BYGONE DAYS

 酒を飲め。こう悲しみの多い人生は眠るか酔うかしてすごしたほうがよかろう。

 ――ウマル・ハイヤーム(1048~1131)、学者・詩人


 酩酊は一時的な自殺である。

 ――バートランド・ラッセル(1872~1970)、哲学者、論理学者、数学者、など






 ――勢いよく飲み干し、ジョッキを叩きつける。


 ――仲間・友人械人ものらが飲みっぷりを騒ぎ称え、あれよという間におかわりが到着。


 ――DRINKING PARTY!飲み会 もたけなわ。



ガヤガヤガヤ……

ガヤガヤガヤガヤガヤ……



「――というわけで拙機せっしゃはラスボスを前に殺されゲームオーバーしてしまったわけだが、やられっぱなしでは終わらん。次は景品交換で入手したこの――マスタードガス・サリンガスを使ってみようと思う!」

「おぉ~👏👏👏」

「化学兵器とは美しくありませんね。しかしよいアプローチかもしれない……此方こちらはもっと爆発の威力を高めてみるとしましょう……収熱カクテルの配分を少し、溶媒Mを増加……」

「我もPKキネシスの大気密度をもっと上げてみるとするか」

「…………」



 ――卓を囲み飲み食い械人ものら、思い思いの方法でラスボス……極彩衣の王への攻略法を練る。


 ――実に、楽しそうだ。



「時にアダン殿」

「……ん?」

「おぬしも何か面白いはないのか?」



 ――確かにこのまま聞き手に徹するのはどうもな。友好度が下がりすぎるのも、悪い。例えそれが疑現実の存在だとしても。



「あ、それならアレ聞きたい! アレ!」

「…………??? あれ、って?」

「そうですね、確か……グラ……グラタ……なんでしたっけ」

「ははぁん、我、ピンと来たぞ……グラナダだ!」



 ――違げぇよ。グアテマラだ、グ・ア・テ・マ・ラ! 最初の一文字じか合っていな……あ。



「G・ランジュランの言うアレ、って緊急イベの『黄色遺鍵探索』のことか。ちなみにステージ名地名は『グアテマラ』、な」

「そうであったわフハハ」

「思い出したそうそうそれだよそれ! この面子みんなの中で参加したのアダンくんだけじゃん」

「確かそのイベントは抽選強制参加であったかな?」

「今イベント履歴に検索をかけてみましたが、どうやらそのようで。いい機会です、私も是非その内容を聞きたいですね」



 ――アスラ、G・ランジュラン、デュークA13、主天使キュリオテス。各々の目は期待に満ちていた。はぁ、仕方ない。あることないことを――

<ご主人様、これ。急ごしらえだけど架空の任務記録、あと台本も>

 ――サンキュ。ふむ、どれどれ……………………………………………………………

…………………………………………………………………………………………………………………………………………

…………

……


……Now Loading ……

File No.113:https://kakuyomu.jp/works/16816700428673808393/episodes/16817139557650505785

……Next Loading ……

File No.159 Digest edition ver : Start!









 序幕:流れが、変わった。

    話の流れが余計に複雑怪奇となること。



 時を3年ほど遡り。


 2299年1月2日。

 グアテマラ共和国イサバル県、イサバル湖の北2キロの地点にて。


 変異した命の森。200年前に発生した宇宙的災害により降り注ぎ、未だ残留する厖大なガンマ線が瘴気のように漂い、薄暗いとなる。


 それを眺めるのは石のみで構成された、建造物群。シウダー・ブランカ白い街とも呼ばれる未知の文明が遺した、家、広場、スポーツ球戯施設、墓、生贄施設、ピラミッド。

 彼らはとうに色褪せ、語る言葉を持たず、ただ在るのみ。


 今、そこに



 ズシン――



 振動と



 ドン、ドン、ドォン――



 暴力の



 ドッ――ッカガラガラガラッ――!!



 舞が吹き荒れる。




第1幕:変異した命の森が、ざわめく。

    妖鬼人アヤカシオニら、太古の因縁にまみえること。




(紫肌の大男が水平に吹き飛ばされ、遺跡建造群を巻き込みながら三角錐型墳墓の中央にその体をめり込ませる)

(苦々しいうなり声)


「おぉっとォ~? 確か『弱き暴力こそ悪義なりッ!』とか数千年前に言ってなかったっけかぁ大嶽ケ丸おおたけまるゥ~? ――いつまでイツマデ、強き暴力の側にいるって錯覚していたんだァ!? ァア?」


(体長4メートルにもなる緑色の大怪鳥がぬっと姿を現す)

(鳥のくせに腕が4本あり、二足歩行、背には刺々しい双翼、無数の刃先がめり込んだ巨木のような尾)

(腕4本の内二対は本来の位置に、もう二対はへそにあたる位置で腕を組む)

(その肌には赤と黄で荒々しい戦模様が描かれ、様々な生物の髑髏を数珠つなぎにした装飾品を四肢と首に飾り付けている)


「ふん、いつまでイツマデそうして寝たふりを――ぉオォッッ!?」


(土埃の中から大男……大嶽ケ丸おおたけまるが射出、もかくやという突撃を繰り出す)

(その手には妖刀、大通連だいとうれんが)


 グシャリ――


(大怪鳥の五月蠅い頭、その右目に深々と突き刺し、妖刀に仕掛けられていたしかけまほうが発動)

(爆音が響き渡り、花火玉ふうせんのように頭部が炸裂する)

(勝負あっt



「いつまで、イツマデ? 以津真天ンいつまでの脳はには――ないのだハハハハハァァ――!!」


 首なしとなった大怪鳥が叫び、翼と拳で同時に攻撃)

(手痛い逆襲をもらい大嶽ケ丸おおたけまるが再び吹き飛ばされていく)



――Stop playing。

…………Intervention…………abbreviation……

――Unpublished。

……Processing completed……

……Next act――Loading……



第2幕:かくして偶然に思われた遭遇は急転直下を見せる。

    限りなき糸の集合体たる異形が空気の読まない割り込みを食らうこと。




(角張ったくらき骨と螺旋めいたあかるき影の不浄なる十一脚獣……Xintahlozzsが械人かいじんに向け不可解な単語と共に猛撃を仕掛ける)


「歯突起!」「軸椎!」「鎖骨!」「座骨!」「長掌筋!」「仙骨!」「踵骨!」「末節骨!」「靭帯!」「胸椎!」「虫様筋!」「肋骨!」

「こッ――のオォォ……!」


(拳撃、針撃、顎撃、潰撃、斬撃、打撃、面撃、突撃、鞭撃、鋏撃、爪撃、嚙撃――十一脚獣と応対する械人かいじん……アダンはそれらをナノブレイドで防御し、どうにか回避し、時には銃撃によって相殺を試みる)

(努力が功を制し致命傷は避けられているものの、傷の累積は止まらない)

(そうしているうちに遺跡建造の一角に追い詰められる)

(アダンは覚悟を決め、同時に十一脚獣は顎に笑みを浮かべ致命の一撃をk



「ハッハァァー! いつまで、イツマデそうじゃれておる! 以津真天ンいつまでんも混ぜろ雑魚共がァ!」


 双方の真横から突然首なし大怪鳥以津真天ンいつまでが表れ、死闘のごと全てを吹き飛ばす)

(高笑いを続けながら大怪鳥、その巨体に見合わぬ動きで十一脚獣を両腕で掴み、左右へ勢いよく引っ張る)

(菌繊維が裂ける音)

(同時に首の断面が盛り上がり、失われたはずの顔が子実体キノコのように生える再生


「何時までも、イツマデも強い、強いぞ! もはやこの程度の神なぞ歯牙にもかけぬわ! あンのクソ医者の手術で以津真天ンいつまでんの脳は全身の筋肉に分散されたァ! 俺の筋肉は強い! だから混ざった脳も強い! つまり――脳筋はあたまがいいのだァァァ――!!」


(恐ろしくズレたことを叫びながら十一脚獣を容赦なく踏みつけていく)

(アダンがどうにか立ち上がった時、大怪鳥のはこちらを向いていた)


「何なんだあの化け物は、おい、どうするブレi



――Stop playing。

…………Intervention……

…………Falsification order,Start。

――Successful cover-up。

……Next act――Loading……



第3幕:彼らとの出会いがどう世界を動かすのか。

    思い付きと一握りの度胸で格上に立ち向かうということ。




(死んだ大男から繰り出された無数の式神)

(それらは鋼鉄の刃となり大怪鳥を取り囲み、動きを阻害する)

(それらを吹き飛ばした時、アダンの仕込みは終えていた)


「んんー? 鉄クズはまぁだ力の差を理解していないようだな、さっき大嶽ケ丸おおたけまるに何を吹き込まれたのか知ら――



――Detect text mistakes!

――Detect text mistakes!

――Detect text mistakes!

…………Intervention…………Successful。

――Loading……



「――ようだな、何を思いついたのか知らんが全て粉砕してくれるわァ!」


(大怪鳥、一度宙返りサマーソルト

(尾が遺跡建造を支点として水平にジャンプ)

(双翼の羽毛が逆立ち、それによる斬撃、更に拳を交えた攻撃を交互に繰り出



「――今だ!」


(アダンの体から大量のセラミック剤とプラセオジム磁石粉末が『パトリシア・エクスプロシブ』で使用する孔を通して全方位に散布)

(大怪鳥の眼前に突然壁が出現)

(それを見た大怪鳥は本能的にその巨体を減速させる)

(それと同じタイミングで壁がアダンの打撃を経て急加速)

(結果的にカウンターを決めるような形となる)


「小癪なァ! いつまで、イツマデ小手先に頼るつもりだ!」


(怒る大怪鳥、セラミック壁を打ち破る)

(その先に待ち構えていたアダン、一撃を繰り出す)

(背丈の問題によりその一撃は丁度へその位置に)


「おっとォ、残念でしたァ」


(組んでいた腕が解け、攻撃を受け止める)

(そして上の腕で義体アバターを粉砕)

(あまりにあっけなく、大怪鳥の一人勝ちとなったのであr



 ズキュ――ンンン…………


 露になったへそを亜音速が突き抜けた)




――Stop playing。

…………Intervention…………abbreviation……

――Unpublished。

……Processing completed……

……Last act――Loading……



終幕:それを識る者は、大いなる流れのみ。

   戦いの決着が次回に持ち越されること。




(大怪鳥、黒く濁った血をへそから吐き出し、よろめく)

(そこには目と鼻と口と耳――顔のパーツ一式が揃っていた)

(更に巨大な孔が一つ)

(12.7x99ミリNATO弾に加えボール型スラグマルダマの零距離追撃を喰らってできたものだ)


「オ、オオォ……の、れェ……」

「ん、おかしいな。いつものセリフ口癖はどうした。なんだっけ、『いずまで』とかいうやつ」

「……」

「ほれ、言ってみろ。強者なんだろ、頭いいんだろ、ほれほれ」

「――――ァア゛ア゛ア゛ァ――ッ、いつまで、何時まで調子に乗りやがってェェ!分身ダミーとかいうせこい真似をしやがって、もう許さん! 絶対にこの手でぶっ殺――あ?」

「あ?」


(両者、ある一点を見つめる)

(それは十一脚獣の死骸)

(そこから歪なが生えてくる)

(傘はむわりと花開いた)


 ボフッ!


(雰囲気をぶち壊す音と共に何かが――発射された)

(そして



 そして



 何かが



 数多のきらめく305の色が


「――! 待てGlaucus、俺はまだたたか」


 206のしたたり落ちる肉片でかたどられる水晶が



 降

  っ

   て

    き

     た

     直撃。



 大地が                               四方に


 裂け                                崩壊し


 結果として各勢力は物理的に分け隔てられ、この戦いは唐突に終わりを迎えt





 ――Forced termination。

 ……End of editing……Released。





 お客様の反応

 アスラ:◎

 G・ランジュラン:◎

 デュークA13:○

 主天使キュリオテス:△


 ストーリーラインに改善の余地アリ。



 



 

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