らふか
みずいろの薔薇を簪にして
宝石にしてしまえばよかった
アクリル絵の具の
力強さを水で溶かしてしまいたかった
屋根のきしむ音よりも
激しい稲妻が空に走っているのをみた
遠くだ
遠くの空
その下に人がいることをわすれてしまうような
*
人間が耕して温めた玉葱を
躊躇ナク切り刻んでカレーの具材にしてしまうこと
肉は牛であった事を
どれくらいおぼえている
おいしいのうらがわに
血と骨がまぎれこんでいる
透明な泥水をのんでいるみたいだ
蛇口の水はいつのまにか綺麗で
とても綺麗だ
君のつくられた肌色絵の具のように
僕の言葉もまた
作られた都市のような悩みでベタベタだ
(いきるとかしぬとか)
ああ、じゃまだ
こんなにもおいしいのに
シチューはこんなにもおいしいのに
君の作ってくれたシチューは
それはまるで
昨日の夜寝ようとした時にふってきた
小雨のように
+
少しだけ空気に溜まった
湿度を追い払わないと
八つ裂きにしないと眠れないように
繊細な心の方角は
いつも狂っている
大事な事
いつも眼を背けて寝ているふりして
寝付けない夜から
いつも背を向けて
雨の音を感じる事で
自分のまぶたを下ろして幕を閉じた
=
世界に、
ちっぽけな世界に
リトル・グッバイ
=
遠くにいる人はみな
稲妻の音にまけてしまう
その存在感の下で
シチューを食べるよ
真っ赤なシチューを
とても、とてもおいしい
きれいなしちゅーを
口いっぱいにはらんで
それはまるで
宝石みたいな味がしたんだ
――ほんとだよ?
夢の中では、
宝石みたいな味がしたんだ
ああ、
水色の薔薇を簪にして
宝石にしてしまえばよかった
/
屋根がきしむようなリズムで
隣で誰かがセックスしている
僕はその音を聞きながら
音楽を聴いている
ご飯を食べている
すぐ側で
ほんのすぐそば
すぐそばのかべだ
そこが
人が動物であることを思い出す暗闇であるとしたら
新しく生まれたあかちゃんに
水色の簪を
さしてあげたい
君はこうして生まれたんだよって
宣告する
雷鳴に誓って
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます