第4話

「ちょっと、アレス! やり過ぎだよ」シャルは抗議の声を上げるが、聞く耳を持たない。

彼は無我夢中で何度も殴ってくる。

「えい、この」「はあ、はあ」

さすがのアレスも疲れ始めたようだ。肩が激しく上下している。

「いい加減にして!」

シャルはアレスの顔面に向かって、思いっきり頭突きをした。

「うっ」

アレスが怯んだ隙を突いて、素早く立ち上がる。

「よくもやったわね!」

彼女はアレスの両頬を思い切り叩いた。パンッという音が鳴り響く。

「うっ」アレスは顔をしかめた。だが、すぐに気を取り直すと再び襲い掛かってきた。

それから、お互いに一歩も引かない取っ組み合いが始まった。

「ぐぬぬ」二人は相手を押し倒そうと必死になる。だが、なかなか上手くいかない。

するとシャルがアレスの身体の下に潜り込んで、両足で彼の両足首を掴んだ。

「ふん!」

そして、勢いを付けて持ち上げる。「うぉおおお!?」

アレスの足が天井近くまで上がった。

「今度こそ、とどめよ!」

シャルはアレスの足を自分の方に引き寄せると、両手を組んでハンマーのように振り下ろす。

「うあああ!」

アレスは思わず声を上げた。

「ふう……」

シャルは息を整えながら、ゆっくりと手を離す。

アレスはドサッと音を立てて落下した。

「大丈夫?」

心配そうに声を掛ける。

「あ、ああ。なんとか」

アレスは答えた。

「良かった」

ほっとした表情を浮かべた後、今度はアレスの胸倉を掴み、そのまま立ち上がらせる。

「それじゃ、続きをしようか」

笑顔で言った。

そろそろ帰らなければならない時間だったが、シャルはまだ遊び足りないらしい。

「そうだな」

アレスも同意する。

二人はファイティングポーズを取った。

「行くよ!」シャルは叫んで突撃してくる。

「おう!」アレスは応えると同時に攻撃に移った。

二人はお互いの攻撃を避けつつ、次々とパンチやキックを叩き込む。

「はぁ、はあ」

激しい攻防が続き、二人の呼吸は徐々に荒くなってきた。

「どうしたの? もう限界?」シャルが挑発してきた。

アレスは無視して攻撃を繰り出す。

彼女の動きも鈍くなっているが、まだ余裕がありそうだった。

(そろそろ決めないとまずいな)

体力的にも精神的にもかなり追い詰められていた。

(よし、こうなったら)

アレスは大きく後ろに跳ぶと、全力ダッシュを始めた。

「えっ!?」シャルは驚いて一瞬呆気に取られる。

アレスはすぐに追いついた。

「なに!?」シャルは驚きの声を上げる。

アレスは彼女にタックルを仕掛けたのだ。そのまま押し倒すつもりである。

「させません!」

シャルは即座に反応し、アレスに抱きつく。

「ぐっ」アレスはうめき声を上げて止まった。

「私だって負けないもん!」

シャルはさらに力を込める。

「くぅ」アレスは歯を食いしばって耐えた。

「アレス、ごめんなさい!」

シャルは叫ぶと、アレスの脇腹に膝蹴りを入れた。

「うぐっ」アレスの口から苦痛に満ちた声が漏れる。

彼は苦悶の表情を浮かべてその場にしゃがみ込んだ。

シャルはその隙を見て、彼から離れる。

だが、アレスはすぐに立ち上がってきた。

「しぶといわね」

シャルがぼやく。彼女は再び攻撃を仕掛けようと走り出したが、その前にアレスが立ちはだかった。

「どいて!」

シャルは叫びながら前に出て、回し蹴りを放つ。

しかし、アレスはそれを受け止めると同時に彼女を引き寄せ、そのまま押し倒した。

「きゃあっ」

シャルは悲鳴を上げ、地面に叩きつけられる。

すかさずアレスはマウントポジションを取って殴り始めた。

「うっ」「ううっ」

シャルは殴られながらもアレスの首を絞めにかかる。

「うおおお!」

アレスも雄たけびを上げると、シャルの顔面を力いっぱい殴った。

「うっ」シャルの顔が歪む。

彼女はアレスの首から手を離すと、両腕で顔を守った。

アレスはそのままシャルの胸に拳を打ち付ける。

「んっ」

シャルが鼻声で喘いだ。

彼女は痛みに耐えながら、アレスの股間につま先を蹴り上げた。

「ぐっ」

アレスは思わず怯んでしまう。シャルは素早く起き上がると、彼の首の後ろに手刀を放った。

「うっ」アレスの意識が飛びかける。

彼は倒れそうになる身体を支えるため、咄嵯に手を出した。

シャルは彼が体勢を立て直すのを待つことなく、背後に回り込んで羽交締めにする。

「うおおお!」

アレスは気合を入れて抵抗するが、シャルの力には敵わなかった。

「アレス、諦めて!」

そう言うなり、思い切り彼の背中を叩く。

「うぐっ」

アレスの身体が前のめりになった。

シャルは彼の両足を自分の足で挟み込み、そのまま上に持ち上げる。

「ぬおおお!」

アレスは足をばたつかせながら叫んだ。

シャルはアレスの右足を自分の肩に乗せると、両手を放してジャンプする。

そして、空中で一回転した後、かかとの落としを喰らわせた。「うわああ!」

アレスは絶叫する。

着地した瞬間、シャルは再び彼を掴まえようとしたが、「えい!」

今度は逆に投げ飛ばされてしまった。

「しまった!」

シャルは慌てて立ち上がろうとするが、アレスの方が早かった。

「おらぁ!」

彼は渾身のアッパーカットをシャルの顎に放つ。

「あうっ」

シャルは仰け反ったがすぐに反撃した。

「はあ!」

鋭いミドルキックを放つ。

「甘いぜ!」

アレスはその足首を掴むと、シャルを振り回して投げた。

「きゃあ!」

シャルは悲鳴を上げると、地面の上に倒れる。

すぐさま立ち上がると、構えを取った。

アレスもファイティングポーズを取る。

「行くよ!」

シャルは叫んで突撃した。

二人は同時にパンチやキックを叩き込む。

どちらも相手の攻撃をうまく受け流していた。

「はあ、はあ」

二人の息遣いが激しくなる。

「まだ続ける?」シャルは尋ねた。

「もちろんさ」アレスは答える。

「そうこなくっちゃ」

シャルは楽しそうな笑みを浮かべた。

二人は再び攻撃を開始する。お互い一歩も引かない激しい攻防が続いた。

(よし!)

シャルは自分の優勢を感じ取る。

(このまま一気に決めるぞ!)

アレスは心の中で叫ぶと、全身全霊の一撃を放つべく力を溜めた。

その時だった。

シャルはアレスの右ストレートをかわしつつ、カウンターの左フックを打つ。「うっ」

アレスの動きが一瞬止まったところを狙って、彼女は彼の喉元を掴んだ。そのまま、右手一本の力で引っ張って、勢いよく地面に叩きつける。

「ごほっ」

アレスは苦しげな声を上げた。

シャルはアレスの右腕を取り、関節を極めようとする。

だが、アレスは即座に腕を外し、彼女の拘束から逃れた。

「逃がさない!」

シャルはアレスを追いかける。

「させるか!」

アレスも彼女を追って走り出した。

「うおお!」

アレスは雄叫びを上げて突進すると、シャルに向かって跳び膝蹴りを放つ。

彼女はそれをかわすと同時に、ハイキックを放った。

アレスの頭に命中し、彼はよろめく。その隙にシャルは彼の背後に回り込んだ。後ろから首を掴み、力任せに引き倒す。「ぐえっ」

アレスは蛙のような悲鳴を上げた。

「どう? 降参する気になった?」

シャルが尋ねると、アレスは答えない。

彼女は彼の顔を平手で何度も叩いた。

「ぐっ」「ぐぐっ」

アレスの顔が赤く腫れあがる。

それでも彼は無言のままだ。

「この……」シャルは苛立って、彼の首筋に噛みついた。

「ぎゃああ!」

アレスが絶叫する。

彼はシャルの腕を引き剥がすと、彼女を睨んだ。「うおお!」

そして雄たけびを上げながらタックルを仕掛ける。

シャルはそれを受け止めると、押し返した。

アレスがひるむことなく突っ込んでくるのを見て、彼女は後ろに跳ぶ。次の瞬間、アレスはシャルに飛びかかってきた。

シャルは横に避けて彼の攻撃を避けると、回し蹴りを繰り出す。

アレスはその足を受け止めたが、「まだまだ!」

シャルはそのまま足を引っ張り、彼を転倒させた。「うわっ」

倒れている彼に馬乗りになり、マウントポジションを奪う。

アレスは抵抗したが、シャルの怪力で押さえつけられているため身動きが取れない。

シャルは彼の胸倉を掴むと、思い切り前後に揺さぶって脳震盪を起こさせようとした。

しかし、アレスは耐える。「くそー!」シャルはさらに激しく彼を揺らした。

しばらく続けた後、シャルはようやく手を放して立ち上がる。「もう止めようよ!」

そして言ったが、「まだ終わってねえ!」アレスは叫んで起き上がった。

二人はまた対峙した。それから、また殴り合いが始まる。

激しい攻防が続き、やがて二人の体力も限界を迎えた。

肩で息をしながら、向かい合う。

「……やるね」シャルは呟いた。

アレスは何も言わず、ただ荒々しい呼吸を繰り返すだけだ。

だが、その目はまだ闘志を失っていない。

シャルは再び構えを取った。

「次が最後だよ!」

アレスは無言のまま立っている。

彼は目を閉じていた。

「行くよ!」

シャルは叫ぶと、突撃した。

渾身の右ストレートを放つ。

だが、アレスはそれを受け流した。

シャルは慌てて体勢を立て直そうとする。

アレスは彼女に体当たりした。「きゃあ!」

シャルは悲鳴を上げる。

二人はもつれあって倒れた。アレスはすぐに立ち上がる。

シャルも立ち上がった。

二人は構えを取る。

そして同時に駆け出し、お互いの拳を突き出す。

二人の攻撃は互いの顔面に命中した。

衝撃で二人は仰け反りそうになるが、何とか踏ん張った。

顔を押さえたまま、相手の出方をうかがう。

先に動いたのはシャルだった。

彼女はアレスの懐に入り込むと、腹部めがけてミドルキックを放つ。

アレスは両腕を上げて防いだ。

シャルは構わず、今度はローキックを打つ。

アレスはそれもガードし、反撃に転じるためパンチを放った。

シャルはそれをかわすが、少しかすってしまう。

アレスはさらに攻撃を続ける。

シャルは攻撃を捌きつつ、カウンターの左フックを打った。

アレスの首筋に当たり、彼が大きくよろめく。

「今度こそ決めるぞ!」

シャルはそう言うと、全身全霊の力を込めて突進し、アレスの胸に掌底突きを打ち込んだ。「うおおお!!」

アレスは吹き飛ばされる。

地面を転がったが、すぐに立ち上がってファイティングポーズをとった。

(何としても勝つ!)

アレスは心の中で叫んだ。

シャルは彼に近づき、再び組み付く。

お互いに相手を倒そうと、力任せに引っ張ったり、足を引っ掛けたりした。

「ぐぬぬ」

「うぐぐ」

取っ組み合ったまま、力比べになる。両者一歩も譲らない。

「えい!」

「おら!」

二人は叫びながら相手を押し込もうとする。

だが、なかなか決着がつかない。

「負けるか!」

シャルは声を上げ、さらに力を込める。

すると、アレスが彼女の腕を振りほどいた。

一瞬だけ力が緩み、その隙に抜け出す。

そして、彼女の背後に回り込んだ。「あっ!?」

シャルが気づいた時には、すでに遅い。

アレスは彼女を羽交い絞めにして動きを封じると、そのまま力任せに押し倒した。

「うわっ!」シャルが悲鳴をあげる。

地面に倒れこんだ彼女は必死に暴れるが、アレスが押さえつけているため脱出できない。

「この……」シャルはアレスの足を蹴ろうとしたが、彼は素早く動いてそれを避け、シャルの上に馬乗りになった。

そして、両手首を掴んで拘束する。

シャルは逃れようともがくが、アレスの怪力はすさまじくビクともしない。

アレスはシャルを見下ろしながら言った。

「降参しろ」

「嫌だ」シャルは即座に答える。

アレスはシャルのお腹に拳を落とす。「うっ!」

シャルは顔をしかめた。

「早くしないと殴るよ」アレスは続けて言った。

シャルは悔しそうな表情を浮かべて彼を睨む。

「じゃあ、続けるよ」アレスは言って、シャルの顔を殴りつけた。

シャルは苦痛の声を上げる。

「どう? 痛いでしょ?」アレスは楽し気に言った。その後も、何度も殴りつける。

シャルは歯を食いしばって耐えていた。

「ほら、やめてほしかったら謝れよ」アレスはニヤリと笑い、シャルの顔に手を伸ばす。

その時、シャルはアレスの腕を掴むと、思い切り噛みついた。

アレスは驚いて思わず手を放してしまう。

シャルはすぐに起き上がり、アレスから離れた。

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クラスの同級生の大人しい女の子とリングで試合をすることになった。 kernel_yu @kernel_yu

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