33 夏休みの宿題と、旅行

 つぎの日の朝。

 ラジオ体操に行って帰って、数時間経ってから、千穂ちほとひなちゃんがきた。お弁当を持って。


 アタシも今日は、お弁当を持っている。

 ラジオ体操のあと、お母さんといっしょに作ったからだ。


 3人で、夏休みの宿題をしたあと、自由研究のことを話し合った。


 アタシがほしいのは、島にある植物だ。

 人の家の庭にあるような植物なら、自由研究で使いたいので、それをくださいと、おねがいしなければならない。

 山や海の辺りにある、植物もあるだろうけど。


 地図も描いてみようかな。かんたんなやつ。


 体に害があったり、手がかぶれたりする植物は、写真と文だけにしよう。

 あぶないから、近づく時は、気をつけなければならない。


 など、そんな話をした。


 ひなちゃんは、島に、昔からあるお茶と、お菓子について、家の人に聞いてみたのだそうだ。

 お茶やお菓子の名前は知っていても、あまりくわしくなかったらしい。


 それで、島に住むしんせきに、島に昔からあるお茶と、お菓子のことを、聞いてみたのだそうだ。電話で。


 ジョウホウはそれなりに、集まったようだけど、お菓子の作り方は、電話ではわからないし、しんせきが知っているものは、しんせきの家で、おしえてもらうと話していた。


 千穂はセミの研究なので、島のいろんな場所に行き、どんなセミが何時ごろに鳴いているのか、調べたいと言っていた。


 いっしょにできる宿題は、いっしょにして、そうではないことは、それぞれひつような場所でやることになった。


 アタシは、鈴絵すずえさんや、大家さん、それから、お父さんにも協力をおねがいして、いっしょに植物を集めたりした。


 島の、いろいろな場所に行くには、車に乗せてもらうか、バスに乗るひつようがある。


 島は広い。千穂とひなちゃんも手伝ってくれたので、ありがたかった。

 アイビスや、妖精たちも、どこにどんな植物があるのか、おしえてくれたりしたので、とても助かった。


 アタシは、ラジオ体操が休みの日以外、朝早くから起きて、ラジオ体操に行ってから、1人で宿題をしたり、千穂とひなちゃんと宿題をしたり、大家さんや、お父さんといっしょに、島を移動したりした。


 それと、千穂とひなちゃんの自由研究の手伝いもしたり、2人といっしょに、カオリさんの家にあそびに行ったりした。

 そして、カオリさんの家で、夏森なつもりさんと出会い、学校よりも、たくさん話した。


 その結果、マナミと呼んでほしいと言われて、マナミと呼ぶようになった。


 喫茶店のマスターをしている、カオリさんのダンナさんがいる時もあった。

 カオリさんのダンナさんは、アタシがはじめて、あの喫茶店に行った時に、話しかけてくれた人だった。


 絵は好きかね? って。


 そんな感じで、夏休みを楽しんでいたら、あっという間に、お盆前になった。

 アタシはお父さんとお母さんといっしょに、島を出た。


 鈴絵さんと、千穂と、ひなちゃんと、大家さん。

 それから、アイビスとネコと、妖精たちに見送られながら。


 自由研究はダイジョウブだ。

 読書感想文も書いたし、ほかの宿題も、ほとんどできた。

 絵は、まだだけど。それは、島にもどってからにしよう。



 ニャハハハ島を出たアタシは、お父さんの実家や、お母さんの実家に行き、お墓参りをしたりした。

 水族館や動物園にも行ったので、おみやげを買った。

 千穂と、ひなちゃんと、夏森さんに。


 ぬいぐるみは、小さくても、好きなのじゃないと、こまるかもしれないので、やめる。

 ポストカードと、ペンぐらいなら、じゃまにはならないだろうし、使わなくても、かざるかもしれないと思った。

 いらないなら、だれかにあげるかもしれないし。


 大家さんには、お父さんとお母さんが買うので、買わなかった。

 鈴絵さんにも、アタシがとてもおせわになっているので、お父さんとお母さんが、お菓子を買ってた。


 最近は、カオリさんの家にも、よく行くので、カオリさんにも、お菓子を買ってもらった。

 夏森さんにあげるおみやげは、カオリさんにわたす予定だ。

 夏森さんの家は知らないし、学校で、夏森さんだけにあげると、もらえない子たちが、いやな気持ちになるかもしれないから。


 アイビスと、ルルカ、それから、シオンのことも浮かんで、どうしようかなと悩んだ。

 ルルカは、鈴絵さんにお菓子をあげるから、それをもらうと思うんだ。


 シオンは……鈴絵さんがあげると言って、すなおに受けとるかは……わからないけど、まあいいかと思った。


 アイビスは、よくアタシの部屋にくるから、あげやすい。

 ただ、アイビスがどこに住んでいるのかは、実はよくわからない。

 決まった家があるのか、それとも、いろんな場所で寝ているのか……。


 アタシから見れば、大人の男に見えるし、なにをあげたらよろこぶかは、わからない。

 大人の男でも、お父さんみたいなタイプだったら、わかりやすいのだけど……。


 というわけで、アイビスにも買わなかった。

 妖精たちは多すぎるから、買おうとはさいしょから、思わなかった。


 いっぱい、夏休みの旅行を楽しんだアタシは、お盆をすぎてから、ニャハハハ島にもどった。


 フェリーから、ニャハハハトウが見えた時、自分でも、ビックリするぐらい、感動した。


 ドキドキしながら、フェリーから降りると、「ツムギダァ!」とか、「オカエリー!」と言って、妖精たちがキャイキャイさわいだ。

 ほかの場所では、妖精なんて見えなかったので、見えなくなったのかな? と、心配だった。

 まだ見えるし、聞こえるみたいだ。よかったなぁと、安心した。


 ひさしぶりの借家に帰り、家族3人で、大家さんに、おみやげを持って行った。

 アタシたちの帰りを、涙を流してよろこんでくれたけど、そこまでよろこばなくてもいいと思った。だって、そんなに長く、離れていたわけではないし。


 まあ、いっぱい旅行を楽しめる、長さはあったけど。

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