第2章 機械の国 マキナ

第7話 初めての遭遇

国王の情報を知る。それが僕達に与えられた仕事。

僕達は早速行動を開始した。

僕とサキの2人、ライデン、師匠と3つに別れて調査することになった。

「俺とライデンは背も高いし一人で行動しても大丈夫だが、お前たち2人は13と10のガキだ。こんな広い所を一人でいたら怪しいしなにより世の中には変な奴がいる。そういった危険回避のためにも2人で行動しろ。」

と師匠は言った。

「たしか12時になったら大広場の酒場で集合ですよね。」

「うん、1時間後に集合だ。早速2人で調べよう!」

こうして僕達は情報を集めていった。


「んで?どうだった?」

「一応、成果はあります。ただどれも皆と被りそうですね。」

「ほとんどサキが質問して僕は出る幕がなかったてです。めんぼくない。」

酒場でテーブルを囲みながら僕達は調べた情報を師匠に話そうとしていた。

「いえいえ、ユウと私がいたから声をかけられたもんですよ。兄弟かい?なんて質問されましたし。」

「まぁ、どっちにしろ2人で行動させたのは正解だったな。じゃあまずは2人の成果からいこう。」


僕達が国王について知れたのは主に4つ。

・この国の機械は全て国王が生み出した。

・国王には娘がいて、将来は国を継ぐことを期待されている。

・国王には何十年も仕える執事がいる。

・国王は病気になったのか何年も前から城から出ていない。


「とまぁ、こんな感じです。」

「なるほど、いい成果だ。城ってのは国の真ん中にあるアレか。まぁ見れば大体想像はつくが、あそこに国王がいるのは間違いないな。」

「なんか普通の情報しかねぇな。」

僕とサキの情報に対し師匠は満足そうだがライデンはつまんなそうだ。

「じゃあ次、ライデンはなんか分かったか?」

「まぁ俺はコイツらよりは大人だからな!こいつらの知らない情報とか聞いてきたぜ!」


ライデンの聞いた情報によると。

・国王は新たな発明をしたが失敗した。

・その失敗が病気になった事と関係があるらしい。

・国王の妻はもう既に亡くなっている。

・国王の娘は可愛い。


「どうだ!俺の方が倍もある!俺の勝ちだな。」

「いつ勝負したことになってるんですか。」

調子にのるライデンにサキがぼそりと言う。

「じゃあ次は俺だな。だが、内容的にここで話すにはあまりにも人の目が多い。そしてなにより!」

師匠は神経な顔つきになる。これはとんでもない情報を知ってるに違いない!

「まだ宿決めてなかった。」


「酒場で3人揃ってズッコケるなんてそうそうない体験ですよ。」

「ほんとこのおっさんどうかしてる。」

「俺はまだおっさんじゃないぞー!」

サキとライデンがブツクサ言いながら僕らは宿を探した。

「ここには前行ったあの宿は無いんですか?」

「前来た時はあったような無かったような。そもそも前来た時と比べてかなり発展したから今もあるかどうか。」

そういって僕達はどんどん中心地から離れてゆく。

「ここら辺まで来ると人も減ってきましたね。」

「中心地は屋台とかあったよな。めちゃくちゃ美味かった。」

辺りを見ながらサキとライデンが話す。たしかに人の数も少しずつ減ってきた。この辺りまで来ると普通の民家がある。

「お、いい所があったぞ!あそこにするか。」

師匠が指さす方に見えるのは「からくり屋」と書かれた民宿だ。どうやら茶屋もやっているそうだ。

一息入れかった僕らは入ることにした。

「いらっしゃいませー!」

すると女の子が元気良く挨拶をした。

奥の方からはその子の親らしき人がでてきた。

「あの〜すみません。予約とかしてないんですがここって泊まること出来ますか?」

師匠が言った瞬間、店の3人は固まった。

「あれ?」

すると、

「お客さんだー!」

女の子が叫びだす。

「お客さんなんて!久しぶりだなぁ!」

「ほんとそうねぇ。お母さん張り切っちゃお!」

続いて他の2人も喜びだした。

「ミホ!すぐにお客様にお茶を出しなさい!」

「はーい!」

お父さんらしき人にミホと呼ばれた女の子は急いで奥の方に行った。

(なんかすごいとこに来ちゃったなぁ。)

そんなこんなあって僕達は宿を見つけることが出来た。


「いやぁ、さっきはすみません。久しぶりのお客さんだったもんで。」

「いえいえ、こちらこそ美味しいお茶を頂けて良かったです。」

ミホちゃんのお父さんと師匠が話す。僕達はミホちゃんが入れてくれた麦茶を飲みながら一息ついている。

「ねぇねぇ!お兄さん達はよその国から来たんでしょ!どんなとこなの?」

「僕達がいたのはワドウと言う国だよ。」

「私達が居るとこは自然が豊かでこの国とは違い賑やかではないですが、皆笑顔で暮らしてますよ。」

ミホちゃんに僕達は自分たちの故郷をはなす。師匠と暮らしたことや山での生活などを聞いた彼女の目はとてもキラキラしていた。

「ところで、なんで城下町とか中心地は騒がしいんだ?祭りでもあんのか?」

「それはですね。明日、国王の生誕祭が行われるからです。」

ライデンの質門にミホちゃんのお母さんが答える。

「なるほどぉ。だからこんなに賑やかなんかぁ。」

師匠と一緒に僕達は納得する。これだけ盛大に盛り上がってるのだからさぞ人気のある国王なのだろう。

「どうしたのー?なんかあった?」

すると奥の方からまたひとつ声が聞こえてきた。

「まだだれかいるの?」

僕が質問するとミホちゃんは答える。

「うん!私のお友達!」

(どんな子かな?)

と思いながら声のした方へ向くと、

「あれ?もしかしてお客さん?珍しいねー!」


その声の主を見て師匠と僕達は驚く。


「紹介するね!私の友達のトモ君!」

そう言って彼女が紹介したのは白髪の少年。だが服から出た両腕は鉄でできていた。

「おい、お前。なんで腕が鉄で出来てやがる。」

「何いきなりド直球な質問してんですか!」

ライデンのあまりに直球すぎる指摘にサキが大きな声で反応する。

「あぁ、驚かせてすみません。僕の名前はトモ。この腕以外にも僕の全身は鉄でできています。」

「全身が鉄ってことはまさか!」

「はい!ご存知の通りロボットです!今ではここで働いてます!」

機械の国マキナ。そこで初めて見たロボットは、民宿で働く少年型のロボットだった。

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