第2話 友情のマフィン
雪華は、焼き立ての美味しいマフィンに舌鼓を打ちながら、コーヒーを飲む。
色々と女性は一人で洗い物をしたり、焼き菓子を作ったりしているようだ。
そういえば、ここはどこなんだろう?
雪華は好奇心で地図アプリを開く。
「ウワサ、本当だったんだ・・・。」
地図アプリには、なぜかエラーが表示される。
ちゃんと位置情報はオンにしているのに。
だが、不思議なことにスマホは圏外になっていないのだ。
女性は雪華の様子に気付いた。
「ここ、なぜか地図が使えなくて。森のせいかしら?」
「不思議ですよね。」
「そういえば、あなたの名前って聞いて良いかしら?」
「私は、如月雪華って言います。雪の華って書いてせっかです。作家なんですけど、まだ本を出していなくて。」
「作家さんだったんですね。雪華って素敵な名前・・・。」
「二月、雪の降る日に生まれたからそう名乗っているんですよ。」
「由来が本当におしゃれな人。私は、桜田
「若菜さん、って呼んでいいですか?」
「良いですよ。じゃあ、私も雪華ちゃんって呼んでいいかしら?」
「はい!」
二人は知らぬ間に客と店員から友達になっていた。
「ところで、雪華ちゃんの家はどの辺りなの?」
「近くではあるんです・・・。でも、今日に限って曲がり角を違うところで曲がっていたらこの近辺に迷い込んできてしまって。そしたら、マフィンの良い匂いがしてきて、ここに着いたんです。」
「まあ、そうだったの。マフィンが呼んでくれたご縁なのかしら。でも、お話できる友達ができて嬉しいから、記念にマフィンをサービスしちゃお!」
若菜は喜んでマフィンをもう一つプレゼントしてくれた。
「わー!ありがとう!これ、すっごく美味しくって。」
「喜んでくれて、私も嬉しいわ。」
店を出ると、外はもう薄暗くなっていた。
「また来てね、雪華ちゃん。」
「はい!また来ますね、若菜さん。」
「森を出たら、地図も多分機能するはずだから、気を付けて帰ってね。」
「ありがとうございます。」
若菜は店の外で雪華を見送った。
「さてと、これから忙しくなるかな。」
若菜は店に入って食器を洗った。
「わかなー!」
「あ、もう来たのね・・・。」
若菜が戸を開けると、そこは輝きが増す。
小さなお客たちが、店に大勢来ていたのだ。
地図アプリは、森から出て一つ曲がり角を曲がると、ようやく作動した。
とんだ散歩になったもんだ、と雪華は思いながらも家までゆったり歩く。
空は、オレンジ色と紺碧色をメインにコントラストを作っていた。
雪華は、家に戻ってレンジにマフィンを入れる。
実はあまりの美味しさに、少し追加で購入させてもらったのだ。
「少し温めて、ジャムを添えて・・・。」
雪華はブルーベリーのジャムを添えてマフィンを頬張る。
「わぁ!これも美味しい!今度若菜さんにコツを聞いてみようかな。」
ウキウキとした気分で、自分が入れた紅茶とマフィンを味わう。
「雪華、なに食べてるの?」
「これ?マフィンだよ。美味しいよ。お母さんも食べる?」
「うん。一つもらっていい?」
「良いけど。これ、少し温めてジャムを添えてもすごく美味しいよ。」
「へぇ。これ、どこの?・・・カフェ・・・、なんて書いてあるか読める?」
「うーん?・・・読めない。これ、日本語じゃないもん。」
外国の言葉のようで、雪華と雪華の母は読み方に悩んだ。
Café aux fleurs de cerisier
どこの国の言葉なのか、それは一体どういう意味なのか・・・。
二人は頭を悩ませた。
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