第3話


 次の日、学校はいつも通り始まり平穏に終わった。なんの変哲もない日々だ。そのような日々にオカルト研究会に顔を出すことが加わった。

 オカルト研究会の部室を覗くとそこには前日と同様に南十字先輩が部屋に置かれた椅子に座っていた。

「2日連続で来たのはあなたが初めてよ」

 南十字先輩は僕の顔を見るなり笑顔で言った。

「『世界の果て』に興味があるんです」

 そう言った僕の声は震えていた。『世界の果て』なんて妄想じみたものに何故ここまで固執しているのか、自分でもわからない。

「『世界の果て』に興味?」

「はい。何のことなのかは正直わからないんですが……」

「世界の収束の話を知らないの?」

「はい……」

 南十字先輩は呆れた顔をする。内心僕は「そんな先輩のオリジナル設定、誰知らないですよ!」と言い返したくなるが余計なことを口出すと話が拗れそうなので控えた。

「因果律って知ってる?」

「聞いたことはあるような、ないような……」

「ほとんど知らないのね。因果律ってのは要するにある原因となる事象が発生した時に一定の事柄が結果として起きるってこと。つまり、ある原因が起きたら一定の結果が必ず起きるということなの」

 南十字先輩の説明は僕には少し難しかった。要するに、ある事柄が原因ならば必ず決まった事柄が結果として生じるということだろうか。

「世界は因果律で出来ているの。その因果律が沢山束のようになったのがこの世界。今まで世界には色んな生命がいて色んな因果律を成して生活していた。でも人類の作り出した因果律は動植物のそれと比較して破格の数だった。そのせいで因果律が限界を迎え世界を巻き込み収束しつつある」

 正直傍から聞いたら電波な発言だろう。『世界の果て』に興味を持ち、直接聞いている僕ですら内心何言ってるんだろうこの人……と思ってしまう。

「あ。その顔はわかってない顔ね。そうね……要するに、世界は人類のせいで限界を迎えたって理解でいいわ」

 南十字先輩は僕の顔を見るなりそう言う。僕がわかっていないことに気づいたのだろう。

「なんとなくわかりました」

「ならよかったわ……それであなたが興味津々の『世界の果て』の話なんだけど、『世界の果て』はこの世界と世界の裏側を結ぶ狭間のことなの」

「つまり……別世界の入口なんですか?」

「そういうこと」

 南十字先輩は意味深にニヤリと笑った。

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星を追う子ども 阿多岡はちか @lyrical_hatika

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