第23話 エピローグ③

「先輩!

 こいつです!」


白石阿斗夢に呼ばれた先輩が出てきた。


「タイマンに武器使うってやつは、コイツか?」


「はい!

 調子乗ってるんで、シメてやってください!」


「……。」


蒼真を見て、動きを止める先輩。


「…先輩?」




「…兄貴?」


「光?

 何してんの?」


「兄貴〜〜〜!!!」


蒼真に走り寄り、抱きつく光。


「え!?」


状況を理解できない白石阿斗夢たち。


「無事だったんすね!!

 心配してたんすよ!!」


「ちょっと危なかったけどな。

 なんとか帰ってこれたよ。」


「よかったっす!!

 まじで!!」


「まさかこんなところで会うとはな。

 ていうか。先輩ってことは…、年上…?」


「そんなんどうでもいいっすよ!


 …っていうか…、白石〜?

 どういうことだぁ?」


「え、い、いや、コイツがタイマンで武器を…。」


「兄貴がそんなことするわけねえだろうが!

 調子乗ってんのはおめえじゃねえのか?

 あぁ!?」


「ち、違います!!」


「おめえら。

 本当のこと話せ。

 俺のこと騙して担ぎ上げてんだったら…、わかってんだろうなぁ?」


白石阿斗夢の仲間たちに向けて脅しをかける光。


光の迫力に本当のことを話すしかなかった。



「お前ら…。

 俺の兄貴に…そんなことしてやがったのか…!?」


あまりの怒りに言葉がうまく話せない光。


「光、もう気が済んだから別にいいよ?」


「いや。

 俺っちの気が済まねえっす!

 お前ら、この街でまともに暮らせると思うなよ…?」


「先輩すいません…!

 蒼真にも謝りますんで…!」


「蒼真「さん」だろうが…!?」


「すいません!!

 蒼真さん、今まですみませんでした!!

 この通りです…。

 許してください…!!」


街中にも関わらず土下座する白石阿斗夢たち。


「ああ、もうどうでもいいよ。

 俺に関わらないでくれたら。」


「…さすが、勇者の中の勇者っすね…。」


「いや、それ日本で言ったらただのイタイやつだから!」


「なんでっすか?」


光は元々がいわゆる厨二病という病を患っていた。



その時、不意に蒼真の体を淡い光が包んだ。



「え?」




気がつけば、蒼真はまた真っ白な何もない空間へ立っていた。


「…また!?」



「ふふっ。」



声の方を振り向くと、じいさんではなく、相変わらず見惚れるほど綺麗な女神、エテラナが微笑んでいた。



「エテラナさんっ!!」


蒼真に満面の笑みが溢れた。


「そんな嬉しそうな顔されたら…濡れちゃう…。

 また会えて嬉しいわ、蒼真くん。」


「ぼ、僕もです!

 …でも、なんでここに?」


「…実はお願いがあって……。

 別の異世界で、魔王が育ちすぎちゃって、手に負えないの。

 ちょっと倒してきてもらえないかな…?」


「ま、またですか…?」


「うん…。

 実はね…、蒼真くんに会いたくて…、会う口実を作っちゃった…。

 あ、もちろん、現地の人には被害が出ないようにしてるよ!?

 でも、早くしないとマズいけど…。」


「え?

 ぼ、僕に会いたくて…!?」


「行ってくれる…?」


「え…、で、でも……。」


「呼び出した時は時間がないけど、倒した後は時間があるから…、またいっぱいHしよ?」



「…行ってきます!!」




中指勇者 〜完〜

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中指だけ勇者 玉ねぎサーモン @tamanegi-salmon

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