第4話:お金を稼ぐって?。
「眠いのか?。」
『ずっと座ってるのも変なのでペットの振りをします。』
「はいよ。」
『何をイメージしたんですか?。』
「何が?。」
『転生時に言われたんでしょう?。希望は極力叶えると、、世の女性を虜にする事だってできたのでは?。』
キョロキョロ周りを見ながら、真面目タイプの人から言われると思わず、俺はミチルを見ると気まずそうに目をつぶった。
「え、待って、なんで?。」
『貴方は、気がついてないのですか?。』
「何が?。」
『さっきから異性からの視線が向いてるんですよ。』
それを聞いて、おかしくなって笑うとミチルは前足をポンポン、俺の頬に当てて、俺は顔を赤くしたミチルの顔をイメージして、更に笑いが込み上げてくる。
『な、何がおかしいんですか?。』
「あのね、俺がイメージしたのは欲しい物を生成するとか、ほとんど能力系で容姿は頼んでない。多分、見られてるとしたら俺じゃなくて肩に居る可愛いコギツネの方を見てるんだ。俺みたいなどこにでも居る平凡顔を好きになる物好きは居ねぇよ。」
『良いですか?。アポロンは男も女も食べる変態神ですが、選り好みが激しく好みじゃなければ触れないし、加護だって与えないんですよ。』
「いいや、アポロンの目を見たけどあれは捕食者の目じゃなかった。気にしすぎだってば。それよりもお金が無いんだよね。稼がなきゃ行けないんだけど、ミチルは何かいい案ない?。」
『お金を稼ぐって、なんですか?。』
「お金って無料で貰えるものじゃないの。でもないと生活できないから働いて稼ぐんだよ。」
『では、一つ。女の子を騙してお金を稼がないでください。』
「だから、ひっかける前に相手にされないよ。ここは手堅く、ほら、ファンタジー的に冒険者になってみようと思う。」
『たしかにこの世界には魔物が現れる為、冒険者ギルドなるものがありますね。』
「うんうん、じゃあ、探してみよう。」
傍から見ればコギツネを相手に独り言を喋るヤバい奴。でも、俺は鋼の精神でそれを無視して、ミチルから前を向くと馬の口先が視界を覆っていて、俺はびっくりして後ろに下がると馬上から黒髪赤目の美少女が見下ろしていて、格好からは騎士や兵士ではなく身分の高そうな令嬢に見えた。
「あー邪魔してたみたい。」
右に避けて、軽く頭を下げてから歩き出すと令嬢は馬から降りて、俺の前に立った。俺は馬上からは身長が目測では165cmと睨んでいたが、誤差プラス10センチで俺がちょっと見上げる形になった。
「すいません、また邪魔しましたね。」
また右に避けると令嬢も右にズレて、俺は絡まれている事を悟った。
「あの、なんですか?。」
「お前、今、金に困っているのか?。」
「いや、別に困ってませんよ。」
「嘘をつくな、そこの狐と喋っていただろ。怪しまなくても大丈夫だ、我は王族だからな。」
「はぁ、それで?。」
「我に付き合ってくれれば、使い切れない程の金をやろう。」
俺はミチルと目を合わせて、同時に無いという判断をして、答えを出した。
「すいません、、お断りします。」
「何?。」
「怪しいとか怪しくないとかじゃなくて、自分で稼ごうかなと思ってるんで、お断りします。」
と深々と頭を下げるとお姫様の横を通り過ぎた。
『ほら、言ったじゃないですか。異性から目を付けられていると』
「しー。」
口元に指を当てて、興奮気味のミチルを静かにさせると四方から騎士が走ってくるのが見えて、俺は嫌な予感がビビッと伝わって、立ち止まるとやって来た騎士が抜剣し、俺の首に剣を向けた。
「騎士様、どうして、俺に剣を向けるんですか?。」
「姫様を馬上から降ろした上、放置した。王族不敬罪として貴様を捕らえる。」
「勝手に降りたのに?。」
「そうだ。貴様、王族に逆らうなと親に習った事は無いのか?。」
「い、いやぁ、俺みたいな平民が王族の方々と話すなんてありえないと思って聞いてなかったんですよ。」
「残念だが、貴様は牢屋行きだ。罰は最悪、死刑だから覚悟しろ。」
「じゃあ、騎士様。せめてもの情けで、この狐だけは勘弁して貰えませんかね?。こいつは早くに母親を無くして、1人で頑張ってきたんですよ。俺のせいで死ぬなんて忍びないんで、、、どうですか?。」
「良いだろう。コギツネを降ろせ。ただし、不審な事をすれば立場が悪くなるぞ。」
「んな事は100も承知ですよ。」
ミチルに降りるように合図すると首を横に降って、俺は任せろとウィンクするとミチルはゆっくりと降りて、俺は両手を上げると騎士に連行されて、城へと連れていかれた。
そして、牢屋は牢屋でも、俺に話しかけてきたお姫様の部屋にある牢屋へと入れられた。その後に嬉しそうに姫様が入ってきた。
「初めから黙って着いてきていれば、こんな目には会わずに済んだのに馬鹿だな。」
「ひどーい笑、自分で降りた癖に不敬罪で捕まえて、自分の部屋に運ぶなんて。」
「これから貴様はここで一生を過ごす。外には出れないが、我が貴様を可愛がってやる。媚びを売っていれば、貴族よりも良い生活をさせてやる。」
「姫様のペットか。困ったな、、俺はやる事があるのに」
「諦めろ。我に気に入られた時点でお前は我の「姫様ー、大変です。」。」
とうさ耳の可愛いメイドが駆け込んできて、俺と目が合うなり、悲鳴を上げ、その後ろから姫と親父髪色と瞳を持った筋骨隆々のイケメンが入って来た。
「ヴェルディ!、お前、何をやっている?。」
「私が捕まえた、私の結婚相手です。」
「ふざけた事を言うな、、その人を解放しろ。」
「いくら、父上の命令でもこればかりは従えません。邪魔するなら容赦しませんよ。私に勝利の剣がある事を忘れていなければよろしいですが、、それと自身の死因となったらヒュドラの毒でも使いますか?。」
「娘に使える訳がないだろう。」
「弱いですね、、私は使えますよ。私の自由を守る為に誰であろうと邪魔をさせない。例え、お爺様でも。」
「その父上に私は言われたのだ。ある少年をこの世界に誕生させた。もし、困っていたのを見かけたら助けてやって欲しいと、それが英雄召喚で本来来るはずだった少年だと聞いて、私はすぐに探そうとしたら、お前が不敬罪で捕らえ、自室に連れていったと聞いて、私は思った。お前は私が組んだ婚姻を解く為に利用するつもりだと。」
「行けませんか?。私は好きな相手としか結婚しません。お祖母様に教えられたのです。一途に愛す事の美しさを、本当の愛とは本当に愛する事ができる相手と愛を育み、幸せな家庭を築く事。」
「バカを言うな、お祖母様は少々苛烈な方だから許されるがお前は許されん。あの方は神々の王の妻。お前は私の娘だ。このヘラクレスのな。」
「とにかく、私は嫌です。あの粗悪で女にだらしのない男などと契りを交わすくらいならお父様の矢毒で死んだ方がマシです。」
と親子喧嘩をやり始め、困惑するもこれをチャンスと俺は翼を出すとその翼で檻を消し飛ばして出るとそれに気がついた姫は拳で牢屋をぶっ壊し、一気に距離を詰めると俺の左手を掴んで、振り向かせると左手を腰に回して、引き寄せた。
「逃がさないぞ。」
「あの、俺よりもいい男が英雄召喚で出たと思います。俺は本当にやる事があって、この世界にいつまでも居るつもりは無いんですよ。だから、結婚は出来ないんです。でも、個人的にはあなたの考えには賛同です。愛せない相手とくっついたって幸せにはなれない。貴方が本当に幸せが欲しいなら、それは勝ち取るしかない。でも、一方的に迫るのはあなたのお父さんと同じでは無いですか?。」
「違う。」
「何が違うんですか?。恋愛はたしかに勝ち取るものです。でも、それは体をでは無く心ですよ。貴方のお祖母様は気に入った男はどんな手を使ってでも監禁して自分を愛せと命令しろと?。」
「違う。でも、男はフラフラして綺麗な女を見れば相手を決めないで寄っていくだろ。だったら、私の部屋から出さなければ私としか会えない。最初は嫌われるかもしれないが、いつかは諦めから愛すようになるかもしれないだろ。」
「俺はこの世界の人間じゃないんで、しかも目的は元の世界に帰る事なんです。だから、恋愛とか結婚してる暇は無いんです。帰る方法を見つけるか、作らないと行けないんで。」
「どうして、元の世界に執着する?。新しい世界で新しい人生を送るって選択肢もあるだろ。」
「確かにでも、自分の意思で来たかったわけじゃない。例え、学歴社会で自由が無くて詰まらなくて最悪でクソゲーみたいな世界だけど、、だからってこの世界に居ていい理由にはならないでしょ?。」
「我が妨害すると行ったら?。」
「困ります。実はある女神に帰る事は無理だと言い切られていて、更に確率が低くなりますから。」
「どうして、帰る?。恋人でも居るのか?。」
「あ、、、残念ながら俺みたいな平凡な男は女の子に相手にされないんです。でも、強いて言えば、チーズバーガーを食べたいからです。」
「何?。」
「元の世界は美味しい料理が安くて、とっても快適なんです。そこだけは優秀で、それ以外はクソだけど。」
と笑うと姫の額には血管が浮き上がり、俺は殴られると悟って姫を抱きしめた。
「それにゲームとか音楽とか無いと退屈で、、、でも、全力で頑張って姫様に妨害されて、どうやってもダメだったら姫様に貰われるのも悪くないかもしれません。その時は落ち込んでるけど、、可愛がってくれますか?。」
「そんな可愛いコトを言う奴は我の物にしてやる。」
「今はダメですよ。まだ、あきらめてませんから。」
俺は至近距離で笑顔を浮かべて、勢いよくしゃがみこむと、掴まれている左手をすり抜けて、背後を取るとまた抱きしめた。
「ひゃ、、」
「少し強引だけど自分の父親の前では女の子になって、俺の前では強く見せようとする所が可愛いです。あなたを幸せにする人が現れる事を本心から願いますよ。」
とスキルをこっそり使って離すと俺はベランダに出ようと窓に近づいた瞬間、薬指にキラリと光る赤い宝石の着いた指輪がハマっていて、姫様の薬指にはダークブルーのダイアモンドの指輪が薬指に嵌っている事に気がついて、俺は慌てて指輪をポケットに入れると窓を開ける前に結界が貼られて、振り返ると結界の中には俺と王様、そして姫様が入っていた。
「待ってくれ、セツナくん。」
「え、、まだ名乗ってないのにバレてる。」
「私はゼウス父上から君のことを聞いている。私は君をこの世界に連れてきた悪神ロキと戦う為にこの世界にやってきた。妻も後で紹介したい。」
「いえいえ、俺はそちらに迷惑になるつもりはありません。それに俺は元の世界に帰る為に頑張るだけなんでそちらの目的とは関わりません。」
と首を振った。
空間エラーで異世界に 夜兎 @yatonkami88
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