華やかさに憧れて上京した若者にとって、東京という街は確かに華やかできらきらしていて、でもそのスケールが、大きすぎたりもする。
そして、密度の高い煌びやかさを、憧れていたはずなのに、重たく感じることもある。
そんなプレッシャーにも似た街の華やかさと喧騒から隔たれた、ゆっくりと時間がたゆたう、ポケットのような空間。
それは、ささやかなオアシスだ。
そこで大切なひとと一緒に、ただゆっくりたゆたう時間の中に浸っていられるのなら、ことさらに。
そこで育まれるものもまた、尊い存在になる。
憧れていた都会の華やかさと煌びやかさに、どこか疲れてしまったひとへ。
このものがたりはきっとそんな人たちに、柔らかくて優しい、息継ぎみたいなため息を、与えてくれるはず。