜りだす。
二人の生活の始まりを赤いきつねと緑のたぬきが濃くします。この作品は、ほっこり、思わずにっこり、こころを温める力が最強です。寒い日にどうぞ。