第8話 国の真実
機械の国マキナ。そこで出会った初めてのロボット【トモ】。僕らは彼のことについて色々知った。
「僕は元々この国のレストランで働くロボットでした。でもある日壊れてしまい捨てられたんです。そしてゴミ捨て場に居たとこをミホに拾われました。」
「まて、酒場とか屋台とか色々見たけどロボットなんてそうそう見なかったぞ。」
師匠が疑問を投げかける。たしかに僕達はこの国に入ってからロボットらしきものを見たことがない。
「この国の機械の発展は確かに凄いですが、全部をロボットにする訳ではありません。そんなことをしたら国の人が働かなくなります。簡単なことをロボットにさせるんです。掃除は掃除型ロボット。料理は料理型ロボットと別れて作業するみたいな。酒場だと厨房の方にロボットが居たため見なかったんでしょう。」
たしかに厨房の方はお客からは見れない。なるほど、目に見えないとこでロボットが働いていたのか。
「それに屋台なんかは人がやった方が盛り上がりますし、個人でやるのにロボットを必要とするとお金がかかります。」
「たしかに、機械がやるんよりも人間がやった方が親しみやすいよな。」
全部ロボットがやるのもそれはそれで見てみたいが初めて国に来た人は驚くだろう。
「つかこの国の機械は全部国王が作ったようなもんだろ?トモは国王に会ったことあんのか?」
お!ライデンが鋭いことを言う。これはかなりいい質問だぞ!
「いえ、城で作られたのは確かですがその頃はまだ起動してません。職場に着いてから起動して即働くみたいなのが主なんで。」
どうやら期待は外れたようだ。チッとあからさまに舌打ちするライデンを見てサキが腹に肘をかます。
「いってぇ。」
「あまり高圧的な態度取らないでください。小さい子に悪影響です。」
どうやらまだ二人の仲は険悪のようだ。
「まぁ、こんな感じで賑やかに4人できりもりしてます!今日はうんと疲れを癒してください!」
「先にお風呂の案内しますね。家のお風呂はいい湯加減なんですよぉ。」
「私サキお姉ちゃんと入る!」
「じゃあ僕は先に夕食の準備しますね!」
4人は急いで準備をする。
「じゃあ先にお風呂入ってきますね。いこうミホちゃん。」
「じゃあ俺も入っくるわ。いこうぜサキ。」
「はい。ってライデンは男なんだから良いわけないです!」
「ごわぁ!?」
こうして僕らは身体を休めることにした。
その後、夕食を食べた僕達は宿の人達が寝静まったの確認して部屋に集まった。
「トモのやつがなんか知ってると思ったがダメだったな。」
「仕方ありません。この国の国王なんですから滅多に合う人がいないんでしょう。」
「ところで、師匠が酒場で話したがってたことはなんですか?」
ライデンとサキと僕は師匠を見る。
「あぁ、それなんだが」
と師匠が言いそうになった時に部屋の窓がトントンと叩くような音がした。
「トモです。皆さんにお話ししたいことがあってきました。」
トモ?こんな時間になんだろうと思いながら僕達は部屋に入るのを許可した。
「すみません、こんな遅くに。」
「いえいえ、こちらこそ起こしてしまったようですみません。ところで話ってなんです?」
師匠が問いただす。
「実は、あなた達にお願いがあってきました。」
「お願い?」
僕は疑問に思う。
「その前に僕のことをきちんと話します。」
トモは僕らを見て語り出す。
「レストランで働いていたのは嘘です。僕は2年前に国王に作られた人工知能付きのロボットであり、城に仕えてました。」
突然のことに頭の整理がつかない。国王に作らた人工知能?城に仕えていた?
「じゃあなんで嘘をついたんだ。あそこでホントのこと言わなかった訳でもあるんか?」
ライデンの質問にトモは答える。
「この宿の人には真実は伝えていません。そのため彼らにもレストランで働いていたと嘘をつきました。」
「それはミホたちを危険に晒したくないためか?」
「はい、その通りです。」
師匠の質問に対してもトモは答える。
「どうやら本当らしいな。」
「師匠、何か知ってるんですか?」
「もしかして酒場で話したがってたことと同じですか?」
「おい!どうなんだよ!」
僕らの質問に対して師匠は答える。
「わかった。この際だから俺も1つ言う。既にここの王は亡くなっている。」
師匠の回答に僕らは驚く。
「なぜ、その事をしってるんですか!」
「その様子だと色々知ってそうだな。ここから先はトモに全て話してもらおう。城に仕えて王に作らたんだ何も知らないわけは無い。」
トモはしばらく黙った後語り出した。
「分かりました。全てを話します。」
トモが話したのはこうだ。
ここの国王のルーツは人間と同じ機械を作ろうとした。それがトモだ。トモには人工知能が搭載されてどんどん知識を増やし言葉も理解していった。
やがてトモは国王の娘の世話を任されることとなった。
そうして日々を過ごし1年が経過した時、新たにふたつ目のロボットをルーツは作ろうとした。そうして新たにロボットが作られたある日、事件は起きた。
そのロボが突然暴走を始めた。それによりルーツは殺され、トモは暴走を食い止めようとしたが失敗。最終的に城から追い出された。
「その後、城のみんながどうなったかは分かっていない。もしかしたらみんな殺られた可能性がある。」
あまりの内容に僕は言葉が出ない。
「どうして人工知能なんてものを作ろうとしたんです?」
サキが質問する。
「娘のために作ったらしい。娘は城で1人っきりで友達もいない。だから話し相手に僕を作ったって王は言ってた。」
「娘ってことはこの国のお姫様ですよね。」
「ああ、無事でいるのを願ってるよ。」
だんだん事情が分かってきた。
この国の王は既に亡くなり、王が作ったロボットに乗っ取られそうになっていると。
「危険に晒したくないってことはそれくらいそのロボは強いんだな。」
「はい、少なくとも僕一人では敵いません。それに彼は成長スピードが早い。情報の収集スピードや応用力も桁違いです。下手に動くのは危ないでしょう。だから、ひっそりと様子を伺って過ごすしか自分には出来ませんでした。」
「なんで国のみんなは疑わねぇんだ?王が殺されたとありゃ誰かひとりは気づかないもんなんか?」
「城はそうやすやすと入れるものじゃありません。それに防音だから外からは中の様子は一切分からない。」
師匠やライデンの質問にトモは答える。
「それに僕が追い出されたその日に国王は病気になったと嘘の情報が広まった。多分それも彼がした事だろう。」
「そう言えば、彼って言っていますがそれは2体目のロボの事ですか?」
「そうだよ。名前もないし彼って言うしかないしね。」
僕の質問にトモは答える。
「そして頼みがあります。どうかこの国を救ってくれませんか。このままだと嫌な予感がします。ミホや国の人を救うために力を貸していただけませんか?」
僕達は顔を見合せた。
「その前に質問だ。なぜ今日会ったばかりの俺らにこんなことを話した?それに何故俺らじゃなきゃいけないんだ?」
師匠が質問する。たしかにそうだ。なぜ彼は僕達にこのことを伝えたのだろう。
「本当は君達をこの国から出るように説得しようとしました。この国にいては危険だ。早く立ち去るべきだとって。でも思わね事が起きました。」
「思わね事?」
「はい、それは貴方が国王の死を知っていたらです。国王の死を知っている貴方がわざわざこの国に来たのは理由があるのでしょう。それに見たところ貴方方3人は私が今まで見た人達より強い。そう確信したからです。」
「さすが人工知能。大した考えと洞察力だな。」
師匠は感心する。
「まぁ俺たちもこの国の為に来たとこはあるしな。よぉし!やってやろうぜみんなぁ!」
「俺たちの強さを見抜くなんてなかなかやるじゃねえか!いいぜ!やってやるよ!」
「私たちも手伝います。師匠程ではないけどやれる事をやりたいです。」
「僕もやります!この国の人のためにも頑張ります!」
僕達はトモに協力することに決めた。必ずこの国を救ってみせると皆心に誓ったのだ。
守護神 俺! 美瑠瀬山 琴 @moro16
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