第6話 第一回ファルマ新王政会議 直前

カツコツ カツコツ カツコツ カツコツ


10分後に始まる国家総会議の為に

大理石の長い廊下を、並んで足早に進む

第一王女アーシャと執事クロム。


「クロム、大ホールには今何人いるか把握してる?」

「はい。お呼びした大臣6人の内、法務大臣セキロマ民生大臣ムタタ防衛大臣シェードの3名と隣国皇太子アルビレオおうじは、すでに出席されています。」

「そう...他の大臣は」

外務大臣スズリは書類が片付き次第、国交大臣ルークは体不調、財務大臣タルダンは先程の会談以外に話はないと伝達がきています。」


財務大臣タルダンの名前と伝達を聴き、アーシャは少しだけ眉間にシワをよせたがすぐに思考を戻す。


「んー...宰相閣下オルテラ殿は、最後に来る気だろうから、

今回の議題ならまあまあ十分な出席人数、かな。」

「その他、それぞれ大臣と皇太子の近衛で約4名と外務大臣スズリの臨時代理が1名、不出席の2名の代理の書記官が来ております。」


追加数名の報告を受け大会議室手前で足を止めるアーシャ。

クロムが一歩後ろでとまり声をかけようとした時


「ハァーーーーーーーーーーーーーッ」

「???!!!!??」


突然アーシャが大音量の盛大なため息を吐いた。

初めて聞く声量に驚き、クロムは咄嗟に会議書類で耳を塞いだ。

5秒ほどしっかり吐ききり、全身を叩いて居住まいを直し始めるアーシャ。


「‥.何人か追い出しますか?アーシャ様」

「いいえ。大丈夫。うるさくしてごめんなさい。」

「お気になさらず。」


人数からくるプレッシャーが大音量の理由かと思ったクロムの勘は外れた。


ちらりと顔を見やった彼女の瞳はどこか吹っ切れたようで、楽しいことを待つ子供のように期待に満ちた色で大会議室を見ていた。


「これから参加した人たちも、来なかったやつも、全員驚く総会議にしますので

あなたも覚悟していてくださいね、クロム」


大会議室にカツコツと靴音を鳴らし颯爽と足を踏み入れる第一王女アーシャ


「……はい。」


最後の【覚悟】の言葉に冷や汗がでた敏腕執事も

姿勢と気持ちをあらたにし

続くようにして静かに大会議室へ足を踏み入れるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

性転換4姉妹 お国再建奮闘記 マキガミ @kbc65-fnt

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ