Patient №4 校長先生

「あ、校長先生!」


僕らの小学校では、週に何回か、校長先生が朝、校門で登校する生徒を出迎えてくれる。


僕の少し前を歩いていた手塚君は、いち早く校長先生の姿を見つけたようで、突然走り出した。

僕も慌てて、手塚君の後ろについて走り出す。少しだけ、距離を取って。


「あは、おはようございます、校長先生。今日もいいお天気ですね!」

「あぁ、君は4年生のクラスに転入してきた手塚君だね?どうかな、もうだいぶ、この学校には馴れたかな?」

「はい!みんなとっても優しくしてくれるので、すっかり馴れました、あはっ!」

「それは良かった、あは」


一瞬だけ、校長先生は顔をしかめた。

わかる、わかるよ、校長先生。

僕もなんだか、聞いててムズムズしてきちゃったから。


「あれ、校長先生。それ、うちのクラスの・・・・」

「ああ、そうだよ。後で清野先生に渡そうと思ってね」

「じゃ、僕持っていきます!」

「そうかい?じゃあ、お願いしようかな。あは、ありがとう、手塚君」

「じゃ、僕もう行きますね、あはっ!」


校長先生から何やら書類を受け取って、手塚君は元気よく校舎の中へと入って行く。


「元気が良くていい子だねぇ、手塚くんは。あはっ」


今度は、校長先生ははっきりと、顔をしかめた。


「・・・・あはっ?・・・・ん?」



校長先生も、呪いにかかっちゃったね。

どこまで広まるんだろう、この呪い・・・・


「校長先生、おはようございます」

「ああ、おはよう、あはっ」


僕はそっと、校長先生の横を通り過ぎて、校舎へと向かった。

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