東の国アルランドラ

俺はせっかく東門から出たので、1度行ってみたかった東の国アルランドラに行き先を決めた。


「ここからだと山を超える必要があるな。仲間も居ないことだし走って行くか」


俺は軽くウォーミングアップをしてから走り出した。



森や山を超え30分ほどで国が見えてきた。


アルランドラの門に着いたところで


「おや?観光ですか?」


立っていた騎士が話しかけてきた。


「そんなところだ。さっきギルドをクビになったから旅をしようと思ってな」


「そりゃ大変でしたろ。この国には何も無いけど楽しんでくだせえ」


ほんとにこの国の騎士なのだろうか?


どうでもいいことなので直ぐに頭から消した。


「いい匂いがするな」


入った瞬間に食べ物の美味しそうな匂いが鼻を刺激する。


「そう言えば昼ご飯を食っていなかったな」


俺は屋台に行き肉串を買うことにした。


「2本」


「2本ね。銀貨1枚だよ」


俺は店のおばちゃんから肉串を貰い銀貨を1枚渡した。


ベンチに適当に座り肉串にかぶりつく。


美味い。


俺が肉串を食しているとおじいさんが隣に座ってきた。


手にパンを持ったヨロヨロのおじいさんだ。


「ほれ」


そう言いパンを小さく千切った物をばらまく。


何をしているんだ?


すぐにわかった。


『ポーポー』


鳩がパンの所に群がってきたのだ。


じいさんはパンを撒きながら鳩を笑顔で見ている。


「お主剣士かのお?」


おじいさんはこちらを見ずに突然話しかけてきた。


「そうだが?」


俺は答える。


「わしも昔は剣士をやっておった。だからわかる。お主とんでもなく強いの」


ほう。まさか俺の実力がわかるとはやるな。


「そうだ。俺は強い」


「自信満々じゃの。おほほほ。旅人かね?」


「今日始めたばかりの新米だ」


じいさんは2度うなずいた。


「お前さんなら心配はいらんかもしれんが、旅というのは別れと出会いの繰り返しじゃ。お主のこれからの旅にはいくつもの困難があるかもしれん。信じられる人間を作るのもいいかもしれんぞ?」


そう言い残しじいさんは立ち上がり歩いて行った。


「俺の心境を見抜いていたか。凄いじいさんだ」


俺はその日は宿を取り夜を過ごした。



〘翌日〙


俺は宿を出て門に向かった。


すると昨日の騎士が俺に尋ねてきた。


「どうでした?何もない国でしたろ?」


俺は少し考えこう言った。


「確かに何もなかった。だが、いい国だった」


俺が見た限りだと。


そう言って門の外に出た。

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最強の剣士は旅に出る サーモンエビマヨピーマン寿司 @ttttttttyyyyyyiiiii

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